続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『ローズ・セラヴィよ、何故くしゃみをしない?』⑨

2016-10-29 06:50:08 | 美術ノート

 『ローズ・セラヴィよ、何故くしゃみをしない?』

 この奇妙なタイトル、ローズ・セラヴィは自身の化身らしい。男女の垣根を解放ということであれば、(余談であるが)独身者たちが男性だと決めるのも早計かもしれない。
 男と女、性の課題に触れながら、それを突き放して原初を探ろうとする眼差しを感じる。

「何故くしゃみをしない?」とは意味不明である。くしゃみは自発的にできるものではなく、偶然の発作である。このタイトルは、意味を求めること自体が徒労であり、あえて不明な空気を醸し出すための作為である可能性が高い。

 この不思議なタイトルの下に差し出された《鳥かごの中の152個の角砂糖型大理石》は、タイトルに相応しない。
 しかし、152個の角砂糖型の大理石は《大量生産》を思わせる、大量生産の増殖である。同質同型の物が溢れんばかりに増殖していく恐怖、容器(社会)の中に納まりきれずに増えていく予兆は静かに進行していく。
 この状況に差し込まれた温度計、そして《死》の象徴であるかのイカの甲。

 ある意味、警告であり布告である。
『ローズ・セラヴィよ、なぜ驚かない、この条理を逸した状況に』

 デュシャンは深い!


(写真は『デュシャン』新潮美術文庫より)

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