昨日インドビザを申請しに行った。
このビザは申請する時はいつもかなり緊張する。
それは一番最初にインドに向かう時のあの緊張が蘇るからだろう。
もうオジサンであるが、にも関わらず、私のなかの小さな男の子が「怖い、怖い」と不安にかられて、私の全体を包み上げるからである。
「もう良いんだよ、怖くなんかないよ。またカルカッタに行けるんだから。またマザーに逢えるんだから」と私は何度となく小さな男の子に話しかけ、励まし、すべての緊張を抱きしめた。
ビザは無事に申請された。
ほっとした。
ほっとしたオジサンは何だかビールを飲みたくなった。
だが、午後から仕事なので、それは諦めた。
ビルの狭間のアスファルトの地面に陽光が差し込み輝いていた。
空は青く、雲は白く、きりっとした冷たい風が吹くなか、私は解放された喜びに満ち、神さまは祝福してくれているようだった。
「カルカッタが近づいてきた」と私は拭い切れない緊張を感じながらも、あの歓喜の街カルカッタの風景が脳裏に広がり、雑踏の音が聞こえて来た気がした。