瀬戸市民言論広場

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行政統制を考える

2017年08月04日 | お知らせ
我が国の地方自治体における民主制度は、首長と議会議員を選挙で選出する間接民主制を採っています。
そして住民から負託を受けた首長、議会議員が行政職員を統制します。
これを行政統制というのですが、どのような手段でどのように運営していくのかという問題(課題)の解を求めるには、統制される側である行政職員の力に頼らざるを得ません。
行政改革や総合計画、行政評価などが行政統制の代表的手段といわれています。

例えるなら「瀬戸丸」という大型客船には13万の旅客が乗船していて、船長(首長)と船舶監視員(議会議員)を旅客が選挙で選びました。
船員(乗組員)は試験を受けて採用されていて旅客が選んだわけではありません。
1等航海士(副市長)は船長に任命され船舶監視員の同意を経て任についています。
船長の最大の仕事はなんでしょう?
航海の安全確保と進路の決定です。
1等航海士や乗組員は独自で進路を決定できません。
13万の旅客は船長に進路を委ねているからです。
また乗組員たちを統制するのは船長の権限であり責任でもあります。
わたしたち乗客は乗組員を直接統制できません。

話を本筋に戻しましょう。

行政統制の手段のひとつ、総合計画は平成24年まで法令により策定を義務付けられていました。
その後各自治体の自由となったのですが、瀬戸市は平成26年に引き続き総合計画を策定していくと決めました。
それにより第6次総合計画が策定されました。
行政改革は財政と一体で進められてきました。

瀬戸市のホームページ右上にあるサイト内検索で「行政改革」を検索してください。
瀬戸市行政改革集中改革プラン・瀬戸市行政改革第2次集中改革プラン
などがヒットして表れます。

では「行政評価」を検索してください。
いかがですか?


自治体の行政評価とはどういうことなのか、少し掘り下げて考察してみましょう。
書いて字の如く行政を評価するのではないのか?
いえいえそう簡単な定義ではなさそうです。

営利を目的とする民間企業でも多様な業務の評価を数値化するのは単純なことではありません。
「住民の福祉向上を本旨とする」自治体行政の事業を「評価する」のはさらに複雑化します。

地方自治体が「評価」に注目して初めて取り組んだのは1996年三重県が始めた「事務事業評価システム」です。
その後1990年代末ころからブームのように行政評価に着手する自治体が増えていきました。
ところで公共サービス、公共管理を行う自治体行政の「評価」とはどのような概念の定義付けなのでしょうか。

例えば公共事業(道路整備や施設建設など)は費用便益分析という手法を用いて、当該公共事業の経済的価値を計算し必要性や効率性なども検討して、事業実施の可否を決定していきます。
では「まちの美観促進」のような政策評価はどのように定義付けされるのでしょう。
市民アンケートのような社会調査や統計手法など社会科学的に解析して効果を把握することと定義付けするなら、それも「評価」と呼べるでしょう。
しかし政策効果を厳格に定義付けて「評価結果」とするには、高度な専門性と費やす費用、時間が膨大になって限られた資源の自治体にはそぐいません。

では行政評価制度を導入している自治体はどのようにしているのでしょう。
それは純粋な「評価」というよりも事業効果を「測定」しているというほうが近いようです。

政策の効果や効率性に着目して数量的に把握するための指標(Performance indicator)を設定し、その指標を計測することで政策実態について必要な知見を得ようとする手法を多くの自治体が採用しています。
事業の業績測定です。

行政執行部を監視する権能を負託されている議会議員は、当局が示した指標の考え方が合理性を有しているのか、あるいは違った観点からの指標の立て方は考えられないかなど必要に応じて討議することが求められています。

そして事業の業績評価(測定)は測定することに留まらず、その結果を「利用する」ことが主要目的となります。
結果を利用するとは、多くの場合次年度の予算編成に反映されていきます(そうなっているかどうかを監視するのも議会議員の職責です)。

①企画(Plan)→②実行(Do)→③点検(Check)→④対処(Action) PDCAサイクルという4段階でフィードバックしてマネジメントしていくか、
あるいは瀬戸市が6次総で示したように①企画(Plan)→②実行(Do)→③評価(See) PDSマネジメントという3段階で行うのか。
いずれにせよ点検評価の根拠となる指標が合理性を持っているのかどうかを、マネジメントする前に議会議員が監視しなければいけません。
議会議員はこれらの監視を怠っていないでしょうか。
各議員の「評価」は市民のみなさんに委ねるほかありませんが。

