遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

「イスラム国」の内部へ

2017年01月30日 12時16分03秒 | 読書

     「イスラム国」の内部へ
            悪夢の10日間
                   ユルゲン・トーデンヘーファー(著)2016年6月発行

    ISの現象を理解するためには、
    その場にいたことがなければならない。
    敵に勝ちたいと思えば、
    その敵を知らねばならない
    —
    という著者は強い信念のもと、2014年12月トルコ国境を越え、
    イスラム国と称される地域に入る。
    そこに到るまで、テロリストとのチャットを通じて潜入する方法を探し、
    そんな中、ISでの名前が「アブー・カターダ」というドイツ人らしき男性と
    度々メール交換やスカイプでの会話が可能となり、7ヶ月ほど交渉を続けた。
    ついに、ISのカリフから彼の生命保証の証書を発行してもらう、という約束
    をとりつけ、父の身を案じ同行することを望んだ息子「フレデリック」が
    映像担当として、友人「マルコム」が記録係として、この三人でイスラム国へ
    向かうこととなる。

    2014年末当時のISと2017年現在では、ISの組織自体や取り巻く状況
    大きく変化していることは、間違いないのだが、
    ISの主張、行動の元となるものは、変わっていないはず。
    理解に苦しむISの行動の原点となっている、イスラム信仰や理論、その解釈が
    リアルにリポートされていて、とても貴重だ。
    常に生命の危機にさらされながらの取材で、
    心配する息子に止められながらも、
    命をかけてまで現地で直接IS戦士に疑問を投げかけ、
    議論する姿には恐怖を覚えつつも感心してしまう。
    彼が身内だったら、生きた心地しないだろうなあ。
    
    とにかく、IS内部の占領各地を戦士の厳しい監視のもと、車移動しながら、
    現地ISの戦士達に率直な疑問を呈し、議論となり、一触即発となったり、
    IS管理下の町の人達直接、触れ合い、会話したり、と
    すこぶる貴重な潜入記録なので、一読の価値有り。
    ISのイスラム信仰と彼らの言動を勿論理解はできないにしても、
    彼らがいかなる信仰、信念をもち、激しい怒りを抱き戦闘行動を起こしているのか、
    が、うっすらと分かってくる。
    それらを知ることにより、テロなどを事前に抑止することが可能になることもあるはず。

    ドイツで法律家として生活をしていた著者は、
    アメリカ同時多発テロ事件を機に、現場取材を重要と考えるジャーナリストとなる。
    きちんと相手を知って取材するためにコーランも読みこんでいるし、
    アルカイダに潜入、ソマリア内戦も体験、
    と危険を顧みず(慎重に準備はしているとのこと)現場主義を貫き通す。
    著者の信念と行動力、正直さが、とにかく凄くて、同じ人間とは思えないほどだ。
    また、自署の出版収入を、アフガニスタン、イラク、シリア、コンゴ、エルサレムなど
    戦争の犠牲になった子供たちに寄付している、ということからも、
    著者の反戦、平和を求める揺るぎない信念、想いがうかがえる。
  
    感じ方は人それぞれながらも、これだけ世界中でテロが多発している今だからこそ、
    読んでおくべき一冊かもしれない。    
    
        わがまま母
      
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