続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『与えられたとせよ:⑴落ちる水、⑵照明用ガス』

2016-10-17 06:19:28 | 美術ノート

 『与えられたとせよ:⑴落ちる水、⑵照明用ガス』

 (~とせよ)というのは、つまり前提条件である。落ちる水・照明用ガスというのは、(この地上には太陽(火)と空気と水が、まずは有りました)ということではないか。

 作品は、レンガで囲われた古い木製ドアとドアから覗き見る光景(手にガス燈を持った大股開きの裸婦が草原に仰向けになっている光景、空は青空である)
 この光景を見る覗き穴は気づかれないほどに小さい。ということは、通常気づかれることのない景色であり、存在しているかもしれないが幻視あるいは秘儀である。
 古びた木製のドアはかなり劣化しているが、数多の鋲で打ち付けられた、破壊を拒む頑丈な造りであリ、修復の後もある。(しかし、破壊しようとすれば簡単な木製であることから、単に見せかけの強固な造りということもできる)
 覗き穴(両目の位置に二つ)の周囲が変色しているのは、すでに誰かが覗き見たことを現している。

 覗き穴から見る光景は目を逸らしたいほどに性の極みを露呈している。性的器官の露出は人間の根源的な欲望であり、歴史・連鎖の要であるが秘密裏の領域にある。
 青空(太陽)とガス燈(人智)、真昼にガス燈は不要であるにもかかわらず掲げ持っている。火の発見は人類存続の要であり、他の動物との決定的な差異である。

 いかにも強固に造られた古いドア、(実際破壊しようとすれば容易い造りである)。そのドアには気づかないほどの小さな覗き穴があり、自然の草原・野山の中に人類生命の原初とも言うべき女の性器が露わになっている。光景は明るいが、無駄にガス燈を掲げているのは、(動物ではない証明)知性の象徴かもしれない。

 人類の存在証明である。(歴史を持っているかに見えるが、脆いものでもある)

  


(写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク/TASCHENより)

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