行政評価はバブル経済崩壊後、長引くデフレによる税収の減少、財政の悪化を懸念し2001年から中央省庁は制度を導入しました。
ご存知でしょうか、総務省行政評価局においてすべての中央官庁の政策評価をポータルサイトで公開しています。
防衛省、宮内庁も例外ではありません。
また内閣官房行政改革推進本部が事務局となり、国の約5000の事業をPDCAサイクルが機能するように見直し、点検をする「行政レビュー」も公開しています。

中央省庁と違って地方自治体における行政評価制度の実施は法令により義務付けられているわけではありません。

地方自治法第233条5で、普通地方公共団体の長は、第三項の規定により決算を議会の認定に付するに当っては、当該決算に係る会計年度における主要な施策の成果を説明する書類その他政令で定める書類を併せて提出しなければならない。とされていますが、具体的表示方法については指し示していません。つまりどの程度のどのような内容にするかは各自治体の裁量に任されています。主要な施策のとり方も任意です。

自治法がこの書類提出を長に課したのは、議会における決算審査が単なる数字の審査にとどまらず、事業の成果についても積極的に検討が加えられることを期待しているからです。
数字の審査、計算に間違いはないか、支出命令等に符合しているか、収支は適法であるかは監査委員による「監査」です。
瀬戸市議会の予算決算委員会(分科会)で行うのは「審査」です。
一部の議員は混同しているようですが「監査」と「審査」は違います。
*(自治法には監査委員の審査に付さなければならないと記されていますが、監査委員と分科会委員の職務の違いを強調するためあえて書きました)
当初予算審議とは違い決算審査は議会の議決事件ではありませんが、だからと言って手抜き息抜きは許されません。

以上見てきたように行政評価(事務事業評価)の制度を取り入れるか否か、導入するにしてもどのような制度設計をするのかは全く各自治体の判断によります。
法令により義務化されていない以上、これは行政職員の勤怠問題ではなく「首長判断」政治マターでしょう。
冒頭に書いたとおり『行政統制の手段(ツール)』として首長がどう考えているのかというトップの政治理念とも言えます。

評価制度についてさらに掘り下げてみましょう。

専門家によれば行政評価(事務事業評価)は2000年前後期のようなブームは去り、自治体の熱意にも温度差が出てきているそうです。
いくつか原因があるようですが、何といっても行政評価の実施は行政職員に業務の負荷をかけます。
行政職員を統制する手段なのですが、統制される側のスキルに頼らざるを得ないという実態があります。

行政評価を導入による明らかな成果は得られるのか?
評価をしたから予算は付くのか、あるいは止めたい事業を廃止できるのか?
さらに根本的問題・・行政評価の結果を市民や議員がどれだけ参考にするのか?
(本年3月定例会において行政執行部が作成した「当初予算の概要書」をほとんどの議員は使わなかった)
市のホームページで公開してもほとんどの市民は見ていないらしい・・。
内部評価(1次評価)は自分たちで自分たちを評価しなければならない。
外部評価(2次評価)でダメと評価されれば代替案は提示してくれるのか?
内部評価で現状の自治体運営を批判するような評価を明示できるのか?

外部評価(審議会)でOKがでれば自己評価以外の「お墨付き」というアリバイを得たことにもなります。
それに外部評価の委員はどのような基準で選定するのか。

*資料上から1、長久手市A表 2、長久手市B表 3、尾張旭市 4瀬戸市




それでも瀬戸市は行政評価制度の導入を図るべきと提言するのは、

「市民に対するアカウンタビリティ」の確保のため。
市民との協働まちづくりを提唱しながら、施策事務事業のアウトカム(成果)がはたして市民(議会)と同一の方向性になっているのか齟齬は発生していないのか、という確認ができていない。
アウトカムの説明責任が果たされていない。

予算計上して事業を執行していけば、中期事業計画スパン(3~5年後)には「このようなアウトカム(成果)」が得られることを市民(議会)に提示されなければならない。
せめて都市経営に直結する政策事務事業だけでもそのアウトカムの方向性や具体的成果の指標は、市民と共有できうる公開提示資料は作成されて当然です。
第6次瀬戸市総合計画の施策体系には3つの将来像を高らかに掲げてはいますが、その将来像を実現すべく予算化された各施策事務事業のアウトカム(成果)の像はまるで曇りガラスを見ているようです。

