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福島第一原発事故と今後のこと 小出裕章(京大原子炉実験所)

2013年03月01日 | 福島第一原発

たんぽぽ舎メルマガより転載 【連載上】

┏┓
┗■1.福島第一原発事故と今後のこと
 |  代替エネルギーをどうするか? 経済をどう成長させるか?
 |  というレベルの話ではない
 |  「生き方そのものが問われている」   (連載 上)
 └──── 小出裕章(京大原子炉実験所)

  溶けた炉心の在処、未だに不明 格納容器もあちこちに穴

○編集部…まず、事故原発の現状について、教えて下さい。

小出…福島第1原発では4つの原子炉が壊れたのですが、1~3号機は、運転中、
4号機は、定期検査のために停止中で、燃料棒も装着されていませんでした。
 1~3号機は、炉心を冷やすことができず、メルトダウンして大量の放射能を
放出してしまいました。圧力容器の底に熔け落ちた核燃料は、厚い鋼鉄の底を溶
かして、放射能を閉じこめる最後の防壁である「格納容器の床に落ちた」と、東
京電力は言っています。私もそう思いますが、その後、熔けた核燃料がどうなっ
ているのか? 実は誰にもわからないのです。
 理由は、猛烈な放射能汚染のために建屋に人が入ることができないので、目で
確認できないからです。ロボットを入れて写真撮影させていますが、戻って来ら
れずに討ち死にするロボットが、後を絶ちません。猛烈な放射線環境で電子機器
が故障するのと、散乱しているがれきが行く手や岐路を阻んでいます。
 東電は、残っている計測器で核燃料の在処を判断しようとしていますが、そも
そも過酷事故を予想していなかったので、計測器が配置されていません。通常運
転に必要な各種計測器はありますが、放射線と水蒸気のために次々と壊れていっ
て、センサーによる情報も失われつつあるのが現状です。
 格納容器の底はコンクリートで、1mの厚みがあるのですが、「熔けた燃料は
70cmのところで止まっており、核燃料は格納容器の中に閉じこめている」とい
うのが東電の公式発表です。ただし、「閉じこめている」はずの格納容器は、あ
ちこちに穴があるのは確実です。格納容器に注入する水が、中で全く溜まらず、
漏れ続けているからです。最後の防壁である格納容器が破られて、現在も放射能
が漏れ続けているのが現状です。
 私は、熔けた燃料が格納容器を突き破り、地下水を汚染しているかもわからな
いと思っています。もし、燃料が格納容器の底も突き破って地面に達していれば、
地下水を汚染し、いずれ海に出て行きます。汚染の拡大をくい止める手段がなく
なります。私は、一昨年5月から、「炉心が地面に熔け落ちる前に、原子炉建家
周辺に、鉄板などで地下バリアを張り巡らすべきだ」と提言してきましたが、今
も手つかずです。
 一方、地上部分では、毎時1000万Bqの放射能が漏れ続けている、と東電
は発表しています。この数値は、事故直後2週間あまりに放出された放射能量に
比べると、劇的に減少しています。

○小出…4号機は、メルトダウンはまぬがれたのですが、ここには大量の使用済
み燃料がプールに沈められています。その放射能総量は、控えめに計算しても広
島原爆1万発分です。事故直後、消防庁や自衛隊が大量の水をかけている映像が
流れましたが、これは、使用済み燃料プールへの対応でした。
 プール自体は、たぶん大きくは壊れていませんが、危機的状況にあります。原
子炉建屋が爆発で激しく破壊され、プールが埋め込まれている階の壁がほとんど
ないために、プールは、いわば宙づり状態です。
 東電も危機感を持ち、事故直後に応急耐震補強工事をやりましたが、被曝環境
での突貫工事だったために、今もプールの半分が宙づりのままです。余震でプー
ルが破壊されるようなことになると、これまでの放出量とは桁違いの放射能が出
てくる危険が存在しています。
 この使用済み核燃料を取り出すために東電は、今年末をめどに、クレーン用の
大規模な構造物を作ろうとしています。現在は、プールの上部にある最上階の柱
や壁をすべて撤去した段階です。この建設作業も、建屋に入れない1~3号機に
比べればマシですが、過酷な被曝労働です。
 プールの中には、1535体の燃料棒が入っており、そのうち1331体が使
用済み、204体が未使用です。未使用の燃料棒は、人の手で触っても大丈夫く
らいの放射能レベルですので、昨年7月、東電は、試験的に未使用燃料棒の取り
出し作業を行いました。燃料の状態を知るためですが、これも未使用燃料棒だか
らできた作業です。使用済み燃料となると、プールから引き出した瞬間に、周囲
の人間がばたばたと死ぬほどの危険物です。
 そのため、使用済み燃料については、100トンもある「キャスク」という容
器をプールに沈め、水の中で燃料棒を入れ、蓋をしてキャスクごと水面から出す、
という作業となります。ただし、プールの中には、大量のがれきが散乱している
ので、まず水中のがれきを撤去しなければならないし、燃料棒がゆがんでいれば、
吊り出すのは困難です。もし、燃料を落として破損するようなことになれば、大
量の放射能が放出されます。
 1331体の使用済み燃料を完璧に安全に吊り出す作業となるので、どれほど
の被曝労働と時間がかかるか、私には想像もできません。
(人民新聞の了解を得て掲載。人民新聞2月5日号より、上中下3回の連載)


●福島原発事故の危険な状態は、やはり想像以上に深刻です。


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