菅公の月

2005年10月14日 | 季節を感じて ‥一期一会
 十五日の夜は旧暦の九月十三夜。仲秋の名月を楽しまれた方は片見月にならぬよう、明日のお月さまも‥ と言いたいところなのですが、どうやら週末の天気は下り坂のようですね。
 
 後の月は豆名月、栗名月とも。母からいただきものの栗を分けてもらったので、さっそく栗飯を作りました。キッチンは炊飯中から秋の実りの香でいっぱい。あたたかなお味噌汁と季節のごはん、それに、ささやかなおかずが二菜もあれば幸せ‥♪になれる、秋の食卓です。

 飯椀に名月盛りて十三夜


 さて、観月の宴の事始めは十世紀初頭の秋までさかのぼります。
 学問の神さま、天神さまで知られる菅原道真(すがわらみちざね、八四五~九〇三年)は、名だたる儒家の出身で詩才に秀で、宇多天皇に重用されましたが、天皇が醍醐天皇に譲位されてまもなく、当時同じく官僚だった藤原時平に讒訴されて大宰府に追放され、失意のうちに短い生涯を閉じます。時平が亡くなった九〇九年の八月十五日、宇多法皇は親しい文人たちのみを召され、道真を偲んで個人的な観月の宴を開いたそうです。その十年後の九月十三日、やはり宇多上皇が十三夜の歌会を催され、そのときの季題が「月」。上皇はその夜の月を「無双」(これ以上のものはない)と讃えられました。

 いにしへもあらじとぞおもふ 秋の夜の月のためしはこよひなりけり
 (『新勅撰和歌集』 源公忠朝臣)

 道真ときけば梅、「東風吹かば‥」の歌と飛び梅伝説(※)がまず思い出されますが、秋の月と道真との結びつきは意外でした。少々季節は外れるけれど、十三夜に寄せて、梅をこよなく愛した道真公に、「雪月花」の歌をせめてもの霊鎮めとして捧げましょうか。

 雪の上に照れる月夜に梅の花 折りて贈らむ愛しき子もがも
 (『万葉集』 巻十八より)


 もし十三夜の月を拝めなかったら、ある作家が月に寄せた随筆の一文をご紹介したいと思っています。 それでは‥


※ 東風吹かばにほひおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ (菅原道真)
大宰府に配流が決まった折、道真が「紅梅殿」ともいわれた自邸の庭の梅に別れを惜しんで詠んだ歌です。梅は道真を慕って太宰府まで飛び、そこに根を下ろしたという逸話(飛び梅伝説)があります。
コメント (12)   この記事についてブログを書く
« 秋霖 | トップ | 十三夜 »

12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
栗ご飯♪ (テルミドール@携帯)
2005-10-14 23:35:54
お久しぶりです♪

栗ご飯♪おいしそうです。

栗をお月さまに見立てるなんて、風流ですね♪



さて、明日の「後の月」は見られるでしょうか…

九月十\三夜の月が美しいのは…月の軌道が地球に接近して、大きく見えるせいもあると思います。

「十\三夜の月に曇りなし」…この言い伝えを信じて、明日のお月見を楽しみたいです♪



私は、美しい言葉と和歌を詠むと…雪月花さんの事を思い出します。笑!



では、よい週末を…
初めまして (森のどんぐり屋)
2005-10-15 11:19:22
こんにちは、TBありがとうございました。

早速拝見に伺いましたが、とてもすばらしいサイトですね!

お気に入りに登録させていただきましたので、また寄せていただきます。



私の所も、身の回りの変化に季節の移ろいを感じて、それを皆さんにお届けしたいと思って、ささやかに記事を作っています。



今夜、お月様に会えますように・・・・



<汁の実は月の姿よ十三夜>
十三夜 (春風)
2005-10-15 11:26:53
こんにちは。前は『大ちゃん』と名乗っていました。今は神聖華道 玄奥流の花名『春風』でやっています。そんな人になりたくて。

昔の人は、十五夜のときに曇ったり雨だったりしたら残念なので、十三夜にも月を鑑賞したと聞いています。どうやら今夜は雨模様です。目を閉じて、雨雲のはるか上のお月さまを想像してみます。そう、栗ご飯などを食べながら…。
幸せになれる歌と絵とごはん (Asian Sea)
2005-10-15 11:30:18
残念ながらきょうは朝から雨ですね。

でも、こちらの歌と絵で楽しませていただくことにします。

この月と木の実の絵は雪月花さんがお描きになったのでしょうか?

