「私もTough loveなんて聞いたこともないです・・・」とシスター純愛は深く胸のうちにその言葉を感じていたようであった。
それからシスターニルマラが亡くなった後にシスターたちに残されたシスターニルマラの自叙伝があることを教えてくれた。
たぶんマザーテレサが福者になった後にシスターたちの願いによってシスターニルマラは幼い頃のことからカトリックの改宗したこと、マザーとの逸話などを残していたのだろう、そしてシスターニルマラの死後、それをすべてのシスターたちに伝えたらしい、私もいつかそれを読んでみたいと思った。
「やはり物凄い人格者でした、シスターニルマラは。マザーが次の総長に選んだのは深い信頼があったのでしょう。自分はニルマラが沈黙してくれた時、ほんとうに救われると感じたんです。自分の苦しみを深く全身で受け容れてくれたように感じたんです。これが神さまと自分の関係であると。神さまは沈黙しているが、実はそうではなく、いつも深く見守っていてくれている、その実証をシスターニルマラが意図せずに現してくれたような気がするんです。あの沈黙のなかにあったあたたかな愛を、自分は神さまとの間にもあることをこれからもっと感じる必要があるように思うんです。そしてTough loveの言葉にはほんとうに勇気づけられました。」
シスター純愛はなおも深くニルマラのそれを胸のうちに感じているように、ゆっくりと頷いてくれた。
私たちの会話は到底五分では終わらなかった。