『 詩劇適宜 』SEIGOFUKUDA
福田誠吾 - VERSE DRAMA PROPER STEPS -
詩として示せるその日の感情と一寸の適当◯
劇として表せるその場の感覚と言葉の発信◯
歌として奏でるその時の感性と譜面の超越◯
舞として踊れるその期の特性と身体の躍動◯
絵として描けるその後の世界と予知の余地◯
以下につづく駒のように演じる語句の台詞◯
真偽にふれず詞のように語れる文句の飛翔◯
虚構にならい役のように発する文言の数列◯
化物にならず人のように問える現代の活劇◯
後世になれば真のように思える想像の産物◯
うごく位置と場所と日頃は関心的な容易で◯
つくる意思と興味と向上は建設的な用意で◯
はしる文字と文面と覚書は間接的な用紙で◯
かたる音声と本題と構成は音韻的な要素で◯
まじる配分と調合と実際は視覚的な様相で◯
しずけさのなかにうごきもかんじれている◯
たしかさのなかにすかしものぞかせている◯
まぶしさのなかにいろみもちりばめている◯
やさしさのなかにかたさもしのばせている◯
はかなさのなかにのぞみもいきづいている◯
日常に詩劇はあるか探求している熱心さで◯
生活に刺激はあるか確認している普通さで◯
道中に繁木はあるか目視している自然さで◯
展開に衝撃はあるか熱望している真剣さで◯
視点に衝動はあるか選定している一徹さで◯
画面に何を視る石と岩と地面の転がる境界◯
天然に何を知る草と葉と望郷の念じる諸方◯
都市に何を見る窓と扉と照明の浮かぶ夜景◯
眼前に何を得る図と詩と凡庸の埋まる地階◯
側面に何を観る角と隅と外壁の囲める町並◯
見上げているだけの底辺の眺望と高層建築◯
循環しているだけの定期の周回と類似表示◯
連動しているだけの行数の区分と配置様式◯
連想しているだけの字面の調整と詩文思索◯
完走しているだけの毎回の到達と発表継続◯
人影の無い無人の場所で無言の挨拶と通過◯
人気の無い冷徹の道程で長年の馴致と空虚◯
応答の無い通常の閑散で独自の製作と詩作◯
返信の無い静寂の空間で言語の練習と復習◯
反応の無い孤独の世界で自分の陰影と対話◯
傾きも感じながらのきわきわなおす水平面◯
頂きも通じながらのとんとんたてる垂直面◯
勢いも増しながらのいそいそのぼる急斜面◯
呟きも覚えながらのこまごまかける几帳面◯
描きも表しながらのときどきみえる新生面◯
ありしひのかきだしのよみこみでのしめし◯
ありさまのかきかけのかたがわでのこぼれ◯
ありがちなあらわれのかきとめでのみばえ◯
ありふれたみてくれのしあがりでのみせば◯
ありがたいみてくれるひとがいるのならば◯
2024
『 端緒調書 』SEIGOFUKUDA
福田誠吾 - CULTURAL CLUE REPORT -
うごきかんがえてひろくみつけるいとぐち◯
まわりあらためてふかくみつめるはじまり◯
めぐりしりはじめとおくみまわすみちのり◯
つとめととのえてちかくみかえすてがかり◯
おぼえのみこみてはやくみなれるおおまか◯
遊覧から乗り出すように眺める建築の林立◯
先例から掘り出すように深める構築の規律◯
経験から編み出すように高める方法の樹立◯
音声から呼び出すように含める構成の韻律◯
隣接から選び出すように組める配置の能率◯
よくしらべてはかきとめることかきこめる◯
よくとらえてはききすますことききこめる◯
よくあつめてはくみあわすことくみこめる◯
よくはなしてはひきあわすことひきこめる◯
よくさがしてはふみだせることふみこめる◯
表出しているたくさんの入口と彩りの花壇◯
点滅しているたくさんの糸口と捗りの手段◯
混交しているたくさんの裏口と振りの遮断◯
活用しているたくさんの窓口と絞りの判断◯
巡回しているたくさんの出口と募りの階段◯
