顖前と百防の位置です
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病院に入院している間は鍼灸治療ができませんが、秘密で、頭部の「顖前・百防」というツボにだけは置き鍼をしていました。
それをするきっかけになったのは、顖前百防へ刺鍼すると、立ち上がるのがスムーズになり、動きもスムーズになったからです。
そして車椅子に座っているとき、普通は足が落ちて組めないらしいのですが、その人は足を組んでいたのです。
ですから、医師も看護師も、「珍しいですねー。普通は足を組むことができませんよ」と珍しがっていたそうです。
たったこれだけなのですが、百防というのは、七星論では太陽からのエネルギーが注入される所と考えており、顖前というのは、百防から注入されたエネルギーが体を一周して、エネルギーが再び天空に帰って行く所という説明をします。
つまり、生命体をつくるエネルギーの入り口が百防で、出口が顖前になるわけで、エネルギー循環を行なわれているわけです。
「科学、科学」と言っている人からすれば「眉唾モノだ」と思うかも知れませんが、患者さんや患者さんの家族にすれば眉唾モノだろうが、インチキだろうが害がなく、良くなればそれでいいのです。
「科学的でないとダメだ!」と言っているようでは、人間が狭いと思います。
また、鍼灸では全ての陽経は督脈につながり、全ての陰経は任脈に繋がると考えていますので、督脈と任脈を整えることができれば、全ての経絡は整えられるという説もあります。
つまり、百防と顖前に刺鍼することで、体内に入るエネルギーと、体内から出ていくエネルギーの流れを良くすることができ、全ての陽経と陰経を活性させことができます。
これは筋力テストで、刺鍼前後を比べてみればすぐにわかることです。
筋力テストだけなら、軽く1~2㎜程度刺せばわかるのですが、治療となると、鍼を刺した状態で、何日も放置することになるので、3㎝ぐらいの長さの鍼を使います。
その治療法は、継続して鍼灸治療をしていることになるので、治療効果が上がると考えるわけです。
ですから、「気の巡り」(エネルギーの循環)が良くない人は、その鍼を抜くと、元に戻るので、活力が落ちる感じがするそうです。
(これも筋力テストで確認することができます)
だいぶ前の話ですが、脳梗塞で話すスピードが異常に遅くなった方がいました。
その方の百会(エネルギーが注入されるところ)にお灸をしたら、次に来たときにはペラペラしゃべるようになっていました。
視床痛の方にもお灸をしたのですが、「視床痛の痛みはあまり変わらないが、歩きやすくなった」と話していました。
私が日本で普及した「巨鍼療法」も、中国では督脈の(背中の中心線を走る経絡)、胸椎から仙骨まで巨鍼を刺して、24時間放置するのですが、それで麻痺や痺れが治っていたのです。
ただし、私が臨床した結果では、巨鍼の太さは0.8㎜以上でないと痺れは取れないので、痺れの場合は0.8㎜以上のを使うべきだと考えています。
(中国では全て0.8㎜~1㎜を使っていました)
「24時間置鍼」
私はこの長時間置鍼をチャンスがあればやりたいとずっと考えていまして、去年から私の体を実験台にして、毎週、背中に巨鍼をしたまま仕事をしていました。
1時間、1時間半、2時間、2時間半、3時間、4時間半、7時間半と、いろいろな時間帯でテストを繰り返しました。
同時に、協力してくれる患者さんにも長時間置鍼のテストをしていました。
患者さんは、巨鍼をしている間、治療院で過ごしてもらう訳には行きませんので、外に出てもらうようにしました。
ある人は本屋さんに行き、ある人は文楽劇場に行き、ある人は一旦家に帰ってから戻ってくる人もいました。
そして、長時間置鍼は予想通りの成果を上げたので、8月頃からは新メニューをして「長置鍼法」を行なう予定にしております。
慢性的な疾患を患っている方には、この長置鍼法が役立つと思い、6月26日の臨床実践塾で、頭蓋JAAや整体鍼と一緒に講習を行なうことにしました。
脳血管障害を患ってから、時間が経過した患者さんの治療で、巨鍼療法以外に効果があったと思われるのには、上八邪というツボへの刺鍼でした。
そこへ鍼をすると、腫れぼったい感じが取れ、指が動かしやすくなるらしいのです。