あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

瀬戸内シーカヤック日記: 大掃除&おでんの『あわもり』

2009年12月20日 | Weblog
2009年12月19日(土) 天気の悪い年末の休日は、毎年大掃除の日。 朝、まずはバリカンで自分の頭を刈る。 坊主頭は楽なようだが、実は短い分だけ少しでも伸びると気持ち悪く、ほぼ一週間から長くても十日毎に自分で散髪する必要がある。
坊主頭は結構めんどうなのだ。

自分の頭の散髪を終えると、午前中は、私の担当である風呂場とトイレの大掃除。 昼からは、年賀状を印刷して宛名を書き、投函。 これで、年末の準備はほぼ完了!
***
夕方、『ちょっと「あわもり」に行って来るけえ。 ちょっと飲んだらすぐ戻るわ』

*以下、写真は全て、以前撮影したもの。

ここ、おでんの『あわもり』は、私が唯一通う飲み屋さん。
初めて行ったのは何年前になるだろうか。 最初の頃は、カウンターの一番端っこに座らせてもらい、静かにビールを飲み、おいしいおでんを食べていた。

月に何度か通ううちに、店のおばちゃん、おじちゃんとも話すようになり、常連さん達にも顔を覚えていただいて、カウンターで自分が座る位置も決まってきた。

この、カウンターで座る場所というのが面白いもので、お客さんが一杯で、いつもと違う場所に座るとなんだか落ち着かない。
座る場所が違うと景色が変わり、おでんの釜やおばちゃんとの位置関係も変わるので、なんだかしっくりとこないのである。

自分だけかと思い、他の常連さん達に聞いても、やはり同じだという。 実際、違う場所に座っていても、いつもの席のお客さんが先に帰ったら、席を移動する人も少なくない。
***
ガラリと引き戸を開けて店に入るとお客さんが満杯である。 盛況だ。 寒い日の夕方、おでんで一杯という人が多いのだろう。
残念ながらいつもの席は空いていないが、私が好きなおでんの釜の傍の角の席が空いている。 ここはおでんの受け渡しが難しいのだが、幸い隣とそのまた隣は常連さん。 気を使う事もない。

いつもの『キリンビール、大瓶』を頼み、今日は厚揚げから。 『厚揚げ、浅めのをください』
ビールを飲み、厚揚げを食べ、テレビでやっているボウリングの番組を見ながら、『昔はボウリング、流行りましたよねえ』 『ほうよ、呉にも何軒ボウリング場があったじゃろうか』

『昔は広だけで3軒あったで』 『私が子供の頃には阿賀にもありましたよ。 子供会でもボウリング大会とかありましたもん』 『おー、ほうじゃったのう』
『テレビでもようやりよって、いっつも見よったわ』 『中山律子さんいうてよう聞きましたよねえ』 『そうそう、”りつこさん~、りつこさん~、な か や ま りつこさん~”、いうんがあったよのう』 『他には須田開代子いうのも居ったのお』 『わしらもようボウリング場へは行きよったわい』

『あいがも、入れてもらえますか! それとネギと』 『あ、日本酒ください』 『スジください。 肉っぽいところ』
その後も、お酒を飲みながら、3人でたわいもない楽しいバカ話で盛り上がる。
隣の方が、『ここに来とる人はそれぞれ仕事も違う。 ここでおでんを食べて、酒を飲んで、バカ話をして。 これが一番楽しいのう』 『ほんまですね!』

その後、その常連さんと店のおばちゃんに、『今年は大崎上島の人らと知り合いになって、櫂伝馬を始めたんですよ。 来年は、一泊二日で旅をしよう思うちょって、今年は大崎上島一周も漕いでみたんです』と話す。
すると、おばちゃんの地元にも櫂伝馬があって二艘で競漕していたこと、最近は漕ぎ手が減って競漕が難しくなっている事などを伺った。 『それにしても、そりゃあええ企画じゃねえ。 楽しそうじゃ。 頑張って!』
***

勘定を済ませ、店の前でバスを待っていると、同じ方向に帰られる常連さんが店から出て来られた。
『帰られるんですか』 『ほうよ』 『それにしても、遠い所からよう来ちゃってですねえ』 その方は、バスを乗り継いで約1時間ほどかかる所からこの店に通って来られるのである。

バスに乗り込むと、私の隣に座られた。
『あわもりは、前から通いよってんですか?』 『ほうやね。 わしゃあ昔は「東洋パルプ」いう会社に勤めよったんよ。 今は王子製紙になっとるが、わしは会社に入った時も、定年退職した時も東洋パルプじゃった』
『東洋パルプ、ありましたねえ。 なるほど、それで仕事の帰りにあわもりに寄りよっちゃったんですか』

『東洋パルプ、昔はどがなかったんですか?』 『退職する頃はようなかったが、入った頃はえかったよ。 昔は、東洋パルプの人の所なら嫁に行かしても大丈夫いうて、人気じゃったんよ』
『やめときゃええのに、競争じゃいうて本船を2隻もつくって。 呉丸じゃ、広丸じゃいうて名前を付けよった。 進水式や初荷の時にはスゴい盛大な行事をやりよったよ』
『東洋パルプは財閥がお金を出して作った会社。 その頃は、あまり苦労を知らん会社じゃったのう』 『昔は、東洋パルプの偉いさんも、あわもりに行きよったね』

『パルプはどこから運びよったんですか? インドネシアとか?』 『その頃はの、アメリカやソ連からよ』
『中国木材いう会社があろう。 当時は、ソ連から木のまま運んで来て、中国木材でええ所を木材にして、残った所をチップにしよった』 『そうなんですか。 そりゃあ知りませんでした』
***
興味深いお話を伺っているうちに、私が降りる停留所が近付いてきた。 『お先に失礼します。 またあわもりで!』 『じゃあの』

おでんの『あわもり』 ビールを飲んで、おでんを食べて、お酒や泡盛を飲んで、常連さんやおばちゃんと楽しい会話を楽しんで、千円ちょっとで楽しめる。 最高である。
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