砂に雪がまじるその時期的な景観から純粋◯
雨に泥がまじるその天候的な混濁から清浄◯
空に氷がまじるその気象的な観点から想像◯
街に緑がまじるその均整的な感性から調和◯
画に図がまじるその説明的な平面から正面◯
意味はあるのか反応は皆無でもつくること◯
位置はあるのか順応は不馴でもうごくこと◯
異形はあるのか基準は不純でもすすむこと◯
逸品はあるのか特別は無縁でもさがすこと◯
入用はあるのか回答は不問でもわかること◯
音楽から鑑賞と耳にする微かの音律か調律◯
紙面から構想と手にする僅かの倍率か縮尺◯
街並から眺望と目にする遥かの卓立か卓出◯
現場から着工と後にする何かの造立か建立◯
世俗から噂話と気にする誰かの設立か独立◯
かわりつづける情報どれくらい真にきづく◯
まわりたがえる情勢どれくらい現にとどく◯
もぐりとらえる情感どれくらい芯にひびく◯
ひかりあふれる情景どれくらい心にのこる◯
わかりしりえる状態どれくらい後につづく◯
どこまでも人間の神秘が天然色褪せしない◯
なかまでも自然の形象が永遠途切れてない◯
そこまでも現象の超常が連鎖気付かせない◯
いままでも研究の調書が長年仕上がらない◯
いつまでも自分の長所が全然見当たらない◯
そとではみつけることができるよいところ◯
ほかではみいだすことができるよいところ◯
よそではとらえることができるよいところ◯
べつではながめることができるよいところ◯
ひとにはつたえることができるよいところ◯
2024
『 循環機関 』SEIGOFUKUDA
福田誠吾 - CIRCULATION CONTRAPTION -
めぐるめぐるいれかわりまたまわるまわる◯
かわるかわるくみかわりまたすぎるすぎる◯
しげるしげるはえかわりまたかわるかわる◯
すぎるすぎるゆきかわりまたしげるしげる◯
まわるまわるとりかわりまためぐるめぐる◯
あの屹立の構造は自然のようで機械である◯
あの建物の外観は住宅のようで工場である◯
あの微細の壮観は実写のようで絵画である◯
あの郊外の起伏は砂岩のようで泥土である◯
あの地形の特徴は地続のようで地下である◯
成るならば見て聞いてより良い興味と関心◯
知るならば来て巡りてより広い交流と楽観◯
寄るならば居て周りてより近い地区と景色◯
在るならば当て調べてより深い検索と認識◯
鳴るならば充て響いてより快い音楽と機会◯
示すように順番も整えながら更新している◯
兆すように題名も並びながら関連している◯
増すように前後も考えながら表現している◯
課すように方法も選びながら存続している◯
通すように機関も働きながら循環している◯
問いますか鑑定します根幹か根底か根本か◯
尋ねますか交信します核心か中心か中核か◯
捉えますか選定します骨組か土台か支柱か◯
改めますか復習します基盤か基本か基軸か◯
遡りますか探究します大元か奥底か深層か◯
もしも読み返すことがあるのなら伝承へと◯
もしも繰り返すことがあるのなら続行へと◯
もしも捲り返すことがあるのなら活況へと◯
もしも思い直すことがあるのなら発想へと◯
もしも考え直すことがあるのなら実行へと◯
あたたかい知恵を秘めている方のあらわれ◯
あたらしい知識を求めている人のちらばり◯
やわらかい着地を促している答のみちびき◯
ふさわしい解決を決めている案のひろまり◯
なつかしい場面を含めている風のおとずれ◯
あとさきにつづいているうごきとはたらき◯
うちそとにつづいているしかけとからくり◯
たてよこにつづいているしくみとくみたて◯
いるいみにつづいているつくりとつたわり◯
ただいまにつづいているめぐりとうながし◯
模様も見え出して色彩がきらめき変化する◯
周囲も動き出して塊状がうごめき変容する◯
様相も映え出して形勢がとどろき推進する◯
