風の澪

春から夏、そして秋、冬。
時の流れと共に気の向くままに綴られる、ひとつのブログ

続・地名の話

2008-11-06 00:00:36 | 雑記
さて、続き。


よく言われることがあります。

平成の大合併で多くの地名が失われた

と。

ふぅむ。

確かに、以前覚えた都市名が使えなくなって個人的に困ることも多いですw
ネタ元の記事にもあった「さくら市」ってどこー??
昔は市町村名聞いたらどのあたりにあるか、それとなくわかったんだけどなぁ。

そして代わりに沢山の「トンデモ自治体名」に見える地名が生まれ、昔馴染みの地名は消えたようにみえます。
ひらかな都市名も増えたりしました。
難読地名なんかは難読だからこそ由来を探る楽しみが大きかったりするんだけどなぁ。
と、これまた個人的な趣味。



でも、地名が消えてったのは、「平成の大合併」だからでしょうか。

例えば、昭和の大合併は問題ではないのでしょうか。

例えば、廃藩置県は問題ではないのでしょうか。

どちらも地名が大きく変わった時世です。

平成の大合併を問題視するなら、これらも問題にすべきではないでしょうか。



解りやすいのが廃藩置県です。
皆さん、県名の由来、全てご存知ですか?
旧国名を引き継いだものが一つも無いのに、どこからそんな県名が現れたのでしょうか。

大半は県庁所在地がそのまま県名です。
つまり、国名を、ある町の地名にとって替えたもの、これが大半です。

「日本国と言う国号を、東京国と改める!」

僕にはこれと、県名の付け方とには大差ないように思えて仕方ありません。

そしてこの県名は明治政府によって強制的に決定付けられたもの。
さらには「忌まわしき幕藩体制を完全に忘れ去るため」とも言われます。



そんな47都道府県ですが、たった百年少しでどれだけ馴染んでいることでしょうか。
東京だって江戸と呼ばれた時代があったのです。でもほんの数世代前の話です。



いま、地名を弄ろうとすると昔の地名を守れ、と言います。

むかし、弄られた地名は守らなくて良いのですか?




そこで、一つ考え付くことがあります。


そもそも、自然と言う物は変化を嫌うもの


と言うことです。

変化が起こった瞬間、それを打ち消そうとするベクトルが働きます。
しかし、次第に打ち消す力は薄れ、なくなります。
ごくごく自然な現象です。



初めに僕は言いました。
「地名は自然発生的」なのです。
それを弄ろうとすると、当然打ち消す力、「改変反対」のベクトルがかかるのは、ごく自然なことではないでしょうか。
そして、いつの間にか新しい物が当然の物となり、また弄ろうとするとまた打ち消そうとします。
一度は拒否したものを今度は固持しようとします。



結局は「伝統が云々」「文化の破壊がかんぬん」なんて、こじつけに近いのではないでしょうか。


住めば都。
数年経てばすっかり気にしてはいないのではないでしょうか。
もしかしたら地名が共存しているかも。





何だかこの問題を全否定しているようですが、そういうわけではありません。
決して反対運動が良くないとか、無駄だとかは言いません。
改変に反対することも含めて、「自然」な流れだと思います。

ただ、これに対して第三者がどうのこうの言うことはやめたほうが良いと思いますが。
良くも悪くも、それがマスメディアの仕事だってのもわかりますけど。

そもそも地名は、その地名を必要とする人達同士のもので、規模はどうあれローカルな物です。
今まで自分とかかわりが無かった地名に対しては、どうこう言う事は出来ないものです。

>たとえば栃木県「さくら市」。ひらがなで由来もうかがえない。桜の名所なら全国どこにでもある


これは市民やそれに準ずる方のみが言えるセリフのはずです。







そして記事の最後にはこうあります

>古くからあるものへの愛情が試されているともいえよう。


大事なところです。

でも、どうでしょう。

「表記が残る」

と言うのが愛情でしょうか?

武蔵、尾張、摂津などなど。

旧国名は、「表記上」淘汰されました。

ですが、ずっと残り続けています。

それ程旧国名は、日本人にとって愛情深いものであるということの表れだ、と僕は思っています。

地名に対する愛情は、表面上消えてなくなった時に試されるものではないでしょうか。










と言うことで…

かなりな長文になってしまいました。


ここまで気長に読んでくれた方。
本当にありがとうです。


もし、地名に興味を持っている方が、ふらりとここを訪れてこの記事を読んだ時、多少なりとも何か感じることがあれば良いな、なんて。



あ、因みにですが、
>ひらがなで由来もうかがえない
と言う件がありましたが、地名の由来ヲタクとしてはかなり疑問があります。

と言うのも、「好字二字令」と言うのが713年に下されて、一斉に日本全国の地名の表記が全く変わってしまった、という歴史があるのです。
一文字地名は何としても二字に。
三文字以上も無理矢理二字に。

元々日本には文字が無く、発音ありきでしたから、当て字に近いものがなかなか多いのです。
「漢文を読むとき、謎の漢字が出てきたらルビから意味を推測しましょう」と言うのと同じです。

地名の由来を探る時、漢字に釣られてしまうと上手く行かないことが多いです。
大袈裟に言えば「北海道のアイヌ語地名を漢字の意味から探ってみよう」…いや、これは本当に大袈裟か…

ともかく、まず発音から連想される言葉を幾つか考えてみましょう。

意外とそれが良い線いってたりするものです。

では問題。

「和泉」は何で「いずみ」と読むのですか?

簡単でしょ?
そういうことなんです。
実際地図を眺めると、かなりの数の池や泉が点在しています。







と言うことで…

あとがきすら長くなりました。すいません。

お付き合い、ありがとうございました!








で。
「沼ノ端東開」とか言うのじゃだめなのか?

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (クリーン)
2008-11-14 22:08:29
自然は変化を嫌うですか・・。
確かにそうかもしれませね。
突然起きる変化にはいろいろと
反対する人っていうのが
必ず出てきますもんね。
廃藩置県はOKで平成の大合併はダメ
ていうのも矛盾してますしね。
世の中そういうことの繰り替えしなのかも
しれません。
返信する
いつもの如く亀レスすみません・・・ (銃艦)
2008-12-01 00:38:45
理科を勉強していると、変化を打ち消す方向に作用する、と言う話が多くでてくるのですが、そのうちに考えついた話です。

そうすると矛盾と感じていたことに、どうして矛盾しているのかという説明がついて、我ながら納得していました。

今回自分の考えが別の人に理解してもらえて嬉しかったです。


返信する