新・隠居カウンセラー日記です。

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カウンセリングの反面教師・・・(1)序-②。

2016-10-17 08:59:38 | 日記

 対人的コミュニケーション技法において「説得術」なるものがあるとしたら、「納得術」と呼んでよさそうなものがある。

それがアメリカ生まれのカール・ロジャースが開発した「共感的傾聴技法」である。

この技法はロジャースが「カウンセリングとサイコセラピー」として、1942年に発表。以下が最大特長になっている。

「中心仮説を人間の成長力に求め、主体性をもって自己選択することを援助する新しい方法を打ち出した。中でも、忠告・意見などの指

示を与えないことが強調されたため、彼の技法は、非指示的療法と称された」。(「心理臨床大事典」より)

 当時のアメリカにおける心理療法は、フロイトが創始した「精神分析」が圧倒的な支配を占めていた。

1945年、ヒッチコックによって映画化された「白い恐怖」は、まさしくその「精神分析的世界観」を踏まえたものである。

そんな時代にあって、個人の「精神内界」の「分析」も行わず、かつ「忠告・意見」といった「指示」すら行わない心理療法の登場は、

さぞかし「コペルニクス的転換の心理療法」として衝撃的だったと思われる。

 このロジャースの理論や技法は、GHQによって戦後の日本の大学に導入され、いまでもその「信奉者」は多い。

そうした「信奉者」は「ロジャリアン」と呼ばれている。

この私は決して「ロジャリアン」ではないが、「共感的傾聴技法」の効用だけは十分に体験しているつもりである。

 前回で述べた通り30代半ばで、ある専門学校の責任者になった私は、担任教師が手を焼く学生の面接を数多く行ってきた。

そのときは、まさしく「共感的傾聴」の一辺倒で接してきたものだ。

忠告も指示もせず、「あ、そうか!」「そういうことだったのか!」「それは苦しかったね!」等々の相槌をうちながら、どこまでも相

手の話を聴き、共感し続けていった。

こうした「聴く技術」を1時間~2時間程度辛抱強く駆使していくと、不思議なほどに学生自身が「自ら変わっていく」のである。

化粧品会社などでお客からの「クレーム対応」を担当する人たちは、こぞってこの「共感的傾聴技法」を習得しているように思われる。

 開業カウンセラーになってからの私は、この「共感的傾聴技法」を「聴く技術(スキル)の要領」というタイトルで文書化している。

そのなかでもっともポピュラーな「聴く技術」だけを4つばかり、ごくごく簡単に紹介しておこうか。

(1)相槌返し。

それを私は「ハ・ナ・ソ・ウ」という4つの「頭文字」で括っている。

「ハ」は「ハイ」であり、「ナ」は「ナルホド」、「ソ」は「ソウカ」であり、「ウ」は「ウーン」を含めての沈黙を意味している。

また、「ハ・ナ・ソ・ウ」のアレンジでもOKだし、それらを組み合わせての相槌もOKである。

たとえば、「ハイ、ソウダッタのか。ナルホドねえ。ウ~ン」とかといったように。

こうした相槌は、まさしく「合いの手」のようなものであり、ほとんど意味を有さない「中性的用語」。これが持ち味になっている。

(2)オウム返し。

「聞く力」の著者・阿川佐和子さんの得意ワザのひとつ。相手が言った言葉をそのままごく自然に返している。

たとえば、「私は暗い青春時代を送りました」と語る相手に、「若い時は暗かったんだ」と返すように。

(3)要約返し。

相手が語った内容を、簡単に「要約」して返す技法だ。

(4)感情ワード返し。

これも阿川佐和子さんはウマイ!相手が語った話しに潜んでいる「感情」だけをピック・アップして、さりげなく返す技法だ。

たとえば、「それはやはり『切ない』ですよね~」といったように。

 この「4つの返しワザ」には、こちらの「忠告・意見・指示」などなどが一切含まれていないことに気づくだろう。

単に「返し」ているだけなのだからね。

そんな「返し」ばかりの会話が続くと、相手は「自分で自分を見つめ直す」しかなくなっていくワケだ。

 だから「共感的傾聴技法」は「納得術」だとも言えるのである。

 

 

 

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