『ドカベン』関東大会の大熊谷工業ってこれ? 昭和55年埼玉大会決勝 川口工業 対 熊谷商業 その2

2017年03月21日 | スポーツ
 前回(→こちら)の続き。

 昭和55年夏の埼玉大会の決勝戦、川口工業対熊谷商業戦。

 甲子園をかけた大一番だが、中盤で明らかなミスジャッジがなされてしまう。

 本来なら盗塁成功していたのをアウトにされ、川口工業は猛抗議(高校野球ではホントはダメ)するも通らず、試合はそのまま続行されてしまう。

 おさまらない川口工業は、怒りのプレーで猛アピール。

 といっても、ここは球児らしく投手がマウンドで奮起とか、キャプテンが堂々とバットでお返しとか、そういったさわやかな展開にはならない。

 今より、やや荒っぽかった昭和の時代のこと、「不良」「家庭内暴力」「校内暴力」ブームのころだ。ナインをはじめとする川口工業陣営は、もうちょっとばかしシンプルに、「バイオレンス」で訴えかけることにしたのである。

 まず、誤審のあったプレーのあと、観客がグラウンドになだれこんでくる。

 かつて1985年に阪神タイガースが優勝したとき、そのファンの熱狂ぶりがクローズアップされ、
 
 「さすが関西のファンは激しいなあ」

 なんて苦笑いしたことがあるけど、なんのことはない、どこに地区にもそういう人というのはいるものなのだ。 

 ましてや舞台は高校野球なのに、この狼藉。「さわやか」「フェアプレー精神」、そんなもん、どこの国の冷汁うどんや、と。

 しかも、それをたたき出していたのが、川口工業の監督。

 これに対して解説の人が、「立派ですよ」と称賛しておられましたが、監督さんは暴徒の首根っこをひっつかむわ、肩をどかどか押すわ、これまた荒いのだ。

 ふつうなら、「ここはひとつ、わたしに免じて下がってください」とか頭を下げるのかと思いきや、

 「とっとと出さらせ、このぼけなす!」

 とでもいいたげな、「喧嘩上等」な空気感であった。完全に茹であがってます。

 さわぎはこれで終わらない。今度はスタンドからバンバン物が投げられて、球場は騒然となり、実況のアナも困った様子。

 さらには川口工業の「報復」も開始され、キャッチャーがホームで、すでにセーフになったランナーになぐりつけるようなタッチをかまし、ちょっと小競り合いになりかける。

 攻撃陣も、セカンドにすべりこむ際、だれが見てもわかるくらいに足をあげてベースカバーにスパイク。いわゆる「殺人スライディング」を決めたりもする。

 さらには、アウトを取ったあとの内野の球回しで、バッターにそのボールをぶつける(!)、スクイズでファーストがバッターランナーのみぞおちに一撃入れ昏倒させるなど、もうやりたい放題。

 なにかもう、マンガみたいというか、ようこれで失格にならなかったなというようなラフプレーが、これでもかと連発されるのだ。

 さすがは昔の工業高校、バイオレンスである。今なら炎上必至であろう。だれか止めろよという話だ。
 
 で、この映像の途中あたりで確信したわけだ。

 「あー、あの大会の元ネタって、これやったんや」。

 実を言うと、クリックしてすぐ、学校名を見たときにピンとは来ていた。

 なんといっても、「埼玉大会」で「熊谷」商業と川口「工業」。となれば、「大熊谷工業」と、すぐに結びつくというものですわな。

 なるほど、野球漫画は好きだけど、現実の高校野球にさほどくわしいわけではない私からすると、あの暴力描写は意味不明で唐突に見えるだけで、連載当時読んでいた人は、

 「あー、あんときのアレか」

 なんてニヤニヤしていたのだろう。たしかに、マンガのネタにでもしたくなるような、おもしろシーンではあった。

 高校野球の偽善性を嫌う人や、実際に高校時代野球部だった友人知人からは、

 「現実の高校野球は、あんなさわやかなもんとちゃうけどな」

 なんて話を、けっこう聞くこともあるけど、まあ言いたくなる気持ちもわからなくもない映像だ。

 でもまあ、アイドルと同じで、現実とファンタジーがあまりにも乖離していながらも、「その虚構性が魅力」のジャンルともいえるかもしれないけど。

 当時の高校球児の豪快なエピソードが知りたければ、愛甲猛さんの、『球界の野良犬』がおススメ。

 やることなすこと無茶苦茶すぎて、逆に大爆笑の一冊です。
 


 ■おまけ マッドマックスな雰囲気バリバリの試合の模様は→こちらから







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