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憲法9条改正を考えるうえで絶対に読んでおくべき小説

2017年05月18日 16時35分24秒 | 新憲法
憲法9条改正で3項を作るとか何だとか…
当blogで言っている憲法改正は、そんな枝葉をいじくることじゃなくて、改正しやすいように幹を変えろってことなんだけど、まあ、とりあえずそれはおいておこう。最近読んだ小説で、有事の際の日本の状況をかなりリアルに描いているものを見つけた。

麻生幾(1998)「宣戦布告<上・下>」講談社

出版されてからもうかなりの年月が経っているため、財務省が大蔵省だったりと時代を感じることもある。
しかし、この本が出版された1998年以降(というか、制定以来)、最高規範である憲法が変わっていないので、下位規範でどんなに調整を試みようとしても、この本が指摘する内容と現在の状況にはそれほどの差は無いのではないかと思う。

世界有数の戦力を誇っていても、それを行使するにはあまりにもハードルが高すぎて、結局丸腰に近いという現実。


この小説は、警察庁警備局、警視庁公安部、機動隊員、内閣情報調査室、内閣安全保障室、防衛庁、陸上自衛隊、海上自衛隊、専門家等に取材を行い、それに基づいて書かれているので、内容が非常に詳細で、現実に起こりうるだろう事が描かれている。例えばこんな内容だ。

相手が日本国内に不法侵入した場合において、様々な情報を総合的に判断した結果明らかにテロ目的であることが分かったとしても、こちら側からいきなり攻撃をしてはならない。投降を促して保護することが最優先される。
     ↓
そのためには相手が武器を持っていたとしても、まずは警告をすることから始まる。
     ↓
いくら警告を繰り返しても相手が引かず、今にも銃を発砲しようとしていてもせいぜい威嚇射撃しかできない。
     ↓
相手から発砲等の攻撃を受け、自分の生命が危機に立たされている状況で、もはや反撃する以外に手段がないような緊急性があったときに、ようやく相手に対して応戦することが認められるが、その場合でも相手と同等程度の武器しか使用できない。例えば、相手が単発の銃を使っている場合には連射の銃を使ってはならない。
     ↓
そして、それらの行為をするには何層もの上司の許可が必要になり、現場判断は原則として許されない。仮に許可が下りる状況になって相手を倒したとしても、身内であり味方であるはずの自国の法務官から、いかにも犯罪者であるかのような取り調べを受け、当時の状況を事細かに説明し正当防衛であったことを証明しなければならない。


誰がどこから見ても命のやり取りをしているような明らかな戦闘状態に入っていたとしても、応戦をするのは現実的にほぼ無理。一瞬の判断が求められている状況で何層もの上司の判断を求めるというあり得ない状況。応戦のための射撃許可を求めてから早くて数時間後に結論が来る。しかもたいていの場合は「ダメ」。そんな状況のため、この小説では吹けば飛ぶような戦力しかない敵国の攻撃に、世界有数の戦力を持つ自衛隊が大苦戦してしまう。あまりにも失態が続くので、読んでいる途中、コメディなんじゃないかと思ってしまう程ひどい。しかし、綿密な取材に基づいて書かれているため、この内容がほぼほぼ現実らしいという、本当に笑えない状況。平和ボケもいい加減にしろと突っ込むレベルをはるかに通り過ぎている。

いかに憲法9条が現実離れしたものかという事が具体的に分かることでしょう。
言い換えると、これを読んでも憲法9条を修正することは「改悪だ!」なんて思う人がいたら、その人は人間のレベルを超えた天使様だと思います。
まあ、この小説が出版されてから20年近く経っているからね…その間に様々な事件や戦争も(世界的に)ありましたしねえ…通信技術も格段の進歩をしましたしねえ…多少の改善はされていると願いたいんだけどね…冒頭の方で書きましたように…

最高規範である憲法が変わっていないので、下位規範でどんなに調整を試みようとしても、この本が指摘する内容と現在の状況にはそれほどの差は無いのではないかと思う。
つまり、日本は自前の戦力を使って自国を守ることは現状ではかなり難しい。

せめて自衛のための要件だけでも緩和しないと、有事の際、日本は簡単に滅びます。

ここから下は若干ネタバレになるので、ぜひとも本物の小説を読んでください。





























さっき「自衛隊が苦戦」なんて事を書いたが、そもそも自衛隊を引っ張り出すまでが大変。
自衛隊が憲法9条の重い枷でなかなか腰を上げてくれない間、武力で圧倒的に劣っている警察が一生懸命頑張っている。しかし、ただでさえ劣っている戦力なのに、正当防衛の要件が枷になってしまいやられ放題。
ようやく自衛隊が動き出したかと思えば、「治安出動」なのか「防衛出動」なのかという憲法9条が招いた意味の分からない理屈のために、ちょっと本気出せば簡単に制圧できるはずの自衛隊が丸腰やられ放題になってしまう。
治安出動?
防衛出動?
筆者はこの小説を読んで初めてそんな単語を知りました。
知らないことが多いっていうのは幸せですね。
知らぬが仏といいますので。
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