続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『白紙委任状』

2017-05-11 06:48:07 | 美術ノート

 『白紙委任状』

 馬に乗り林を通り抜けていく女性、しかし、そのあり様(見え方)に矛盾がある。物理的な答えに一致を見ない、つまり空間が任意の交わりで重なっている。

 視覚の論理に外れた空間は現実ではないが、現実に見える二つの景を織り込み幻想の景を作りだしている心理的な風景に他ならない。

 わたしたちは常に前を見るとき(仮に振り向くという態をとっても目の前である)、その風景は正しく脳に伝達されるに違いない。
 しかし、脳裏には物理的な景に混入してくる過去の景(思い出など)が重複することは珍しくない。
 任意の景色の中に重なるもう一つの景は物理的には見えないが、自身のなかに彷彿とさせる景が浮上し見えてくることは精神的には可能である。むしろ、心に刻まれた記憶の中の情景は物理的に見える景を凌駕することもあるかもしれない。

 対象物を見るという視覚の作用は、心理的な景を隠すというよりは引き出す効力を持ち合わせている。
 人は積み重ねられたデータを潜ませて、新しい景色を望んでいる。けれど意識するか否か、それは各自ご自由ですから『白紙委任状』ということであります。


(写真は『マグリット』東京美術より)

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