ジャックとその兄弟達の災難

ジャックは、いつも壁を背にカニのように横歩きをしていた。
ジャックは、背後になにかあったら心配だ、と言っていた。
振り向いて確認すると前方が不安になる、とも言っていた。
それで、背後は守られ、前方のみに集中できるこの歩き方を実践している、と語ってくれた。
しかし、そんなジャックが事故の遭い、死んでしまった。
マンションの五階の窓から落ちて来た花瓶が、脳天に当たったんだ。


ジャックの弟のジェイクは、兄の教訓を生かす事にした。
壁を背にカニのように横歩きをしながら、頭上にも注意を払っていた。
しかし、ジェイクも事故に遭い、死んでしまった。
足元のマンホールの蓋が無くて、落下してしまったんだ。


ジャックとジェイクの弟のジャンセンは、二人の兄を教訓とした。
壁を背にカニのように横歩きをしながら、頭上にも足元にも注意を払って歩いていた。
しかし、やっぱり事故に遭い、死んでしまった。
背にしていたブロック塀がいきなり崩れて来て、その下敷きになったんだ。


ジャックとジェイクとジャンセンの弟のジュリアスは、三人の兄たちから強い教訓を学んだ。
出掛けるから事故に遭うのだ。だから出掛けなければ良い。
ジュリアスはじっと家にこもっていた。
しかし、やっぱり事故に遭い、死んでしまった。
地震でガスの配管が切れ、そこにジュリアスのタバコの火が引火して、家ごと吹っ飛んじまったんだ。





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