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晴れ、ときどき映画三昧

「敵こそ我が友~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生~」(07・仏) 70点


 ・ 数奇な運命に生きた戦争の生き証人を浮き彫りにしたドキュメント。

 「ラストキング・オブ・スコットランド」で実在の人物ウガンダ・アミン大統領を描いたケヴィン・マクドナルド監督。今回元ナチス親衛隊で<リヨンの虐殺者>と呼ばれたクラウス・バルビーを記録映像とインタビューで浮き彫りにしたドキュメンタリー。

 最初にこれを観たのが、たまたま08年8月15日だったので、数奇な運命を経て’87年戦犯として終身刑を宣告されるまでの彼の人生を、ひとつの戦後史として観る想いだった。

 副題の3つの人生とは、ナチス占領下のフランス・リヨンでの政治犯やユダヤ人への迫害。戦後ヨーロッパでアメリカCICのスパイ活動。そして南米ボリビアでの軍事政権支援。歴史上の人物、リヨンの活動家ジャン・ムーラン、ボリビアでのチェ・ゲバラとも関わっている。

 大戦後、何故戦犯として刑を受けなかったのか?それはアメリカの反共主義にマッチしたからで、バルビーの強かさは国家の思想に巧く乗っただけかなのもしれない。

 ナチス占領下のフランスの国情は複雑で、権力者はその利益を守るためには道議を超えて動くものなのか?その渦中で生き抜いたバルビーは人間としての本質を何処かへ置き忘れたかのような振る舞い。第2・第3の人生は何だったのだろうか?ただ生き抜くためとしか言いようがない。

 本作を観ながら21世紀の今も、世界中に第2・第3のクラウス・パルビーが存在するに違いないと気付かせてくれる作品だった。
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