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「フィクサー」(07・米) 80点


 ・ T・ギルロイ、J・クルーニーがコンビを組んだ社会派サスペンス。

      
 ボーン・シリーズの脚本家トニー・ギルロイが初監督した社会派サスペンス。ギルロイのオリジナル脚本をジョージ・クルーニーが製作・主演で本格的にバックアックした、大人のための作品だ。

 冒頭からハナシの方向が定まるまで、やや難解なところもあるが、落ち着くとグイグイ惹き込まれて行く。フィクサーというタイトルが大物の黒幕というイメージを連想させるが、アメリカの法曹界では「もみ消し屋」と言われ、決してオモテには出てこない陰の仕事。

 主人公は仕事に嫌気がさしながら、借金や離婚して不安定な生活で、巨大企業の薬害訴訟に巻き込まれて行く。「シリアナ」でも同じような役柄を演じたJ・クルーニーは思い入れたっぷりに演じている。巨大企業の薬害訴訟というテーマ作品に「エリン・ブロコビッチ」があるが爽快感はなく、関わった主要人物の心の葛藤が丁寧に描かれた人間ドラマの趣き。

 主人公マイケルとその同僚・アーサー(トム・ウィルキンソン)と企業内法務本部長・カレン(ティルダ・スウィントン)は何れもNYの巨大ビルで必死に生きて行こうとする人間の業のようなものに取りつかれてしまった人々。

 良心の呵責に苛まれながら渦中にいると善悪の見分けがつかなくなるのは、組織人間の宿命か?3人とも言動は違うものの巨大な渦に巻き込まれ、予想外の言動となるのが象徴的。このあたりがギルロイの手話の見せどころで、それを演じ切った助演の2人がオスカー候補になったのも頷ける。

 マイケルが馬に見とれるシーンがこの映画のハイライトだが、動機付けとしては少し弱いように感じたのは、筆者だけだろうか?

 
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