自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

夏のブラウス

2014-04-18 07:47:42 | ひとり言
衣替えである。


「ほら、薄手のブラウスがあるでしょ。あれ、持ってきてほしいの」


施設暮らしの母親は、自分の衣服のほとんどを未だにマンションに置いてある。


そして、その量たるや驚く程。


女性だから、当然といえば当然なのでしょうが、昨年の冬に向けた衣替えの時も結構大変だった。


少し大きめのダンボール箱に、「薄手のブラウス」は、溢れるほどになった。


施設に持って行き、母親の部屋で選別。



「あっ、それは今の季節にいいわね。」


「それはいる」


「それはもういらない」


「それはシワにならないからいいわよね」


「あら、こんなところにはいってたのね」


「赤のブラウスがないわねぇ」


「それは首が苦しいのよ」


「これはいいものなんだけれど、もう着ることもないかしら」


ここに書いた何倍もの「独り言」を聴きながら、ボクはひたすら選別をし続ける母親につきそう。


大正生まれの母親は、「物を大事にする」のはあたりまえ。


「もう着ない」ブラウスも、「捨てる」ことはしないのである。


「もったいないからねぇ」


施設からの帰り道は、ブラウスを入れていったダンボールに溢れるほどの冬物を入れた。
 

また、秋冬の衣替えも元気に迎えさせてあげたい。

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