・ これこそ、純粋マカロニ・ウェスタン。
セルジオ・レオーネと並ぶマカロニ・ウェスタンの両雄、セルジオ・コルブッチ監督作品。主演したフランコ・ネロの出世作でもある。
原題は「ジャンゴ」でF・ネロ扮する早撃ちガンマンの名前だが、ジャズギターの名手ジャンゴ・ラインハルトから命名したという。
いまや「ジャンゴ」はマカロニ・ウェスタンの象徴で、30本以上制作されたコルブッチ作品で主人公の名前は海外では全て「ジャンゴ」にされたほど。
元北軍の兵士ジャンゴがメキシコ国境の街トムストーンへ向かう途中、元南軍少佐ジャクソンの部下にリンチを受けていた混血娘マリアを救う。
泥濘のなか何故か棺桶を引きずりながら酒場へ着いたジャンゴ。ジャクソン少佐の威嚇にも動じない。
40人の部下を引き連れたジャクソンに向かって棺桶から取り出した機関銃で一蹴し、ジャクソンは落馬して泥だらけの辱めを受け復讐を誓う。
酒場の主人ナタニエーレによると、縄張り争いをしているメキシコ独立革命の将軍ロドリゲスと諍いが絶えないが、ここは中立的立場で女たちを置いて商売が成り立っているという。
マリアは少佐の愛妾だったが、メキシコへ逃げ舞い戻ってきたのでリンチされたらしい。
邦題の「続・荒野の・・・」は、設定が黒澤の「用心棒」をもとにしたC・イーストウッド主演「荒野の用心棒」と似ていたことと、日本人には原題より馴染みやすいということでまるっきり別物。今なら考えられない大らかさだ。
通称マカロニ・ウェスタンとは、スパゲッティともイタリアンとも呼ばれた低予算のイタリア製西部劇のこと。孤高なダーティ・ヒーローが主演し、残酷描写とリアリティを無視した奇想天外な展開が売り物だ。
本作でも、いきなり棺桶を引きずりながらジャンゴが登場、しかも棺桶の中に機関銃が入っている発想が如何にもという感じ。若干23歳だったF・ネロはスタントなしで演じ切り、一気にスター入り。近作「ジュリエットからの手紙」(10)でも健在ぶりを見せてくれた。
ジャンゴは愛する人を南軍兵士に殺されたらしく寄り添うマリアには冷たいが、金欲はあるらしい。
メキシコ政府軍の営倉にある砂金をロドリゲスと共謀し奪い取り、山分けの約束を守らないロドリゲスから砂金を盗むが、追われる途中底なし沼へ落とし危うく絶命寸前となり、マリアに救われるという人間味あふれる設定。
残酷描写には事欠かないがマリアへの鞭打ちにはじまり、メキシコ農民の銃殺はまるでゲームのよう。少佐の手下としてみかじめ料の集金をする神父は、メキシコ革命軍の兵士に耳を切られその耳を咥えながら殺される。
極めつけはジャンゴへのリンチでイギリスでは上映禁止となったほど。
刺激的な描写だけでなく、泥んこプロレスまがいの娼婦たちの取っ組み合いや、有名な墓場でのラストシーンなど見所たっぷりのエンタテインメント満載の93分。
本作の大ファンであるC・タランティーノがオマージュ作品「ジャンゴ 繋がれざる者」(12)を制作したほどで、突っ込みどころ満載ながら主題歌<さすらいのジャンゴ>とともに映画史には欠かせない作品となった。久しぶりにマカロニウェスタンの世界に酔わせてもらった。
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