新総合読本
死んだらどうなるか 5
板倉聖宣
◆二種類の真実
この世には、二種類の「真実」があります。その一つは「科学の世界」であります。もう一つは「心の世界」です。
科学はたくましい想像の上に実験を重ねて、この世の真実を発見してきました。その科学の世界では、地獄も極楽も天国もありません。霊魂などというものもないのです。
しかし、科学の世界だけでは満足しない人もいます。「心の世界では、死んだ人もその人の思い出をもった人びとの心の中に生き続ける」ということもできるのです。そういう意味では、その人びとの霊は、肉体と別に生き続けることになります。とくにそのような「心の世界」のことが気になる人びとは、「信仰の世界=宗教の世界」を求めます。
科学の世界では死んだら何も残らなくても、宗教の世界では、「人間は神様がお作りになったものだ」と信じてもいいし、「人間は死んだら神様に召されるのだ」と信じてもかまいません。
しかしその反対に、宗教の世界では何と言おうと、科学の世界では、「人間が死んだらただの原子になってしまう」というのが正しいことになるのです。
このふたつのことをごっちゃにしてはいけません。 (おわり)