セリエAのインテル……というか、サン・シーロ・スタジアム観戦記 その2

2017年08月10日 | スポーツ
 前回(→こちら)に続いて、イタリアサッカー観戦記。

 「サン・シーロはプロの建築関係者が見てもすばらしい」。

 との話を聞いて、一路ミラノにむかった私。

 ミラノは日本ではミラノ・コレクションなどで有名なわりには、滞在するにはさほど魅力はない街である。

 観光地は駅前にあるドゥオーモくらいだし、有名な『最後の晩餐』も修復具合がイマイチで、はっきりいってヘボい。メシも、これはミラノにかぎらず北イタリアの大都市はたいていそうだが、マズイ。

 あとは買い物くらいで、グッチやプラダの店では日本人観光客が黒山の人だかりになっているが、ブランドものに興味のないプロレタリアートには無縁の場だ。

 することがなくて、なぜか町の床屋で散髪などしながら時間をつぶして、さて陽も落ちたところでいよいよサッカーを見に出かける。

 インテルの本拠地であるスタディオ・ジュゼッペ・メアッツァはバスで行くこととなる。

 予想通りというか、サッカー目当ての日本人旅行者もけっこういて、同じバスに乗り合わせてあれこれ話したりもした。

 その中には某有名サッカー誌の元編集者で、今はフリーのライターとして活動しているという方もおられて、他の面々が、

 「え? ○○誌で働いてたんですか? ボク読んでますよ!」

 などと感激して、あれこれと裏話的なことを聞きたがっているのをよそに、そのライター氏は延々と同乗していた日本人女性をナンパしていた。おいおい、男も相手したれよ。

 そんなつっこみを入れているうちに、バスはサン・シーロに到着。土曜のナイトゲームというせいか、客席は満員であった。

 多いだけではない。熱気もすごかった。まだ試合がはじまってもいないのに、各所で「オーオー」という声援。

 隠し持ってきたのだろう、発煙筒を炊く者、酔っぱらっているのか、すでに小競り合いをはじめている若者もいる。

 うーん、これこそがサッカーの会場やよなあ。私はその盛り上がりに、はじめて

 「本場のサッカーや!」

 という高揚感を覚えた。

 これまでもベルギー、フランスでサッカーを見たが、それらの国のスタジアムはもっとおとなしかった。

 客層にブルーカラーのおじさんが多くて、気取ってないのはミラノと同じだけど、観客も声は出すけど粗暴ではないし、ましてや身の危険のようなものなど感じることもなかった。

 ところが、このサン・シーロではずいぶんと雰囲気が違う。なんというのか、誤解をおそれずに言えば、こっちのほうが数段いかがわしい。

 渦巻く熱気に、うっかりしていると事故に巻きこまれたりするんじゃないかとか、明らかに

 「サッカーだけが人生のダメおじさん」

 みたいな人がイッた目で声を張り上げていたりといった、全体的な「イケてない感」や、VIP席にはマフィアが座っていても違和感がないような、そういったアヤシサが爆発しているのだ。

そう、これこそがイタリアのサッカーである。彼の国と、そしてサッカーという競技自体が持つ光と、ドロドロとした生活臭あふれる陰の部分。

 それらが渾然一体となって、闇鍋のようになっている。なるほど、この空気感は確かに体験する価値はあるかも知れない。

 やはりサッカーは庶民の、それも人生イケてない人のスポーツ。日本ではときおり「野球vsサッカー」みたいな対立構造を作ろうとする人もいるけど、私からすれば、ヨーロッパサッカーの雰囲気で一番近いのは、

 「コテコテの昭和のプロ野球ファン」

 だと思うけどなあ。平和台とか藤井寺とか、あのへんだよ。同じ人種だ。

 そんな、大歓声と発煙筒の煙と、なぜかオレンジなど果物が飛び交う、とにかくカオスで魅力的なサン・シーロ・スタジアム。

 では、肝心の建造物としてのスタジアムはどうなのかと問うならば、これが見てビックリ。

 なんとまあ、予想以上に、これがすばらしいシロモノだったのである。

 私もこれまで野球やサッカーなどをいくつか生観戦したが、その感想はといえばたいていが、

 「こら、テレビで見た方がええやろうなあ」

 プレーが比較的近くで見られるテニスなどと違って、野球やサッカーは競技場の規模がでかい。

 必然、どうしても選手は遠く、それが誰で、どういうプレーをしているのかわかりにくい。

 それとくらべたら、テレビはアップで見せてくれるし大事なところはリピートしてくれるし、解説はうるさいことが多いけど、ボールを持っている選手の名前も教えてくれる。

 もちろん、生観戦は「雰囲気代」コミだから同列にはくくれないけど、単純に試合を見るだけなら、テレビの方が見やすいのはたしかである。録画もできるし。

 ところがどっこい、私はその概念をこのサン・シーロでくつがえされることとなったのだから、やはりなんでも経験してみないとわからないものなのだ。


 (続く→こちら





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