Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。そして、観て面白く感じた映画の感想も書いていきます。

『あんなこんなのミステリ雑記』

2017-07-14 23:50:50 | ミステリ小説

『ゴーンガール』から約二ヶ月ほどブログを更新しないでサボっていました。

さすがに少し空き過ぎだと反省しましたので、一応読んでみたミステリのあれこれをちょっと書いておこうと思います。



『古本屋探偵の事件簿』紀田順一郎。神田の古本屋街の一角にある古書店の店主が出す、本の探偵ーーー何でも見つけますの広告。その広告を見た依頼人が持ち込む話。それは古書としての存在に

マニアと呼ばれる人々が織りなす悲喜こもごもな事件。特殊な世界に特殊な人たち。殺人も起きるし人生の哀しい軌跡も垣間見ることになります。内容的に一般的ではないので広く読者の支持を受ける

ようなミステリ本ではないと思います。紀田順一郎と云う人もミステリ作家というよりも評論家という立場の方でいろいろ書かれている人ですから。そのため逆に言うとミステリ好きにとってこの本は

マニアックな一面を持っている本と云えるかもしれませんので、「あ、それ読みましたよ」と云えるのはちょっと別な楽しみがあるかも知れません。( ´艸`)

『嗤う淑女』中山七里。悪女を主人公にしたものでピカレスクロマンってことでいいと思いますが。各人の視点で語られる話に見え隠れする一人の人物。読んでいるこちらにはその人物の思惑が

読み取れますが、当事者はそんなことは露ほども感じず自分自身の判断で行動しているつもりでいますが思いがけない結末になっていく恐ろしさ。そんな話がいくつか続き、やがて警察のアンテナに

引っかかり一人の人物が浮き上がってきますが・・・。女は怖いというお話ですが、踊らされる他の女も事情があるとはいえ無防備過ぎると思います。しかし、人をひきつける容姿と言葉の巧みさを

持ち完璧にやり遂げる女というのは現実にも居るんでしょうね。怖い怖い。

『透明カメレオン』道尾秀介。ラジオのパーソナリティとリスナーが組んで、ある事件を企てるが・・・。ドタバタ調の出だしからアクションシーンの描写が秀逸なクライマックスまで、ニヤニヤしながら

読み進みますが、ラストはお約束の驚きの結末が待っています。優しい嘘と前に進む勇気。良いことは少なく悪いことは多い、そんな境遇に居る人にはたくさんの勇気をくれる物語です。

『象牙の塔の殺人』アイザック・アシモフ。象牙の塔って言葉良く聞きますよね?その言葉の意味と語源を知ってました? 私自身もこの本を読んで気になったので調べてみました。

それまでは一応気にはしていましたが調べるまでには至りませんでした。意味と語源を知ってなるほどとは思いましたがその程度の言葉なのかというのが正直な感想でした。

大学の研究室で指導教官として日夜過ごすブレイド。その研究室で化学の実験中に毒ガスを吸って死亡した学生。事故か事件か。安泰とは言えない自身の大学での立ち位置。その立場に何かと

プレッシャーをかける妻。ブレイドは危うい立場も顧みず調べを進めます。しかし、調べれば調べるほど事故でないとすると容疑者は自分しかいないことに気づきます。

ストーリーはシンプルです。それを成し得たのは誰か?この一点で、最後にブレイドが気付いた真相も説明されれば納得です。アシモフ先生初の長編ですが悪くは有りません。

『64(ロクヨン)』横山秀夫。映画にもなって話題になっていますね。D県警の警察署の広報官である三上義信を主人公にした物語です。三上夫婦には娘が居ましたが家出をしてしまい、ある夜自宅に無言電話が架かってきました。

この無言電話というキーワードが重要であると最後になって気づかされます。( ´艸`)著者の記者としてのスキルが生かされた警察対マスコミという図式の面白さ。それに加えて三上夫婦の一人娘の家出という問題。最後まで夫婦が

無言電話に思い悩む様子が描かれていますが最後に驚きの真実が明かされます。警察内部の軋轢と誘拐犯。三上の広報官としての内面の葛藤や登場人物などがキメ細かく描かれておりそれぞれのシーンが目に浮かびます。

『ホテル1222』アンネ・ホルト。シチュエーションは、もうまぎれもなく「雪の山荘」ものです。( ´艸`)ノルウェーのフィンセにある実在のホテルが舞台になっている話ですが、ここは「スターウォーズ/エピソード5帝国の逆襲」の

ロケ地としても有名です。http://www.webmysteries.jp/afterword/hidani1510.htmlこの本の訳者の「ここだけのあとがき」というブログがとても面白いのでアドレスを貼り付けておきますから、ぜひご覧になってください。

さて、アガサ・クリスティーへのリスペクトで書かれたこのミステリですが、いろいろと幅を広げ過ぎたのでは無いかと思います。もっとシンプルにサスペンス感を盛り上げたほうが良かったのではないでしょうか。

女刑事ハンネ・ヴィルヘルムセンを主人公にしたシリーズの8作目にあたる本書ですがノルウェーでは人気の警察小説だそうです。この「ホテル1222」も密閉されたホテルで起きる殺人事件を科学捜査が出来ない環境から

主人公がいろいろと手を尽くして犯人捜しをする様子が描かれています。しかし、主人公の私生活のあれこれやオープンになっていない部分を小出しにするようなところが冗長な感じがして現場での緊迫感が薄れているように思います。

犯人も何となく感じている人物であったりと意外性も低く、キーポイントのはぐらかしさも少し不自然さが感じられます。

『片桐大三郎とXYZの悲劇』倉知淳。「星降り山荘の殺人」が有名な著者ですが、これもドリルー・レーンへのオマージュになっている連作ミステリです。有名俳優のあれこれを合体させたような主人公片桐大三郎が秘書の野々瀬枝乃

(ワトソン役)と二人で警察に頼まれたりあるいは無理やり頭を突っ込んで事件の解決に手を染めるストーリーです。四作が収められていますが三作まで読んできて最後の四作目をボンヤリ読んでいるとガツンとやられます。

この四作目がこの本のオチです。( ´艸`)こんな仕掛けのある本がとても楽しいと思います。ミステリはこうでなくっちゃ。( ´艸`)


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