「ヨーロッパでもっとも危険な男」オットー・スコルツェニー少佐

2016年09月17日 | コラム
 「『できる男』といったら、オットー・スコルツェニーしかいないだろうが!」

 などと声を荒らげそうになったのは、ある昼下がりのランチタイムのことであった。

 こじゃれたイタリアンの店にいて、ロバート・シェクリィ『無限がいっぱい』など読みながらボンゴレスパゲティーをずるずる音を立てて食べていたところ、横のテーブルからこんな声が聞こえてきたのだ。

 「やっぱ、恋人にするなら仕事ができる男よね」

 見てみると、OLさん4人連れが仲良くランチをしていた。

 「恋人にするならどんな人がいい」という話題からの流れで、そこでは例として、嵐の櫻井翔君やくりぃむしちゅーの上田さん、ロザンの宇治原さんなんかがあがっていたが、私としてはひとつ大事な人物が抜けているような気がしてならなかったのだ。

 もしもしお嬢さんたち、オットー・スコルツェニー少佐をお忘れではないですか、と。

 オットー・スコルツェニー。

 第二次大戦中のドイツ軍にはエルヴィン・ロンメル、エーリヒ・フォン・マンシュタインなどなど世に聞こえた名将が多いが、中でもスコルツェニー少佐は「特務作戦のスペシャリスト」として鳴らしたのが異色だ。

 この人はまさにスパイ小説を地でいく、皆がド胆を抜くようなエピソードを数々残していて、それがいちいちおもしろい。

 大戦末期。ソ連の物量に押されっぱなしのドイツ軍は敗走につぐ敗走で、とうとう占領していたロシア本土から東ヨーロッパまで押し戻されてしまった。

 こうなると枢軸側についていたはずのルーマニアなど東欧諸国は、

 「こらあかん。ちょび髭の伍長殿もいよいよ終わりやで。このままやったら、ワシらも負ければ賊軍でどんな目に合うか……」。

 いよいよ足元がぐらつきだし、「パンがなければケーキを食べればいいのよ」と言い放ったアントワネットのごとく、

 「どうせ負けなら、とっとと裏切ればええんや」

 恥も外聞もなく反転してドイツに宣戦布告。それを見て同じく同盟国ハンガリーも

 「どないしたらええんや……どう考えてもドイツは負けるし、そうなったらワシらも敗戦国や……」。

 もうビビリまくりで、負けチームに居残るか、それともスターリンを選ぶかという古い言葉でいえば「究極の選択」を強いられるハメに。

 そこにあらわれたのが、我らがスコルツェニー少佐。

 ただでさえ負け戦なのに、たいした戦力ではないといえ同盟国にまで寝返られたら泣き面に蜂。

 「おっしゃ、ワシにまかせたらんかえ! パプリカ野郎ども、なんとかしてくるわ!」

 とばかりに、ヒトラー総統の命令を受けて「ミッキーマウス作戦」を発動。ハンガリーに極秘潜入し、独裁者であったホルティ提督の息子を誘拐。

 「オラオラ第三帝国裏切ったら、かわいい息子がどうなるかわかっとるのやろうなオラオラ」

 首根っこひっつかんで脅迫を敢行しようとする。

 そこから紆余曲折あった末、続けて始動した「パンツァーファウスト作戦」では極右勢力「矢十字党」をあおってクーデターを起こさせることに成功。

 寝返る直前だったハンガリーに、親独政権を樹立させ、見事味方につなぎとめたのであった。

 すんげー話だ。

 いわば自衛隊のレンジャー部隊が北朝鮮に極秘潜入し金正恩を誘拐した上、韓国の反政府ゲリラを指揮して朝鮮半島に親日政権国家を作るようなもんである。

 とんでもない、まさにクリスチアナ・ブランド級のはなれわざである。

 これこそまさに、真の「仕事ができる男」ではないか。

 こじゃれたイタリアンの店でOLさんたちに、そんなステキな男性を紹介してあげたい。

 そんな気分になった、さわやかな9月の昼下がりであった。




 (続く→こちら



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