Vive le Canada! Vive le Quebec!

英語系カナダ人、フランス語系ケベック人、そして移民たちの間の共存・共栄・葛藤・相克生活で学んだこと。

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ベルリングエルとマルシェそれにユー

曽野綾子氏はカトリック界の大物である。このひとはどこだったかで一度も社会主義に心惹かれなかったことを神に感謝する、というようなことを書いておられた。

それにしても上流といえるほどの出身で、教会までついているとなれば社会主義やら共産主義やらに心惹かれないのももっともなことである。(上流出身で共産主義者になったひとは数多いるけれども。)

私は政治系団体のメンバーシップをもったことはいちどもなく、もう全共闘の炎も消え失せ、スターリンも毛沢東も死んでしまった時代に成長したのである。教皇はパウロ6世であったが私はこの方が亡くなったときはじめてその名を聞いた。次いで登位されたヨハネ・パウロ1世。この方を私は歴代教皇の中でもっとも尊敬している。

当時、公立学校の先生方には反共あるいは共産シンパをかなり露骨に表現するひとたちがいた。私は地元の寺社を熱心に回り、心を込めて祈り、読経を楽しみ、歴代天皇のお名前を暗誦し、後醍醐帝の御苦難に涙するきわめて復古的心情をもっていたが、軽薄の象徴たるアメリカをひどく嫌っていて反米的言辞を弄していたから、一部の左派教師に仲間と思われていたらしい。

ああ、しかし!いっしょくたんにしてはいけない。たとえ名前が似ていようと、同じだろうと、実は違うことは多いではないか。保守は保守でもジスカールデスタンとシラクは違うのである。共産党という名前でもベルリングエルとマルシェは違うのである。私はたとえフランスで選挙権が当時あったとしてもマルシェには投票せず、ミッテランに投票したであろう。しかしイタリア人であったならクラクシやらアンドレオッチやらには投票しなかったであろう。ロベール・ユーの顔は愛嬌があって好きだったが、ただそれだけのことである。

先頃、ローマの信心深い老夫婦のところにやっかいになってしばらく暮らした。エレナおばあさんは一人娘がケンブリッジで勉強したあと、オランダ人に嫁いでいるので、さんざんイギリス政府とオランダ政府を称賛し、イタリア政府をこきおろした。それから<共産党をどう思うか?>という。しかしもう共産党はない。ベルリングエルのあとを継いだオケットが解党してしまったし、共産再建党はたいした勢力ではない。それに私は小さい頃の私ではない。<やはり唯物論はいけませんでしょう。>と答えると、信心のかたまりのようなエレナおばあさんはたいへん満足された。
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