Vive le Canada! Vive le Quebec!

英語系カナダ人、フランス語系ケベック人、そして移民たちの間の共存・共栄・葛藤・相克生活で学んだこと。

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金沢のプティ・デジュネ

急行<能登>に特急<北陸>、それに福井行き急行<越前>など、かつての上野駅、大宮駅には旅情があった。最近も列車の写真を撮っている人たちを眼にしたがまったくお気の毒である。川越線はディーゼルカーで埼京線などというものもなかった。まあしかし、朝夕の混雑はもっとひどかった。

朝の金沢駅で見知らぬマダムに朝食を御馳走してもらった上、将来は医学者になるだろう、などとさんざん持ち上げられて別れた。私はこのとき以来一人旅が大の得意となった。兼六園に行くと、汚らしいジーパン青年と仲良くなった。このひとは旅先で野宿して<天文>をやっているという。一体<天文>とは何であろう?つまりは星を眺めているということか?

金沢は広津里香の故郷である。私の10代のアイドルといえばこのひとである。金沢大学附属高校から東大新聞研へといったひとだ。カッパブックスにひとつ著書がある。

金沢は前田家の殿様が勉強好きがそろっていたため、文化の薫り高い都市なのだそうである。旧制のナンバー・スクールは東京・仙台・京都とまわって、第四は金沢であるし、西田幾多郎も山本良吉も四高出身だ。金沢藩江戸屋敷は本郷の東大となっている。正直なところ維新の雄藩というのは私の好みではない。金沢・会津・弘前あたりが好きである。それに武道の稽古は似合わないが、バレリーナたちにフランス語のレッスンをするのは性にあっている。見知らぬ人たちに<ぼく>などと呼ばれる頃からそういった感性はすっかりできてしまっているのである。

金沢の街を<いちばん高い塔の歌>を口ずさみながら歩く。しかも堀口大学の訳ではだめだ、などと言う。ひとはみな親切であった。やはり私の住んでいるところの連中、通っている学校がおかしいのだ。私は金沢を去り、大阪へ出て急行<だいせん5号>のB寝台にくるまり新天地・出雲へと向かう。砂丘の感触、美しい宍道湖(しんじこ)も忘れない。
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見知らぬ人西田幾多郎カッパブックスディーゼルカー

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