要素も整い出して形跡がひらめき塑像する◯
大気も巡り出して天空がゆらめき展開する◯
いろどりのあいだにめぐるめぐるはじまり◯
かたまりのあいだにかわるかわるはじまり◯
いきづきのあいだにしげるしげるはじまり◯
あとかたのあいだにすぎるすぎるはじまり◯
あおぞらのあいだにまわるまわるはじまり◯
2024
『 浮上映発 』SEIGOFUKUDA
福田誠吾 - LEVITATION PROJECTION -
水上目線のようでそこは空中に浮かぶ小舟◯
複数乗客のようでそこは静穏に包まれ草花◯
雪山背景のようでそこは青空に溶ける閑散◯
荒涼地帯のようでそこは頭上に富める精靈◯
透明存在のようでそこは地平に添える気配◯
流されているのか自然のはばは埋まらない◯
課されているのか修練のひびは終わらない◯
通されているのか日常のみちは果てしない◯
示されているのか偶然のまとは当たらない◯
外されているのか本流のことは知りえない◯
支流から支流へとさらにこまやかな方へと◯
伸展から伸展へととくになごやかな方へと◯
調和から調和へとときにゆるやかな方へと◯
微動から微動へとふいにすみやかな方へと◯
静寂から静寂へとついにひそやかな方へと◯
進めるのか未知の遭遇の岐路かも選ぶかも◯
読めるのか他国の言語の案内かも行くかも◯
耐えるのか逆境の事態の克服かも捲るかも◯
変わるのか改良の選択の連続かも整うかも◯
伝わるのか独自の表現の偏見かも続くかも◯
外側から眺める夜景はひときわ眩しさ放ち◯
外部から伺える都市はますます煌めき発し◯
外見から映える人物はたくさん惹かれ合い◯
外方から臨める展望はときおり魅せる表し◯
外界から拝める隙間はなにかと拡げる想い◯
灯る様子がゆらゆらとゆらいで見えかくれ◯
光る背景がきらきらとおうじて魅せつづけ◯
遡る回想がてんてんとつないで接ぎあわせ◯
蘇る実感がつぎつぎとたかまり呼びさます◯
滞る現状がえんえんとふりだし戻りめぐり◯
点在する町のような模様の布がゆらめいて◯
連続する線のような階段の上がかがやいて◯
呼応する実のような石球の塊がみがかれて◯
開花する日のような文面の先がひらめいて◯
分散する虹のような発信の案がととのいて◯
構築の意志が画面の中にあるかもしれない◯
建物の位置が何故の所にあるかもしれない◯
絵画の筆致が相応の場にあるかもしれない◯
山並の氷雪が凝固の間にあるかもしれない◯
街路の明暗が点滅の内にあるかもしれない◯
よみとけるがめんいちまいからのことばと◯
みいだせるぶぶんいちいちからのながめと◯
ぬりかえるいろみいちれつからのそまりと◯
くみこめるようそいちようからのうまりと◯
くみとれるこうずいちめんからのいしきと◯
まだまだ浮かんでは流れてゆくような光景◯
まだまだ見あげては捉えてゆくような瞬間◯
まだまだ滲ませては並べてゆくような段階◯
まだまだ降らせては晴れてゆくような地固◯
まだまだ凝らしては考えてゆくような発信◯
2024
『 含有様相 』SEIGOFUKUDA
福田誠吾 - CONTAINABLE SPECTACLE -
決めた文字数で書いてまとめる修練か特徴◯
定めた期限内で表してしあげる習慣か集中◯
委ねた散文詩で発してはなてる様相か連想◯
絡めた美術枠で成してつたえる関連か観覧◯
含めた複合案で説いてかたれる考察か感化◯
とどめているものがかたちとなりあらわれ◯
おさえているものがうごきとなりはこばれ◯
こらえているものがおどりとなりはなたれ◯
こぼれているものがうたいとなりききすみ◯
ほどけているものがしめしとなりよみとき◯
話し出す若い草花の声がつつましいほどに◯
光り出す高い樹木の背がたくましいほどに◯
