Shiggy’s Lounge

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アクロポリスが売り物に? Acropolis for sale ?

2011-06-26 19:51:47 | 日記


ギリシャ危機が再燃し、一向に収まる気配が無い。
にもかかわらず、左翼系の労組は賃金凍結反対、増税反対とゼネストを繰り返す。

業を煮やした最大の債権国であるドイツの連立与党議員2人がメルケル首相に
ギリシャは膨らみ続ける債務を削減するために、
アクロポリスやエーゲ海の無人島を売るべきだと進言したというニュースが
ドイツの大衆日刊紙「Bild(ビルト)」に載り、話題になっているという。
「島を売れ!ギリシャ人よ、君達はもう破産しているのだ!」

まぁこれはジョークなのだろうが、
アメリカの CSM 紙には誰が選んだのか、
ギリシャの売るべき10の資産の写真が掲載されている。
冒頭のアクロポリスの他に以下のようなものがある。



このミコノス島は無人島ではないが、エーゲ海でツーリストに人気のある島。
夏にはドイツ人が休暇(ウーアラウプ)でどっと押し寄せる。
ハワイなどと違って冬は寒く風も強い。

村上春樹は「ノルウェイの森」の一部をこの島に滞在中に書いた。
この長編小説はギリシャで書き始められ、シシリー島に移り、ローマで完成した。
余談ではあるが。



古代遺跡、エピダウロス野外劇場。
12,000人収容。
こんなにりっぱなものがBC200年ごろに創られたのだ。



オリンピアの神殿。



ギリシャ正教の聖地、女人禁制のアトス山修道院。



アドリア海に面したコルフ島。

このように示されるとギリシャは他のヨーロッパ諸国とは一味違った
独特の歴史と文化を持つ国であることがわかる。
前章で述べたトルコとともに一度は行って見たい国である。

例えば、こういうのはどうだろう。
日本発 ⇒ ヘルシンキ ⇒ サンクト・ペテルブルグ ⇒ キエフ ⇒
オッデッサ ⇒ イスタンブール ⇒ エフェソス ⇒ サントリーニ島 ⇒ 
アテネ ⇒ 日本着 というルートを1月間くらいかけて旅するのである。

どういう発想かと問われれば、
アジアとヨーロッパの境目、東経25度ー30度近辺を
北から南へ下る旅であるとでも答えることになる。

話が随分それたが、
ギリシャ問題は単にはるか遠いヨーロッパの出来事とは思えない。

日本もこれを他山の石とし、
早く真面目に財政再建に取り組まないと、
いずれ何年かすれば IMF などから
やれ皇居を売れ、金閣寺を売れなどと
言われかねませんぞ!!!






内紛のシリア、存在感を増すトルコ

2011-06-12 23:28:01 | 日記
下の写真はシリア北西部のトルコとの国境地帯。(6月9日)



シリア側にいる数人のグループはトルコへの入国許可を待つシリアの難民。
手前、国境線上にいるのはトルコの兵士。
トルコ政府は6月8日、シリア難民の入国を許可すると発表した。


   (国境でトルコへの入国を待つシリアの難民)

シリア反政府活動の拠点の一つであるトルコ国境に近いJisr al-Shughur市では
戦車、大砲、狙撃兵の重装備を擁して同市を包囲しつつある政府軍によって
反政府組織への無差別大虐殺が行われる懸念があり、
これを恐れる何千人ものシリア人難民がトルコへ避難。



下の写真はトルコのYayladagi にあるシリア難民キャンプの様子。



シリアとトルコは下の地図の通り、
830キロもの長い国境線(地図の緑色の部分)を共有している。



以前は国境紛争などが絶えなかったトルコとシリアであったが、
ここ10年来両国の関係は劇的に改善され、
トルコのエルドアン首相とシリアのアサド大統領とは
お互いを兄弟と呼ぶ間柄にまでなっていた。

2009年のダマスカスでの共同声明でエルドアン首相は、
「トルコにとってシリアは中東への、
シリアにとってトルコはヨーロッパへの、
それぞれ玄関口として重要な国である」と述べている。
この言葉は、後に述べる地政学的な見地からも見逃せない。

しかしながら、今年に入って
「アラブの春 (Arab Spring) 」の波がシリアにも押し寄せ、
独裁者アサド大統領に対して民主化を求める市民の動きが活発化したが、
トルコ側の再三の説得と警告にもかかわらず、
アサド大統領の方針が変わらなかったため、
5月に入って1,000人以上のシリア市民の犠牲者が出た段階で
トルコ政府は自由を求める市民側をサポートすると公式表明した。

シリアへの強い影響力を持つトルコのこの方針決定により、
西側諸国はシリアに対してより強いスタンスで民主化を迫れることになった。

ここでがらっと話が変わるが、
筆者は昨年、会社時代のある先輩の薦めで
ジョージ・フリードマンというアメリカ人の著した「100年予測」という本を読んだ。
この本の面白さは、未来予測そのものよりも、
むしろそれを進める上での地政学的な視点とそれに基づく手法にある。

地政学(Geopolitics)は文字通り、
地理学(Geography)と政治学(Politics)が融合した学問であり、
この本ではこれを基にして過去、現在の世界を分析し、未来を予測しようとする。

著者のフリードマン氏によれば、
今後100年間、アメリカは世界のリーダーであり続けるが、
一方、アメリカ以外の国で世界の覇権に重要な影響を与え、
いずれアメリカにとっても脅威となるであろう国々は、中国やロシアではなく、
意外にも、日本、トルコ、ポーランドであるという。

