続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『人間の条件』

2016-04-10 07:14:33 | 美術ノート

 『人間の条件』
 人間の条件とは何だろう、改めて問われると狼狽えてしまう。

 生きて在る者は、まず五感に依存している。存在は五感により自覚、証明される。
 絵画(二次元)を見るにあたり必要とされる感覚は、視覚である。
 その視覚は必ずしも真実を感知せず、錯覚の誤認にいたることも無いとは言えない。

 この作品に隠れている人間の条件とは、《真実の探求》ではないか。
 実際に見えることへの不審、疑惑であリ、わたしたちは必ずしもあるがままを認識せず、自分の抱くイメージに無意識に結びつけようとする傾向がある。

 この作品では窓から見える景色を描いて、見える景色と描いた景色が合致するように描かれている。寸分違わず連鎖するように設置、あるいは描写することなどは不可能であるが、創作上においては、あたかも可能であるかのような偽装がなされている。

 これをもって『人間の条件』と題している。
 《あり得ない》と思うことも、《あり得る》と思うことも自由である。
 《人間に許される自由の範疇》を秘かに提示した『人間の条件』である。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


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