滲み出す淡い街灯の色がやわらかいほどに◯
思い出す遠い町並の景がうるわしいほどに◯
呼び出す深い記憶の場がなつかしいほどに◯
いくつもある提灯と屋根の瓦と新旧の景観◯
いくつかある花壇と植込の緑と安定の調合◯
どこかにある高台の屋上の扉と眺望の遠方◯
どうにかある反転の滑空の窓と視界の運動◯
どこにもある普段の洋服の柄と潜在の教示◯
誘導するのは数字かもしれない遭遇の確認◯
活用するのは文字かもしれない覚書の必要◯
選択するのは信号かもしれない直感の進路◯
訓練するのは暗号かもしれない読解の連続◯
発見するのは模様かもしれない感覚の配合◯
それぞれみとめることのちがいのつたわり◯
ときどきまとめることのしかいのいろどり◯
しみじみおもえることのたがいのつながり◯
かねがねしらべることのねがいのふかまり◯
つねづねうごけることのきかいのたかまり◯
参加の準備とか日頃の生活に刻み込まれた◯
納得の設計とか機会の細部に組み込まれた◯
想定の手段とか通路の部分に埋め込まれた◯
実際の体験とか深層の心理に刷り込まれた◯
夢中の潜入とけ時代の途上に取り込まれた◯
時に混じる層の推移に遥か遡りて調べたり◯
順に動ける階の昇降に微か弾んで飛んだり◯
単に眺める棚の陳列に確か気づき輝いたり◯
手に触れる板の木目に何か浮かび見えたり◯
目に止まる色の挿入に僅か輝いて映えたり◯
おもいつくたびにうごきつづけるすぐさま◯
まちがえるたびになおしつづけるさかさま◯
みまわせるたびにひかりつづけるよそさま◯
みなおせるたびにかたりつづけるなりさま◯
うちこめるたびにつくりつづけるありさま◯
掴んでいる情報と常識が真実で染まり出し◯
畳んでいる背景と空間が伸縮で現われ出し◯
富んでいる成分と構成が発見で広まり出し◯
含んでいる意味と内容が場合で変わり出し◯
読んでいる文面と行間が時代で問われ出し◯
2024
『 形跡夢想 』SEIGOFUKUDA
福田誠吾 - FANTASIZE EVIDENCE -
別天地の訪問のような周る土地探索の続き◯
異邦人の街並のような巡る観光地区の稀れ◯
新機軸の次元のような辿る開示情報の調べ◯
明晰夢の直後のような見る現実感覚の朧げ◯
臨場感の没入のような得る体験機会の昂り◯
踏み入りて見回してでも全然見飽きない所◯
思い出して見返してでも毅然色褪せない場◯
受け入れて探索してでも自然途切れない道◯
書き出して整理してでも断然途絶えない案◯
汲み出して考察してでも超然型取れない夢◯
ところどころのてんがういてはつながれば◯
ひとつひとつのせんがよりてはつよまれば◯
かわるがわるのめんがみえてはとらえれば◯
まがりくねりのみちがのびてはすすめれば◯
あたりさわりのかんがさえてはみちびけば◯
形跡が饒舌で取り出せる詳細の内容と直面◯
解析が即答で割り当てる適格の役割と進行◯
出席が希薄で切り換える日常の充実と展開◯
功績が皆無で振り切れる姿勢の真摯と努力◯
奇跡が待望で盛り込める未来の期待と現状◯
ばめんてんかんとしきさいはいちでうかび◯
しげんかくとくとたんさくかくちではこび◯
しぜんかんさつとかつどうじぞくであそび◯
きごうにんしきとあんぜんかんりでしのび◯
やせいほんのうとてんねんようそでさけび◯
青空の濃厚さと後の隣接する配色の鮮明度◯
洋服の身構えと腕の調整する配合の全体像◯
頑丈の門造りと謎の登頂する剛腕の人物像◯
歴代の不揃いと跡の構築する断片の混成部◯
関連の場繋ぎと紙の躍動する細部の平面図◯
うれしいほどなごやかないつかのひだまり◯
やさしいほどおだやかなかたちのまるまり◯
たのしいほどふたしかななにかのかたまり◯
せわしいほどすみやかなきもちのたかまり◯
まぶしいほどはれやかなひかりのあつまり◯
