漂着の浜辺から
囁きのような呟き。
 



 今更ですが、2016年に読んだ本で、印象に残ったものを10冊。


1.「世界の終わりの七日間」 ベン H ウィンタース著  上野元美訳

2.「本にだって雄と雌があります」 小田雅久仁著 

3.「デボラの世界―分裂病の少女」 ハナ・グリーン著 佐伯わか子、 笠原嘉 共訳

4.「奥の部屋」 ロバート・エイクマン著 今本渉訳

5.「ゴールデンフライヤーズ奇談」 J.S. レ・ファニュ著 室谷洋三訳 

6.「パルプ」 チャールズ・ブコウスキー著 柴田元幸訳 

7.「九百人のお祖母さん」 R・A・ラファティ著 浅倉久志訳 

8.「マーティン・ドレスラーの夢」 スティーヴン・ミルハウザー著 柴田元幸訳

9.「アウラ・純な心」 カルロス・フェンテス著 木村榮一訳

10.「人形つくり」  サーバン著 館野浩美訳

 一応番号は振ってあるけれど、面白かった順というわけでは全くありません。

 1は世界最後の刑事を描いた三部作の完結編。最後に拍子抜けしてしまったら嫌だなと思っていたけれど、見事に締めてくれました。
 2はマジックレアリズム的な小説。とても楽しい法螺話です。
 3は自伝的な小説。今では分裂症という言葉は使われず、統合失調症と呼ばれますが、ある少女がそこから回復してゆく過程を描いています。
 4、7、9は短編集。どれも奇妙な味の作品を得意とした作家ばかりです。7のラファティはちょっと稀に見るほど人を喰った作品を書くSF作家ですし、4のエイクマンはまさに奇妙な味の作家としか呼べない、一度読むと癖になる作風を持っています。8のフェンテスは、ラテンアメリカの作家ですが、ここに納められた作品はどれも、なんとも幽玄な幻想小説でした。
 5は、レ・ファニュの中編小説。圧倒されるような分量で攻めてくるレ・ファニュの長編の中では、これは短い上に、とても読みやすいので、入門編として最適な一編だと思います。
 6もかなり変わった作家、ブゴウスキーのSF小説。こんな変な作品もあまりないので、一読の価値はあると思います。ラファティといい勝負。
 8は、非常に繊細な物語を紡ぎ上げて、まるでひとつのオブジェのようにしてゆく作風の作家、ミルハウザーの長編小説。印象に残る一冊でした。
 10は、この中では一番最近に読んだ本で、国書刊行会から発刊が始まった叢書「ドーキー・アーカイヴ」の中の一冊。同じシリーズの「虚構の男」も読んだけれど、こちらのほうがずっと印象に残った。うまく言えないけれど、「奇妙な味」というのとも違う、なんとも変わった味わいがある、なかなかの一冊です。こういうのは多分、計算されたものというよりも、作家の「変さ」がもろに作品に反映されて、結果としてなんとも言えない味わいになるという好例なのでしょうね。

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