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声だそう多数派のみなさん

LNG火発反対に思う

2017-08-11 11:30:51 | 三保
 静岡市長は、清水港に計画中の液化天然ガス(LNG)火力発電所の計画に正式に反対表明をしました。
 賛否両論、難しい問題だとは思いますが、私は、適切な判断ではないかと思います。
 日本で古来から日本人の心の支え、信仰の原点ともされてきた蓬莱の地霊峰富士、その入り口とされる三保半島、三保の松原、清見潟などは一対のものといえます。世界遺産に選ばれた所以でもあります。日本平から俯瞰してみる清水港と駿河湾、三保半島、富士山がまさにその姿です。そしてこれらは一枚の額縁にすべて収まるのです。日本の原風景のなかでも日本一とも言える一景ではないでしょうか。日本平ホテルのモチーフは「風景美術館」です。
 しかし、先人は清水湊や三保半島を景観保全より産業開発を選択し風情ある景観は失われ工業地帯に変貌しました。開発により恩恵を受けた面もあるでしょうから間違いだとは言えないのでしょうが、景観は戻りません。今回の問題も同じテーマと言えるのではないでしょうか。市長は、今年発表した「まちづくりと不一致」を反対の理由に挙げました。推進派は、既に港湾開発されているなかで今更開発反対はないだろうと思うかもしれませんが・・。
 私は藤枝でお世話になっていますが三保出身です。三保を知るたびに失われた景観は二度と復元できない喪失感を覚えます。宗教家であった田中智学は、最勝の地富士山を眺めるもっともよい場所として三保の貝島に「最勝閣」を建設しました。多くの文人墨客が訪れましたが、開発による景観破壊を理由に三保から撤退しました。今を生きる者の責任として最低限マツの生育と併せ景観の維持・復元、伝統芸能の継承を護り後世に引き継がなければいけないと思います。この地域におけるこれ以上の人口開発は避けなければいけない、ありのままを残さなければいけません。市長には、「まちづくりに不一致」よりも「日本一の景観保全上不一致」という見解をもってほしいと思います。
 これまで市長の施策は、市庁舎、桜が丘病院、火発推進などすでにレールありきのスタンス、三保松原のボードウォークの独善性などに少なからず異論を感じていました。当然、開発推進の声に押されざるを得ない立場にあるとはいえ・・。そのなかでの表明、今回は適切な判断だと思います。
 しかし、表明はしたものの先行きは不透明です。既に4年間引かれたレールの上を進んできたのですから当たり前です・・ですが期待をしている一県民です。