上空からの鳥瞰の掠めと高く臨める飛躍と◯
上層からの地質の調べと永く問える研究と◯
上階からの窓辺の眺めと近く思える遠景と◯
上流からの河川の流れと清く感じる部分と◯
上記からの文脈の続きと悉く通じる枠組と◯
そらはゆうがたになりこいめにそまりだす◯
まちはかぜにあおられななめにはしりだす◯
よるはあちこちのほしみためにひかりだす◯
とちはあさひをあびてめざめにかたりだす◯
ときはひらきしめされかなめにわかりだす◯
遺跡のようで生鮮のようで回想するいつか◯
草木のようで造花のようで意想するわずか◯
天空のようで湖畔のようで瞑想するしずか◯
図面のようで標識のようで連想するなにか◯
都会のようで僻地のようで夢想するどこか◯
2024
『 経年列挙 』SEIGOFUKUDA
福田誠吾 - INTERANNUAL ENUMERATION -
秒が経つにつれて変わるような無人の空間◯
時が経つにつれて替わるような無我の夢中◯
日が経つにつれて代わるような無題の表現◯
月が経つにつれて関わるような無駄の方便◯
年が経つにつれて備わるような無常の観想◯
おもいだすひとつひとつがみちびくてらし◯
よみがえるひとつひとつがつぎなるうごき◯
ききかえすひとつひとつがしみいるひびき◯
かきあげるひとつひとつがめにするしめし◯
かぞえみるひとつひとつがさらなるちから◯
設計につとめては特殊のようで普通の感覚◯
構造につとめては奇抜のようで単純の連続◯
建築につとめては稀有のようで順当の視野◯
配列につとめては複雑のようで平坦の見栄◯
改善につとめては旅路のようで日常の風景◯
まえにもうしろにもいしきをはたらかせて◯
うらにもおもてにもうごきをとどろかせて◯
みぎにもひだりにもわかりをいいきかせて◯
はしにもななめにもふうみをはためかせて◯
あげにもさがりにもはこびをみちびかせて◯
あれはもう噂か他も外も参加し並んだ見物◯
それはもう華か草も木も変化し選んだ植物◯
これはもう宝か岩も石も深化し呼んだ鉱物◯
どれはもう獣か魚も鳥も進化し跳んだ動物◯
なれはもう現か夢も幻も美化し富んだ本物◯
状況に根付いている真の様相と判断の動き◯
凍土に融解している氷の平衡と気温の疼き◯
塗料に沈潜している他の要素と配分の働き◯
上空に渦巻いてゆく気の混合と複数の蠢き◯
進路に目指してゆく次の場所と岐路の着き◯
通路に花が咲いて目に止まるは色彩の踊り◯
階段に苔が生えて気に掛かるは足元の滑り◯
側溝に水が流され風に寄せるは清涼の至り◯
断崖に日が射して地に届けるは傾斜の翳り◯
景観に緑が足され町に漂えるは生鮮の辺り◯
細小から見始めてゆく微視化は興味を深め◯
部分から見詰めてゆく関連性は構築を認め◯
断片から見極めてゆく全体像は交響を含め◯
傾向から見直してゆく対策案は心境を改め◯
近隣から見回してゆく地域性は関心を求め◯
外されてそのまま去り消えることも潔くて◯
通されてそのまま浸り思えることも良くて◯
移されてそのまま通り過ぎることも儚くて◯
示されてそのまま祈り願えることも堅くて◯
正されてそのまま語り継げることも濃くて◯
灯すように消されないところは実直の証明◯
耐えながら潰されないところは本能の反応◯
踏みしめて流されないところは経験の場数◯
立ちつづけ揺るがないところは経年の信念◯
話すだけで落ちがないところは通常の自然◯
2024
『 都史電設 』SEIGOFUKUDA
福田誠吾 - STREETWISE ELECTRICITY -
電気の通じている文明社会で暮らしながら◯
照明の点いている現代世界で明かしながら◯
都市の促している生産供給で増やしながら◯
聴衆の求めている楽器文化で鳴らしながら◯
民間の控えている伝達文字で凝らしながら◯
