晴れ、ときどき映画三昧

「突破口!」 (73・米) 80点

 ・「サツは甘いが、組織はお前が死ぬまで追う」



 「ダーティハリー」(73)のドン・シーゲルが、ウォルター・マッソーを起用して製作・監督した犯罪アクション。

 ニューメキシコの片田舎で農薬散布を生業としていた元曲芸パイロットのチャーリー・ヴァリック(W・マッソー)。小さな銀行に押し入って金を奪い逃走しようとしたが、撃ち合いとなって妻と仲間を失う。奪った金は思いもよらぬ大金だった・・・。

 ヴァリックが生き残った相棒の若者ハーマン(アンディ・ロビンソン)に向かって言ったのが、冒頭のこの言葉。
 
 ラロ・シフリンのジャズに乗って一切の無駄がなくテンポよく進む本作は、クールなイーストウッドではなく飄々としたW・マッソーという意外なキャスティングで、ひと味違った小気味良いアクションものに仕上がった。

 組織の黒幕は登場しないが、銀行家のボイルが支店長に金を預け当事者であることは間違いなく、ヒットマンにモリー(ジョー・ドン・ベイカー)を雇い、執拗な探索が始まる。

 見かけによらず?知的で冷静なヴァリック。妻が亡くなると指輪を抜き取り、歯科医のカルテも盗み証拠を残さない周到さ。おまけに相棒と自分のカルテにも・・・。

 ダンディな殺し屋モリーは、目的のためには容赦しない冷酷な男。平然と身障者を突き飛ばしたり、女に暴力を振るうなどしながら、ヴァリックを追い詰める。

 「ダーティ・ハリー」で殺人鬼を演じたハーマン役のA・ロビンソンはモリーにあっけなく抹殺されてしまい、ヴァリックVSモリーの追跡劇が始まる。

 風貌に似合わずヴァリックはイーストウッド並みにモテる。銀行家の美人秘書役のフェシア・ファーは「おかしな二人」のコンビ、ジャック・レモン夫人なのも監督の意図的なキャスティング。

 パスポートの偽造写真家から足が付き、対決したラスト・シーンは複葉機と車のチェイスは当時では斬新なアクションで最大の見せ場。

 D・シーゲルは「ダーティ・ハリー2」を蹴って本作に挑んだだけあって、ウィットに富んだ犯罪アクションの自信作だったが、大ヒットには至らなかった。イーストウッドを起用したら大ヒットしたことだろう。
 

 

 

 
 
  
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