『ドカベン』関東大会の大熊谷工業ってこれ? 昭和55年埼玉大会決勝 川口工業 対 熊谷商業

2017年03月20日 | スポーツ
 「『ドカベン』に出てきたあの学校のモデルは、これやったんか!」

 積年の謎が解けてスッキリした気分になったのは、ある休日にYouTubeを観ていたときのことであった。

 スポーツを題材にしたマンガに出てくる人物名や学校名は、探せば結構「元ネタ」が見つかったりする。

 『キャプテン翼』に出てくる「南葛小学校」は、作者の高橋陽一氏が通っていた都立南葛飾高校からつけたというのは有名だが(静岡じゃないと知った時はおどろきましたけど)、ほかにも、スラムダンクの「湘北高校」は舞台となる神奈川の名門「湘南高校」をもじってるとか、『ヒカルの碁』の中学の名前は全部魚とか、こういうのは発見できると小ネタとして楽しいものだ。

 中でも、水島新司先生の『ドカベン』(および『大甲子園』)では、明訓高校が5回も甲子園に出たため、そのたびに全国の代表校を考えねばならず、なかなかに大変だったのはなかろうか。

 もちろんここでも多くの「元ネタ」があり、主人公らの通う「明訓高校」が水島先生のあこがれであった「新潟明訓高校」から、ライバル「白新高校」は自身の出身校である「白新中学」から取ったとのこと。

 これはもう、探せばいくらでも出てくるもので、「江川」学院、「青田」高校、「藤村」甲子園、「真田」一球などなど、往年の名選手にちなんだ名前も。野球以外でも、「坂田三吉」「国定忠治」とかもあったりする。

 そんな軽いヒマつぶしには最適な「元ネタ探し」だが、私が長らく謎と感じていたあるエピソードに、「元ネタ」があることが先日わかって、

 「あー、だから水島センセ、こんな話をわざわざ描きはったんかあ」

 そう納得したわけで、それというのが、『ドカベン』における、山田太郎ら「明訓四天王」2年次関東大会。

 それまで無敗を誇っていた王者明訓が夏の甲子園でまさかの敗北を喫し、大平新監督のもと、新チームで再起をかける時期。

 いよいよ3年次に向けて物語も盛り上がりを見せるかと思いきや、弁慶高校に敗退後ストーリーは露骨な失速を見せる。

 これはすでに『大甲子園』の構想を見ていた水島先生が、

 「一刻も早く、山田太郎と中西球道の対決を描きたい!」

 と、そっちに気が行ってしまったからだという説があるが、展開はスピーディーを通り越してほとんどダイジェスト版だわ、新キャラにいまひとつ魅力はないわと(大平監督の息子である大平洋以外だれ一人再登場しない)、ファンの中でも残念感がただよう内容となってしまった。

 中でも子供心に「なんやこれ」となったのが、埼玉県あつかいのヒドさ。

 作品中、関東大会は埼玉で開催されるのだが、とにかくここに出てくる埼玉人のガラがめたくそに悪い。

 高校生相手にブーイングするわ、ヤジは飛ばすは暴れるわ、ほとんど暴徒あつかいなうえ、審判も地元びいきのジャッジをして平気の平左。

 特にインパクトがあったのは、埼玉大会2位通過の大熊谷工業。

 盗塁を助けるため、キャッチャーの腹をバットで一撃とか、思いっきり故意のビーンボールとか、もうやることなすこと無茶苦茶なのである。ホントただの不愉快な荒くれ者なのだ。

 読んでいて、「埼玉ってコワイなあ」ってビビりまくりで、なんだか、水島先生はよほど埼玉に含むところがあるのか、偏見なんちゃうかとか、なんでこんな話描きはったんやろと、ちょっとした謎だったのである。

 で、そこから月日が流れて幾星霜。

 先日、YouTubeで阪急ブレーブスの映像を楽しんでいたら(私は昭和後期パリーグのファンなのです)、「この映像を見た方におススメ」なものとして、こんなのが出てきたのだ。
 
 「【高校野球で観客乱入】史上最悪の大誤審」。

 観客乱入。なんだか、ずいぶんとおもしろそうではないか。

 興味をひかれて開いてみたら、これが昭和55年夏の埼玉大会の決勝戦、川口工業対熊谷商業戦。

 最初はごくごく普通の野球であったが、これがおかしなことになるのは、あるワンプレーから。

 中盤、川口工業の攻撃で一塁ランナーが盗塁を試みるも失敗。

 ところがこれ、ベースカバーに入ったショートがボールをこぼしていて空タッチ。明らかにセーフなのだ。

 しかし、判定はアウト。

 これがまた、スローでもう一回見ればとかいう問題でもなく、どう見たってショートは落球している。

 阿呆でもわかる。完全無欠のミスジャッジだ。

 さあ、こうなるとおさまらないのは川口工業の陣営だ。

 監督や選手が抗議するのは当然として(といっても高校野球ではダメなんだろうけど)、ランナーもベース上から動こうとしない。

 スポーツマンシップからいえば、ショートが「あ、自分落としてました」と言えばいいわけだが、舞台は甲子園をかけた一戦というのがミソ。

 絶対に負けるわけにはいかないうえに、万が一そのセーフになったランナーが返って決勝点になったりしたら、なにをどう言われるかわかったものでない。

 今なら、「炎上」によるイメージダウンを考えれば、目先のワンアウトより、自己申告して「好感度」を取った方が良策かもしれないが、時代も時代だし、リスク(?)を冒すにはかかっているものが大きすぎるし、そこは人それぞれというしかない。

 で、ここからが本番だ。

 ただでさえ、甲子園がかかった大一番なうえに、昭和という時代は、世界最強の治安の良さをほこる平成の世よりも、やや雰囲気が荒っぽかった。

 ここから、川口工業の大逆襲がはじまる。

 といってもエース怒りの熱投とか、チーム一体となり連打連打で逆転とかではない。

 もっとストレートに「暴力」で猛アピールを試みるのである。



(続く→こちら





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