ここでトルコという国が登場することに注目したい。
何故トルコなのか。

トルコはボスポラス海峡を挟んで、アジアとヨーロッパにまたがる国である。
黒海とエーゲ海をつなぐボスポラス海峡はロシアの地中海へのアクセスを阻んでいる。
トルコからはイラン、アラブ世界、ヨーロッパ、旧ソ連圏、
そして何より地中海へのアクセスが容易で、
ユーラシア諸国の中で最も有利でかつ重要な地理的ポジションを占めている。

歴史を溯ると、
14-16世紀にオスマントルコは、下の地図のように広範囲を支配した。
(黒い部分がオスマン帝国の領土。シリアも含まれる)



東西の要衝に位置するトルコの南東にはイラン、南にはアラブ世界、
北西にはバルカン諸国、北東にはカフカス(コーカサス)地方が控えているが、
これらはいずれも不安定な国々や地域ばかりである。

唯一トルコが、この地域で近代的な経済大国であり、
またEUへの参加を目指す民主主義国家であり、更にNATOの一員である。
しかもトルコはイスラムの国でもある。

つまり、トルコは 「混沌の中の安定した土台」 として、
今後ますます経済力、軍事力、周辺諸国への影響力を高め、
いずれはかつてのオスマントルコのように地中海の覇権国にのし上がるだろう・・・
というのがフリードマン氏の予測である。

話を元に戻して、
このような観点から今回のシリアの内乱の問題を見てみると、
なるほどトルコの影響力が大きいことがわかる。

6月10日付きCSM紙は、
Washington will follow Turkey’s lead. (ワシントンはトルコのリードに従うだろう)
という言葉でシリア関連の記事を締めくくっている。


以上


参考文献:

“Turkey’s shift on Syria gives West room to get tougher on Assad”
“Fleeing violence, Syrian refugees warn of potential massacre”
(以上、いずれも6月10日付“The Christian Science Monitor”紙より。)

「100年予測」ジョージ・フリードマン著、早川書房(2009年)







ホエール・ウォッチングの季節到来

2011-06-09 14:05:58 | 日記
下の写真はどこで写されたものでしょうか?
何をしているのでしょうか?



これは、今から冬を迎えるオーストラリアのシドニーで1週間前に
ホエール・ウォッチングのシーズンを迎えてのパレードが行われたときの写真です。

シドニーでは今年の冬には4,000頭くらいの鯨が
海岸からそう遠くないところで見られるそうです。

なるほど、
ホエール・ウォッチングが観光の収入源になっているということも、
捕鯨に反対する理由のひとつなのでしょう。

ところで、私はBSの紀行番組をよく見るのですが。
先日、オーストラリア、タスマニア州のホバート (Hobart) という港町を
紹介していました。

この町は昔は捕鯨で栄えた町だったそうです。
今はさびれた静かな町となっていました。

で、何が言いたいのかというと、
今は、日本の捕鯨に反対しているオーストラリアも
鯨油がローソク、そのほかの工業原料としてよく使われた時代には、
捕鯨が盛んであったということ。

石油化学の勃興後は、鯨油の需要が無くなり、
捕鯨がビジネスとして成り立たなくなったが、
今はホエール・ウォッチングで観光収入が得られるので、
捕鯨に反対しているということ。

つまり、人間は自分勝手であるということです。

以上。






星条旗の要るアメリカ人, 日の丸の要らない日本人

2011-06-01 15:27:34 | 日記
ヨーロッパから帰国するやいなや
竜巻で多くの犠牲者を出したミズーリー州ジョプリン市にかけつけた
オバマ大統領。



これを迎えるジョプリン市民。



ここで私が感じるのは、
アメリカ人が隣人との連帯感を強く持とうと意識したときに
その象徴となるのがアメリカの国旗、「星条旗」だということです。

被災地のあちこちに星条旗が掲げられています。





これらはもともと立っていたのではなく、
大災害がおき、多くの犠牲者が出たあとで、立てられたものです。

9.11の際にも、
街のいたるところで、星条旗が掲げられていました。

市民が悲しみを分かち合い、苦難を乗り超えて、
心を一つにして立ち上がらなければならいときに
そのシンボルの役目を果たすのが星条旗なのでしょう、アメリカでは。
いかにも多民族の国、移民の国らしい情景です。

一方、我が国でも、
アメリカの竜巻とは比較にならない今回の大災害に際して、
国民は強い連帯感を持ち、
心をひとつにして立ち上がろうとしています。
しかしそこに「日の丸」は登場しません。
日の丸にご登場願わなくても、
心を一つにする強い連帯感がこの国民にはあるのです。
それは何故なのか?
日本人の心をひとつに纏めているものは一体何なのか?

この答えは簡単ではなさそうです。

それは星条旗のように外界に掲げられるものではなく、
日本の社会に生まれ育つなかで、
日本人人一人ひとりの内面に醸成された何かが、
自然発生的にそうさせているのではないでしょうか。

日本は、
長い歴史の中で独立を保ち、
地理的には周りを海に囲まれて、他国から切り離され、
単一民族、単一言語、単一文化からなる均質的な国だから・・・、
というのが答えの一部でしょう。

日本の社会には、旧ソ連や中国のような、
イデオロギー的、威圧的、強権的ではなく、
自然発生的ないい意味での共産主義的な一面があるような気もします。

また、キリスト教やイスラム教のような厳しい戒律が無くても、
人々が正義を大切にしていることは今回の災害で内外に示されました。

永田町だけがこの文脈から外れているのが残念です。