遺跡に眠る先端技術の噂が聞こえてきたら◯
堆積に残る古代回廊の音が聴こえてきたら◯
遺物に宿る繊細技工の巧が知りえてきたら◯
飛行に昇る電磁誘導の事が解かれてきたら◯
異界に渡る特殊空間の口が開かれてきたら◯
解釈の想起と見解の中心とうけとめるもの◯
手段の開発と技術の能力ととりいれるもの◯
片隅の視覚と諸力の過程とみわたせるもの◯
疑惑の凌駕と特権の存在とみすかせるもの◯
自然の探求と基本の姿勢とみとどけるもの◯
歴史と空白の可能性が推移をし霞めている◯
青史と展開の伸縮性が関連をし窄めている◯
前史と転換の疑問点が逆行をし改めている◯
有史と真実の通過点が述懐をし詰めている◯
秘史と本来の出来事が会話をし始めている◯
林立する高層建築いかされるような景観で◯
点滅する交通信号せかされるような変化で◯
連続する市街高速すかされるような颯爽で◯
配信する無数窓枠とかされるような緩慢で◯
傾聴する音楽芸術うかされるような情熱で◯
つややかな金銀細工となんとなく貝殻砂浜◯
こまやかな水玉模様となんとなく天体観測◯
さわやかな森林公園となんとなく顕微鏡視◯
はれやかな荒涼地帯となんとなく華美装飾◯
あざやかな整美花壇となんとなく多色壁紙◯
白なのにまぶしすぎる時の遮光と調整と色◯
川なのにまがりすぎる時の蛇行と並行と道◯
夜なのにあかるすぎる時の更新と暗躍と帳◯
街なのにとおりすぎる時の側道と速度と足◯
勘なのにあたりすぎる時の読心と想念と声◯
段階の環境か荒野の隣に花園がみえかくれ◯
最古の場所か砂漠の下に構造がうめこまれ◯
唯一の独特か瀑布の奥に洞窟がよくほられ◯
例外の奇蹟か海溝の中に海膨がすえおかれ◯
不動の位置か極地の果に都市がくみこまれ◯
息の長い追求をつづけては部分から部分へ◯
世の早い変遷をみつけては側面から側面へ◯
質の良い支部をくませては構築から構築へ◯
元の薄い情報をしらべては関連から関連へ◯
機の短い出現をとらえては考察から考察へ◯
どこによんでいるのかこえをとおしている◯
どこにとんでいるのかそらをめざしている◯
どこにすんでいるのかとちをもどしている◯
どこにとうているのかひとをたずねている◯
どこにいきているのかいまをみつめている◯
2024
『 別天地上 』SEIGOFUKUDA
福田誠吾 - ANOTHER WORLD ABOVEGROUND -
逆転屋根を駆け上がる向こう側の先に何が◯
反転屋上を滑り降りる向こう岸の奥に何が◯
気転相乗を掛け合わす向こう隣の花に何が◯
機転向上を推し進める向かう星の光に何が◯
回転形状を繋ぎ止める向かう点の線に何が◯
あるのか飛び出す物体かいくつかは空中へ◯
あるのか抜け落つ部分かいくつかは地面へ◯
あるのか仰け反る破片かいくつかは空間へ◯
あるのか消え散る気体かいくつかは変化へ◯
あるのか舞い込む逸品かいくつかは手元へ◯
いちど辿り着けば境界を感じないゆきかい◯
いちど繰り出せば地域を感じないおちつき◯
いちど寄り合えば次元を感じないたかまり◯
いちど測り出せば数値を感じないあらため◯
いちど巡り会えば年代を感じないおなじみ◯
生活圏からいくつの山を越えてゆくその地◯
日常性からいくつの川を越えてゆくその場◯
生息地からいくつの森を越えてゆくその所◯
凡庸性からいくつの面を越えてゆくその時◯
俗世間からいくつの谷を越えてゆくその日◯
とおりぬけてあおい空とふるめく石像建築◯
まわりかこむあかい土とぼやけた都市景観◯
あたりそまるあわい色とかすかな絵画様式◯
あわせたらぬあまい詰とつぎはぐ構造断層◯
めざめねむりあさい夢とゆがんだ時代背景◯
歩いていたい土地が鼓動して進ませている◯
探していたい情熱が連動して知らせている◯