こんな絵がとても好きです。



「あたたかなお味噌汁と季節のごはん、それに、ささやかなおかずが二菜もあれば幸せ‥♪になれる、秋の食卓」

そうですねえ。そんな食事から、季節を感じ味わうことのできる幸せを感じますね。
十三夜 (和菓子屋のムスメ)
2005-10-15 14:04:26
TBありがとう御座います。

早速、遊びにきました。

栗ごはん、美味しそうですね~。

栗と月のイラストもとても可愛いです。

横浜はちょっと雲がでていますが、今夜は名月を

楽しめそうです。

また遊びにきますね。
十三夜 (菜々緒)
2005-10-16 00:05:50
こんばんは。TBありがとうございます。

とっても素敵なブログで、勉強になります。さっそくお気に入りに登録させてもらい、TBも送らせてもらいました。

関東は雨模様で、十三夜は見れませんでしたけど、心の目で、輝く月を見たいとおもいます。

また遊びにこさせてもらいますので、よろしくお願いします。

菜々緒
Unknown (大中 肇)
2005-10-16 10:54:33
トラックバックとコメントありがとうございました。

こちらのブログは見栄えが素晴らしいですし、内容が豊かなのに感心しました。いろいろ教えて頂きにまた来させていただきます。よろしくお願い致します。

今朝は秋晴れのいいお天気ですね。一日違いで大違いです。こちらではお祭りの太鼓の音が聞こえてきています。
秋冷の候 (雪月花)
2005-10-16 17:03:48
雨にたたられた十三夜、そして東京は今日も雨上がりの曇天です。露に浄化された街の空気はひんやりとして、秋がいっそう深まったようです。雨月とはいえ、月のご縁で季節感あふれる新たなサイトさまとのおつきあいも始まりました。下記にご紹介いたします。





> テルミドールさん、

お月さまとくればテルミドールさんを思い出します。「月の軌道が地球に接近」なんて、テルミドールさんならではのコメントですね。有難う。明日の部分月食は見られるかしら。



> 森のどんぐり屋さん、

ようこそお越しくださいました。日々豊かなお散歩をなさっていられるご様子、うらやましいです。お写真だけでなく、添えられている文章から、森のどんぐり屋さんの新鮮な驚きや感動が伝わります。こちらからも「おすすめURL」上でリンクをさせていただきました。これからもよろしくお願いいたします。



 森のどんぐり屋さんの「そよ風つうしん」

 http://blog.goo.ne.jp/mori15donguri0402



> 春風さん、

失礼いたしました。春風さん、ですね。ごぶさたしておりました。ありがとう村のみなさまの豊かな暮らしぶりを拝見して、いつもこころが和みます。ありがとう村がいつまでも豊かで平和なときを刻むよう、祈っております。



> Asian-Seaさん、

京都の府立植物園のお写真、ずっと拝見しています。秋の色が深くて豊かですね! わたしの拙いイラストより、ずっとステキです♪ 京都が好きで30回ほど旅しているけれど、あの『古都』にも描かれた植物園はいつも素通りで‥。いずれゆっくり散策してみたい。それから、こちらからも「おすすめURL」上で貴サイトへリンクさせていただきました。有難うございました。



> 和菓子屋のムスメさん、

はじめまして。折々の和菓子の彩る季節のうつろいに惹かれてTBを送らせていただきました。きんとんも、うさまんも、栗大福も、栗蒸羊羹も、ぜぇ~んぶ、食べたいっ(笑 久しぶりにお薄をたててみたくなりました。これからのお菓子も楽しみにしていますね♪ 機会があれば横浜のお店へ伺おうかしらん。 ‥わたしと同じく「月よりだんご」の方は、こちらへどうぞ。



 「和菓子屋のムスメ」

 http://wanokasi.exblog.jp/



> 菜々緒さん、

はじめまして、こんにちは。和服美人の方にご訪問いただけて感激です。きものは日本の美しき文化・感性と季節感の集大成、それをみごとに着こなしていらっしゃる菜々緒さんに憧れます。わたしの大切な袷のきものは箪笥の中で‥、いけませんね。せめて新年には袖を通したいものです。これからもすてきなおきものと和の暮らしを拝見させてください。



 菜々緒さんの「朧月夜の桜~小さな和の暮らし。」

 http://blog.goo.ne.jp/sakuratotsuki_nana



> 大中さま、

お越しくださり有難うございます。貴サイトの折々の短歌や句、とても参考になります。わたしは何もかもかじるだけで、和歌集などをじっくりと読みとおす間もなく今に至っておりますので、そちらにて学ばせていただきます。これからもよろしくお願いいたします。



 大中さまの「短歌 四季彩彩」

 http://blog.livedoor.jp/siki3131/
これからもよろしく (大中肇)
2005-10-17 20:15:33
ご丁重なコメント恐縮です。

古い歌をじっくり読みこなすことは非常に大事ですが

私はどちらかといえば自分流に読んで楽しんでいます。

勝手な誤読も多いかもしれませんが

読者なりに楽しめる歌がいいようにも思っています。

とらわれずに短歌が楽しめばいいですね

これからもよろしくお願い致します。
みそひともじ (雪月花)
2005-10-17 21:53:52
大中さま、ご丁寧に有難うございます。まだまだ古人の感性に学んでいる入門者で、想いをさらさらと三十一文字(みそひともじ)にのせることができず歯がゆいこともありますが、折々の歌のまわりをぐるぐるとめぐっているうちに、ふとその環に入ってゆけるときもあろうかと‥。軽やかな遊びの境地には遠くても、楽しむこころは忘れたくないものですね。

関連するみんなの記事