天宿公園はうちから歩いて3分くらいのところにある公園である。
最近あんはこの天宿公園がお気に入りである。
と言うのは、あんとこの公園で毎晩のように追いかけっこするのである。
だから、寝ているところを起こされても、外に出て、ブルブルをして、おしっこをすると、その公園まで走って行ったりする。
昨夜もあんはうちを出るとノリノリですぐに後ろを振り返り、軽く尻尾を振って、「走ろう、走ろう!」の合図をしたので、公園まで駆け足で向かった。
昨夜は初めて靴を履いて行ったので、自分もノリノリだった。
天宿公園は小さな公園だが、板張りのところ、グランド、草むらがあり、滑り台やベンチも何個かある可愛い公園である。
昨夜は公園に行くと、ベンチに座っている男女がいたが、気にせず、あんと追いかけっこをした。
公園に着くとあんはまず草むらにダッシュする、そこでいろいろな匂いをかいでいる。
それが終わると追いかけっこになる。
自分が逃げたり、あんが逃げたりして、また立ち止まって、「うぅ~、はぁ~」など言って戦ったりする。
そして、自分はすぐに疲れる。
疲れて休んでいるとあんには思わせておいて、また急にダッシュしてあんを追いかけたりする。
昨夜はあんが逃げている時に自ら滑り台に頭をぶつけた。
「おい、あん。大丈夫か。痛いな~痛いな~」とあんの頭を撫でてあげた。
するとあんはしょげたのか、まだ来てそんなに経ってもいないのに公園を離れようとした。
せっかく靴まで履いてきたのに、と思ったが、あんの気持ちを察して、昨夜はまた違うところを歩くことにした。
あんはトコトコ歩き出すと、すぐに滑り台に頭をぶつけたショックから解放された。
あんの痛みは静かな夜が優しく引き受けてくれた。