瀬戸市民言論広場

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視点・観点・論点 第5回

2016年09月17日 | お知らせ
第5回は2部構成
第1部は「議会の本分」

9月定例会が開会中です。主な議題は平成27年度決算審査。

予算審議は地方自治法第211条により議会の「議決」を経なければならないとされていますが、決算審査は地方自治法第233条で議会の「認定」に付さなければならないとされています。
予算は議会の議決を経なければ執行できませんが、決算は認定にとどまり、仮に認定されなくても次年度予算策定は妨げられません。
3月定例会に提出される予算案は「議案」、9月定例会に出される決算は「認定」です。

それなら決算審査は軽い扱いでも良いのか?

横断的な視点から財政運営をコントロールするには、決算について十分な分析がなされ次の施策や予算に結び付けることが重要です。
「財政民主主義」といわれています。
特に「統一的な基準による地方公会計」の導入により、発生主義を基本とし複式簿記化することでフローとストックが連動した情報となります。また固定資産台帳等を整備してストックマネジメントも可能にする会計制度です。
これらにより自治体の財政分析の精密さが向上し、予算編成や政策形成、評価基準等に影響していきます。

議会は決算の執行部説明を拡充させ、決算ベースの分析の充実を図っていく必要があるのです。

そこで問われるのが議会議員の審査力でしょう。

歳入歳出の科目は款・項・目・節の4段階に分類され、予算執行のため議決を必要とするのが款・項で議決科目といいます。
目・節は首長が予算を執行する場合の科目で執行科目といいます。
決算審査は実際に執行された目・節を評価することです。

「評価する」ことは単純簡単な作業ではありません。
特に政策事務事業の評価は、施策予算の投入と事業結果の因果関係を明確に把握することが困難であり、評価を完全に数値化できない部分もあるので難しい作業といえます。

現在、国や自治体で使われている政策評価はNPM(New Public Management)という1980年代から取り入れられている行政経営に生かす手法が主流といわれています。

概ね実施されている評価手法は、
1、政策のために利用可能な資源、予算、活動、達成したいと期待する成果や変化を図式化して、各段階(アウトプット、アウトカム、インパクト)に応じて分析する「ロジック・モデル」。
但し各段階での指標はマニュアル化していないので、政策導入と成果の因果関係の統計的検討ではなく政策形成過程で使われます。

2、政策の優先度や効果を横断的に把握して分析、計測するために「費用便益分析」と「住民参加の評価」の二つの方法があります。
費用便益分析は金銭換算する評価であるため、公共土木や建築分野では広く適用される手法ですが、市民の健康、市の景観や自然など
経済市場以外の公共財評価には難があるといえます。
そこで住民参加により評価する手法を使います。同一的基準では計測できない政策効果をアンケートや公聴会などで諮り、住民主体の合意形成を目指します。

決算審査において、執行された予算額の増減のみに着目すると短絡的評価計測になってしまいます。
政策事務事業はインプット時に予算という金銭財を多く投入すれば、アウトプット、アウトカム時の成果も増大するというほど単純なものではありません。
付け加えて、インパクト評価はアウトプット、アウトカムと違い、ロジック・モデルのインパクトセオリーを詳細に分析検証する作業であり、施策前と施策後に社会的、経済的状況に差が生じているのかを把握し、生じているならどの程度なのかを成果指標等を測定することによって、その指標値の差を政策事務事業の効果であるとする評価手法です。
前回書きましたが、行政の指標値はKPIだけがほとんどです。KGIは明確にできない要素が多いため設定されません。だからKPI数値だけでインパクト評価はできないのです。

予算が適正に執行されたか否かは「監査委員会」監査の仕事です。

議会議員による決算審査とはなにか。

もし議会が横断的な視点で財政をコントロールするという役割を認識せず、個々の議員が自らの要望や政治パフォーマンスに留まる姿勢を続けるなら、たとえ行政執行部が事業評価シートや行政評価を開示しても議会機能の強化とはなりません。

持続可能な行政サービスのため、国はより効率的財政運営を図る手段として公会計制度の設計を見直しました。
瀬戸市市議会も予算決算委員会、分科会審査等改革の方向性は評価に値するものです。
また理事者も委員会において意見発言ができるようになり「制度設計」は間違えてはいないでしょう。
しかしながら改革した制度を、議会側が使いこなせているかは大いに疑問ある現状です。

執行部に対し次年度予算編成に向けて提言書を出すのなら、「提言書」の概念と規程等を議会内部で熟議しておくべきでしょう。
歳出の執行科目である目・節の評価を、まず委員会での質疑による理事者答弁で引き出して、多角的な視点、観点からの分析を加味したうえで、より効率的な、より効果的なアウトプット成果が期待できるように「議員のアイデア、アドバイス」するのが提言書ではないでしょうか。
提言書とするのなら、当該の款・項・目・節を明記するのは必然です。

上記しましたが、施策効果は予算増額というインプット財投入だけでアウトプット成果があがるなどという短絡的なものではありません。
議会はその仕組み設計の改革は行政執行部より先んじていると思います。

今後益々議員各位の研鑽ご努力に期待するところです。



第2部は「首長の本分」

地方自治体の首長は「地域の大統領」と例えられるほど強力な権限が与えられています。
議会と執行機関は対等といわれますが、自治体を統括し「代表」しているのは首長です。
議会は住民の「代表」ですが、首長は住民、議会、執行機関等自治体構成を「代表」しています。
議会の権限は地方自治法第96条により限定的に列挙されているだけですが、首長の権限は「概ね左に掲げる事務を担任する」として地方自治法第149条1号から8号にあるほか、同9号「前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること」とあり、広範にわたり権限を有していることが示唆されています。

首長に多くの住民が期待し、その権限を行使して欲しいとしているのは「政策決定」とそれを実現するための「予算編成」、そして有効的かつ効率的執行のための「人事権」だろうと思います。

当ブログで書いてきましたが、地方分権改革により国の機関委任事務が廃止され自治体の権限は拡大しました。
国との関係だけでなく、県から市への権限移譲等により県と市の関係性も変ってきました。
つまり自治体独自の特色で行政運営ができるようになってきたのです。

自治体行政をとても大きな「客船」に例えてみましょう。
「瀬戸丸」は13万人の乗客と700人の乗組員が乗船している大型客船です。
首長はこの船の船長。
いちばん大切な任務は進路を決定し、航海士や機関長に指示することです。
たとえ一等航海士であっても船長以外の乗組員は進路を決められませんし、決めてはいけません。
進路は乗客から負託された首長の専決事項です。

どの方角へ舳先を向ければ、これからも安全でステキな航海を続けていけるのか、夢ある船旅ができるのかを決定してくれることを乗客は望んでいるはずです。
行く手に危険はないか、嵐はこないか、機関に異常はないか、食糧や燃料は不足ないかなど逐次乗組員から報告を受けたり、よりよいサービス企画の提案も船員から募集すれば良いでしょう。

しかし「進路」と「船内組織」だけは船長の専決で決めていただきたい。

理由は簡単。
船長以外の乗組員を私たち乗客で選択できないからです。
乗客が取捨選択できない船員たちによって船の針路と船内組織が決まることがないように。
ほとんどの乗客は気に入らないからと下船(転出)できません。

昔から「なんにも船長、言うこと機関長」と揶揄される組織があります。
瀬戸丸はそうではない船であると信頼しております。
遺憾なく指導力を発揮され、権限を行使ください。

今回も読了いただきありがとうございます。

















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