市民のみなさんは6次総における施策事務事業の具体的アウトカム(成果)をご存知でしょうか?
もしご存知ないのなら地域自治活動や市民活動などの会議の場で「おかしいな」といった話はなかったでしょうか。
わからないままに「市民と協働のまちづくり」とは、これいかに。

議会の中でも行政評価(事務事業評価)について議論されているのは取材して承知していますが、論点はアウトプット(活動)指標ではないことを指摘しておきます。
アウトプットの効率性や適正性などの測定を理事者との論点とするには、それ相応の専門的評価スキルと客観性が必要であることをお忘れなく。
人件費比率や政策事務事業の費用対効果測定(評価)に合理性と客観性を担保できるだけのスキルと資料分析や情報を議員はお持ちか?
決算審査の分科会においてアウトプットの効率性を理事者と議論できますか?
失礼ながらほとんどは「それは議員の主観です」となるでしょう。

議会に望む論点はアウトカム指標です。
議会議員は市民の代表です。
どうしてそのようなアウトカム指標としているのか?
そこを議論したうえでのインプット、アウトプットです。
理事者と議論するよう負託されているのが議会議員でしょう。
行政執行部が描いた(描いているならば)アウトカムは市民が希望する姿と方向性は違っていませんか?
そしてその成果を目指すことは市民と共有できていますか?

市民と共有されていないアウトカムを行政執行部は独断で描いてはいませんか?

PDCAサイクルもPDSマネジメントも、アウトカムの共有からスタートするのです。
残念ながら今の瀬戸市行政と市民がアウトカムを共有できているとは思えません。
行政評価も事務事業評価シートもホームページで検索できません。
行政評価の導入はどうするのか。
しないのならその理由は。
するならどのような制度設計なのか。

イベント事業よりも、組織再編よりも、

首長の最重要政治責任です。

残念ながら、シティープロモーションもブランディングも日本遺産も、予算をかけていくアウトカム(成果)の姿形が市民と共有できているとは思えません。
いや、示している。とおっしゃるのなら、首長でも議員でも職員でも当ブログまでコメントを頂きたい。
共有しているよ、わかっているよ、という市民のかたもコメントしてください。
良質な議論こそ言論広場の望むところです。


評価制度が他自治体と比べ「遅れているとか、進んでいるとか」という論はナンセンスだと考えます。
首長と議会議員の政治理念のマターであり、何より選出した市民意識のマターでしょう。
民主制度が内包している主権者自己責任です。

最後にもう一度、
アウトカム(成果)を市民も共有し、予算(税金)を使って執行していく事業の進捗を評価(測定)する。
このような運営をするように行政職員を統制する手段としての行政評価制度をどのように考えるのか。

それは首長の政治責任です。

今回も読了いただきありがとうございます。


































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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-08-08 17:29:57
給料を目安に生活や将来設計を決めることと同じで余程裕福でない限り、知らずにすすめたら倒産します。なぜ、瀬戸だけ?議会はなぜチェックしないのでしょうか?PDCAはまちづくりの基本と思います。
Unknown (タケさん)
2017-08-08 22:24:14
コメントありがとうございます。6次総で掲げた将来像。例えば都市像①活力ある地域経済と豊かな暮らしを実感できるまち。とありますが、いくつの企業を、何人の雇用を、いくらの事業所税、法人税、固定資産税、住民税を確保するためには(成果を得るには)どのような事業をいくらの予算で執行していけばいいのか?という民間企業でいう「事業計画」が株主である「市民」に示されていません。代表取締役(市長)の説明責任です。今の市長はほんとうに民間で経営に携わった実務経験があるのでしょうか疑問です。税金を使って得ようという成果指標なしにPDCAなど画餅です。これからもご愛読ど支援ください。市民の声がチカラです。
Unknown (タケ)
2017-08-08 23:03:41
追申です。なぜ、瀬戸だけ?というご質問ですが、瀬戸だけということではありませんが周辺市町は行政評価、事務事業評価シートは実施されています。長久手市では今年も8月1日から4日まで外部評価審査会が開かれていました。なぜ議会がチェックしないのか、なぜ市長が導入しようとしないのかはわかりませんが、機会があるたびに市民が問い質していくことが大事です。次の改選投票の判断基準になると思います。
Unknown (Unknown)
2017-08-10 01:40:05
ありがとうございます。次なる改選時の重要な選択基準とさせていただきます。

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