しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

■ゴースト・イン・ザ・シェル

2017年04月09日 18時55分18秒 | 作品名(か行)
第423回「映像、表現、世界観は良かったが・・・」
士郎正宗の名前を知ったのは私が中学生だった約30年前の話。同級生の中にマンガ好きで、やけにマニアックな作品が好きなやつがいた。彼は「アキラ」や「ファイブスター物語」などを読んでいて、そんな作品群の中に士郎正宗の「アップルシード」があった。彼の勧めで読んでみが、それほど私の琴線に触れるものではなかった。それから数年が経ち、「攻殻機動隊」が大ヒット。知っている作家の作品が世の中に知れ渡ることに多少の優越感はあったが、どうしてそれほどヒットしたのか不思議に思っていた。今回の作品「ゴースト・イン・ザ・シェル」がハリウッドで実写映画化の話も何年も前に話題になっていたので、「やっと公開されたか」という程度の印象で、なんとしても観たいというよりも、どんな出来になったのか確認しようくらいの気持ちでした。熱狂的なファンの人には申し訳ないくらいの人間が書くブログです。

ネットに直接アクセスする電脳技術が発達した近未来。とある事故によって、わずかな記憶と頭脳だけが残ったキラ・ミリアン、彼女の身体のほとんどは「義体」で形成されている。彼女が所属するエリート捜査組織「公安9課」では彼女は少佐と呼ばれ、サイバー犯罪やテロ行為を取り締まっていた。ある日、義体技術の多くを扱っているハンカ・ロボスティック社の技術者がテロリストに襲われるという事件が起こる。9課のメンバーは犯人の手がかりを求めて捜査を始めるが、やがて驚愕の事実へと辿り着く。その事実が公安9課を壊滅の危機へと追い込んで行くのだった。

あくまで熱狂的なファンではなく、士郎正宗および原作を知っている程度の人間だということを前置きしておきます。SF好きとしてはこういう設定や世界観は大好きです。劇中に登場する架空の都市の様子や義体に代表されるような進化したテクノロジーにはワクワクします。「ブレードランナー」を彷彿とさせるような街並み、電脳世界へとダイブする映像表現などは、原作を知った当時では考えられないほど進化し、見事に映像化されています。ただ残念ながら説明不足なところが多く、睡魔に襲われることもありました。

私が忘れていたのはこの作品の主人公が「草薙素子」だということ。ハリウッドで映画化された作品だから世界観だけ引き継いで、彼女の名前は出てこないものだと思っていました。しかし・・・この物語はあくまで「攻殻機動隊・エピソード0」なのでした。ネタバレになるのであまり記述しませんが、きちんと日本の原作をリスペクトした作りになっていました。ネットの記事では主人公を演じる俳優がスカーレット・ヨハンソンに決まった時になぜ日本人じゃないのかと物議を醸したとありましたが、私はそれほど問題だとは思っていません。むしろこの作品はアメリカで作られたものなので、主人公をその国を代表する俳優が演じるのにまったく違和感はありませんでした。さらに彼女は「ルーシー」など多くの作品でエキセントリックな設定のキャラクターを多く演じてきています。今作での少佐役もとても見事に演じてくれました。

では映画の評価はというと★★★☆☆です。決して酷評するほどひどい出来ではありませんでしたが、とても物足りなさを感じました。個人的に思っているのはお話の流れと魅力的な悪役の不在、北野たけしさん演じる荒巻の存在だとおもいます。脚本に関しては近未来の世界へと観客を引き込むのに無理があったこと。事件の黒幕となる人物が、あまり魅力的に扱われていなかったこと。そして原作及び日本へのリスペクトとはいえ、演技のあまりうまくない北野たけしさんの起用。(これは個人的な評価ですが。)セリフが日本語だったのは気になりません。むしろ無理に英語を使うよりは(同時翻訳技術が発達したと思えば)良かったと思います。以前、彼が出演したハリウッド映画「JM」でもそうだったのですが、ちょっとキャラクターと合っていないのでは?と思いました。もっと威風堂々としたというか、立ち姿に迫力がある人を起用してほしかった。

おそらく続編は無いと思います。というより何でもかんでも実写化する邦画界で、この作品を実写化したほうが良かったのでは?あのマンガとかあのマンガとかを文句言われながら実写化するよりは、見事な作品が出来たのではないでしょうか。そういう意味では押井守版「ゴースト・イン・ザ・シェル」を観たくなる作品でした。

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