津城寛文の徒然草 Shiloh's Blog

時事問題や世間話その他に関して雑感を記し、著書その他の宣伝、関係者への連絡も載せています。

良書の推薦

2016年12月27日 | 日記
 最近、ごく親しい人から、ある本を推薦してもらい、一読して、「こういうことを書きたいな」と思っていたことが、すっきりと書かれていて、久しぶりに「いい本を読ませていただいた」という気になりました。

 稲場耶季(やすえ)さんという、那覇地方栽培所判事、琉球大学教授などを務められた方で、タイトルは『食べない、死なない、争わない』というものです。ぜひ、お読みください。

 ふつうに考えれば、私たちは食べますし、死にますし、争います。しかし稲場さんは、自分は今のところ小食なだけでも、ほとんど食べない人がいるし、私たちの本質は死なないし、争わないのがいちばん強いと、ご自分の経験から、淡々と説いておられます。
 
 田中角栄氏が、このところまた話題になっているようです。「今太閤」という経歴からくるあだ名のほかに、「コンピュータ付きブルドーザー」という頭脳と実行力からくるあだ名もあったように、頭の回転は速かったようです。コンピュータの比喩でいえば、CPUもメモリも容量が大きく、処理速度が速い、ということでしょう。

 分野も特徴も違いますが、井筒俊彦氏についても、サンスクリット語の希少本を大家から借りて、短期間で返しにきたとき、「もういいのですか?」と聞かれて、「全部覚えました」と答えたエピソードがあり、驚いたことがあります。私たちのような、旧式のウィンドウズ95レベルの頭とは、ハード面もソフト面も、ずいぶん違うのだと思います。

 記憶力や処理能力のほかに、人間にはさまざまな能力があり、数字でわかります。スポーツも勝ち負けがわかりやすく、身長や体重、ウエストや股下も、勝ち負けはともかく、はっきり数字になりますね。

 (今のところ)数値化できないものは、漠然と、徳とか運とか、勘とかセンスとか、人間力とか、鈍感力とか、言われます。これらも、調査方法を工夫すれば、ある程度は数値化できるでしょう。こうして、あらゆるものを数値化して、序列をつけようとする傾向が、社会や職場に浸透して、数値を上げ(させ)ることに、血眼になっているのではないでしょうか。

 容量の大きいコンピュータで高速の仕事をするような人は、その人の人生を生きています。小さいコンピュータのついた自動洗濯機のような仕事をする人も、その人の人生を生きています。容量としてはけた違いですが、それぞれの仕事は、別の価値があります。

 稲場さんの本のサブタイトルというか、編集者が付けたようなキャッチコピーに、「人生はすべて思いどおり」とあります。「思いどおり」というのは、自分の人生は、自分の思ったとおりに展開している、起こることはすべて自分に必要なことであり、そこから学ぶためにある、ということ、だから、他の人生を生きている人と比べる必要はない、ということです。

 当り前のようですが、言葉ではわかっても、これがなかなか難かしいことで、私たちはつい人と比べて、自分の不遇をかこちます。そんなときに、読むといい本です。我が家では、この本を「親の死後に読んでほしい本」として、子供への遺産リストに載せることにします。

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稲場耶季『食べない、死なない、争わない』
マキノ出版、平成27(2015)年
 
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