読んでいたい今後が起動して開かせている◯
書いていたい文脈が飛躍して弾ませている◯
聞いていたい音楽が共鳴して響かせている◯
位置をみつめる冒険の日々と突然のすすみ◯
意識をあつめる集中の日々と閃光のささり◯
異様をとらえる奇怪な日々と気配のわかり◯
意味をひろげる現場の日々と基本のあゆみ◯
委細をしらべる真剣の日々と直感のいたり◯
先回りのつもりでそこは振り出しの始発で◯
遠回りのつもりでそこは通り過ぎの地点で◯
逆戻りのつもりでそこは知り深めの復習で◯
後戻りのつもりでそこは光り輝きの発見で◯
出入りのつもりでそこは辿り着きの到達で◯
さかさまならば朝昼のようで夜かもしれぬ◯
さかさまならば砂粒のようで星かもしれぬ◯
さかさまならば巣穴のようで家かもしれぬ◯
さかさまならば水辺のようで雲かもしれぬ◯
さかさまならば泥土のようで金かもしれぬ◯
異世界での特別な眼前を焼き付けていよう◯
未踏地での斬新な言語を聞き返していよう◯
桃源郷での繊細な様相を思い出していよう◯
新次元での過剰な感覚を受け止めていよう◯
別天地での稀有な体験を書き留めていよう◯
2024
SEIGOFUKUDA『 異邦甚深 』
福田誠吾 - ABROAD PROFOUND -
みしらぬみちへとつづくしんせんなきもち◯
みしらぬとちへとあゆむせんめいなきもち◯
みしらぬまちへとはしるしんけんなきもち◯
みしらぬくにへとむかうだいたんなきもち◯
みしらぬうみへとすすむそうかいなきもち◯
とおりすぎてゆければいろいろなたてもの◯
ながめすぎてゆければいろいろなけいかん◯
きづきすぎてゆければいろいろなまちなみ◯
かんじすぎてゆければいろいろなうえこみ◯
みあげすぎてゆければいろいろながいとう◯
上かな宙かなどのような角度からの鳥瞰図◯
西かな東かなどのような進路からの観光地◯
質かな量かなどのような収集からの見本市◯
大かな小かなどのような参考からの具体例◯
平かな並かなどのような設計からの立体感◯
緑の部分と草の部分といくつもある興味と◯
土の部分と砂の部分といくつもある関心と◯
石の部分と岩の部分といくつもある嘱目と◯
水の部分と河の部分といくつもある注目と◯
風の部分と空の部分といくつもある拝見と◯
穴のような門と島のような砦と地形の開港◯
窓のような扉と壁のような絵と細部の邂逅◯
鉢のような鍵と段のような家と点在の装飾◯
箱のような車と円のような道と扇状の構築◯
芯のような灯と樹のような塔と線状の屹立◯
様式のようなものや古城が見えるだろうか◯
配置のようなものや石積が見えるだろうか◯
整備のようなものや芝生が見えるだろうか◯
高層のようなものや屋根が見えるだろうか◯
公共のようなものや照明が見えるだろうか◯
うかんでくるところもあがりくるところも◯
しずんでいるところもおちているところも◯
かすんでいるところもきえているところも◯
ゆがんでいるところもたえているところも◯
ふくんでいるところもばえているところも◯
見えたままが語り出してきたりして連想し◯
察したままが乗り出してきたりして発想し◯
接したままが移り出してきたりして着地し◯
捉えたままが光り出してきたりして発揮し◯
描いたままが実り出してきたりして留意し◯
間違いは無いとしても感性と観察に託した◯
色違いは無いとしても濃淡と色彩に染めた◯
場違いは無いとしても異邦と景色に冠した◯
奥深さは無いとしても甚深と題名に付けた◯
面白さは無いとしても写真と構成に没した◯
集中してはその時を楽しむという熱量の後◯
経験してはその元を問えるという回数の芸◯
更新してはその日を高めるという直面の勘◯
改良してはその場を盛れるという試行の術◯
交信してはその地を寄せるという念写の跡◯
2024