続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『プロフィールの自画像』

2016-10-20 06:32:32 | 美術ノート

 『プロフィールの自画像』

 横顔の自画像、自身の紹介であり、この作品にはデュシャンの思考の分析がある。

 黒い紙面(無)に、色紙の切り抜き(無/抽象)を被せている。二つのものはそれだけでは意味をなさないが、黒を背景とし、横顔を意図して切り抜かれた色紙をのせると、横顔であることが明白になる。

 色紙の切り抜きは、それが横顔と知る前には紙を縦横斜めにしても、空がバックでは横顔を想起することは困難であリ、横顔を切り抜いたという意図は伝わらない。差異の大きい色調の組み合わせによってその意図は伝達されるのである。

 現象を確認するには、異なる状況設定との比較が無ければ成立しない。
 レディメイドを使用不可な位置に置く、展示という《場》に設定することで、意図を明白にしている。しかし多くの場合、鑑賞者の日常の概念がそれを阻止し、疑念を抱かせる結果になっていることはデュシャンにしてみれば心外なのではないか。

 思考の尺度は、確信をもって積み重ねられてきた概念であり、それを覆すことには少なからず抵抗がある。しかし、あえてそれを取り外し、尺度自体を原初の感覚に立ち戻らせることで、何かが見えてくる。
 何か、とは《無》であり、《有》への新たな認識である。


(写真は『マルセル・デュシャン』美術出版社刊)

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