しいなの独り言

音楽評論ほか

DTMへの誘い -Izanai- Act.2

2014-05-06 18:25:09 | Music/DTM
Act.1からのつづき

もう少しイメージしやすいように、仮想の作業手順を書いてみよう。

・作曲をしたくなったので、DAWソフト「Logic」を起動させた。
・まずDrumトラックをつくるため、Track1にプラグインサンプラーであるNative Instrumens社の「Kontakt」を立ち上げ、音色に同社の「Studio Drummer」を選択した。
・「Studio Drummer」をAudio Interfaceを使って外部接続されたSpeakerからモニタリングしながら、外付けのMIDI機器を使って、4小節分のMIDIデータを「Logic」のTrack1に記録した。
・まだAudio DataにはなっていないTrack1をPlayBackしてみたが、Reverbに不足を感じたため、Track1にプラグインエフェクターであるWave社の「Trueverb」を加え、モニタリングしながら納得いくまで「Trueverb」の設定値を変更してみた。その結果、理想のReverb間が得られたが、さらにプラグインエフェクターであるWave社の「Q10」を立ち上げ、音質補正を施した。
・Track1はAudio Dataに書き出しておらず、パソコンのCPUがリアルタイムに処理をしているため、CPUの負担が気にはなったが、まだ十分な余裕が見て取れたため、続いてBassトラックをつくるため、Track2にプラグインサンプラーであるNative Instrumens社の「Kontakt」を立ち上げ、音色に同社の「Scabee Bass」を選択した…
・こうしてDrum、Bass、Guitar、Organの4小節分のMIDIデータを「Logic」の各Trackに記録した。さらに作曲を進行させ、この4track分のMIDIデータの記録を完成させた。

つづく

DTMへの誘い -Izanai- Act.1

2014-05-04 22:16:20 | Music/DTM
DTMという言葉をご存じだろうか。デスクトップミュージックの略語である。
2000年頃までは、非常にコストの掛かったDTMであるが、パソコンの普及によるパソコン本体や周辺機器の大幅なコストダウン、またソフト制作会社側の様々な取り組みの成果もあり、コスト面を含め、随分踏み込みやすい環境となったといえよう。
私がDTMの道に足を踏み入れたのは、1996年のこと。まだインターネット普及前であり、一般家庭にはパソコンすらないのが普通であった時代。DTMを始めるために買ったのはMacintosh Power Mac 7600/120。Emagic社のLogic Audio 2.5を快適に使うには、16MBのメモリ増設、4GBのHDD増設、17InchのCRTディスプレイ、そしてなによりPCIバス対応となったDigidesign社製のAudiomedia IIIを購入する必要があった。この時代、パソコン本体が30万円台、4GBの外付けHDDは4万円台、17InchのCRTディスプレイは7万円台。投資総額70万円! 今では想像できないだろう。
その後、Emagic社のライバルであったSteinberg社が放った「VST」という新しい規格、これがDTMの世界を一変させてしまった。それはパソコンまわりを増強すれば夢のような音楽制作環境が構築できることを予感させるものであった。そして今、パソコンや周辺機器のコストパフォーマンスは劇的に、飛躍的に向上し、先述の「随分踏み込みやすい環境」となったのである。
話を戻そう、そもそもDTMとは何なのか。

簡単に言えばパソコンを使った音楽制作環境、ということになる。しかも今ではパソコンとごく安価な周辺機器があれば「およそ想像つくことはなんでもできる」といえそうな状況なのである。キーワードは「デジタル処理技術」。もともとパソコンの得意技である。
デジタル処理技術。
たとえば、画像の世界。1996年当時、カメラはアナログで、フィルムを入れ替えて撮影し、撮影すれば現像に出していた。今はどうだろう。昔懐かしいカメラ屋さんを訪れることはまずないのだ。そして今みんなが主流で使うカメラはズバリ、スマホである。
同様なことが映像や印刷の世界でも起こっている。テレビのアナログ放送もすでにない。アナログであったものはことごとく「デジタル」に変貌してしまった。
さて、DTMだ。1980年代に音楽制作には変革が起きている。まずはデジタル録音の普及、そしてデジタル媒体の普及である。それまでの主流であった「レコード」は、瞬く間に「CD」に取って代わられた。本当にあっという間の出来事であった。
「デジタル」の長所は聞く側にとっては「再現性のよさ」であり、制作側のメリットは「取り扱いの簡便さ」であった。ただしその段階では、アナログの長所はそれに勝るものをもっており、それは「品質(=音質)」であった。CD草創期には、デジタル媒体にはまだ「安物」のレッテルがつきまとった。しかし、業界は努力した。それが今のDTMの隆盛につながっているのである。

今、DTMでできること。
・パソコンを楽器にできる。たとえばデジタルシンセに、たとえばサンプラーに、そしてたとえばドラムマシンに。それも極めて高品質の。
・楽器の演奏者にすること。専門用語では「シーケンサー」。外部の楽器や「パソコン本体を楽器化した部分」をプログラムに忠実に演奏する。何度でも。忠実さを破らせ、ゆらぎを作ることもできる。
・デジタル録音機器。しかもマルチトラック。外部の楽器や「パソコン本体を楽器化した部分」も録音可能。音質は今流行のハイレゾクラスもカバー。
・デジタルミキサー。画面上のフェーダーをマウスで操作したり、外部機器で操作したり。
・デジタルエフェクター。リバーブ、イコライザー、コンプレッサー、ディストーション、何でもあり。マスタリングも。マスタリング結果はCDに焼くことも、配信することも。
いかがだろうか。まさに万能なのである。

以上の作業に必要な機材を記そう。

・パソコン。たとえばiMac。Apple社製がいいのではないか。Windows系もいいのだろうが、私はDTM用には使ったことがない。つまりわからない。
・「Logic」「Cubase」に代表されるいわゆるDAWソフト。DAWとはデジタル・オーディオ・ワークステーションのこと。演奏情報を構築・記録する「シーケンサー」から発展し、デジタル楽器としての機能、デジタルレコーディング機能、デジタルミキシング機能等を備える。つまり、このソフトさえあれば、パソコン自らが発音し、それを多重録音で記録し、トラックごとにエフェクターを掛け、音量バランスを調整し、ミックスダウンすることも可能なのである。Logicは今はApple社の製品として非常に安価に売られている。
・オーディオインターフェイス。USB接続のものが使いやすいだろう。iMacにもオーディオ端子があるが、少し貧弱。オーディオインターフェイスをパソコンにUSB接続し、オーディオインターフェイスのオーディオ端子を使うべし。
・MIDIインターフェイス。MIDIとは「Musical Instrument Digital Interface」の略語。デジタル楽器同士をつなぐ規格で、使用するのはMIDIケーブル。パソコンとはUSBケーブル等でつなぐ。上述DAWソフトはそもそもMIDIデータを記録するためのもの。MIDIデータとはおもに演奏情報データや音色データ。シンセの鍵盤をたたく強さやON/OFFのタイミング等を記録することで、一度弾いた演奏を何度でも再現できる。途中の音色変更なども記録できる。実際に演奏した内容をデータ記録もできるし、マウス等を利用し、プログラムすることもできる。くどくなるが、録音が実際の音を記録するのに対し、「演奏情報」を記録するという違いがある。
・スピーカー。パワードスピーカーがいい。オーディオインターフェイスとつなぐことで実際の音が聞ける。

つづく