ガタゴトぷすぷす~外道教育学研究日誌

川口幸宏の鶴猫荘日記第2版改題

ビセートルの歴史検証(9)

2017年09月19日 | 研究余話
第3セクション - 不治患者(廃疾者)ならびに「軍隊監獄」

 5階建ての1棟の大きな建物には不治の精神病者の共同寝室が含まれている。最上階は屋根裏部屋であり、狭い窓から明かりを採りいれている;患者1人あたり10平方メートルしかない。
 1階の2つの共同寝室はじつに驚くべき清潔さである。ベッドはワックスが塗られたはめ木の床に置かれている。床の下の床石は、その中央に穴が開けられており、液体が流れ込むようにしてある。液体はその排出を容易にするように配置されたマットレスをしみ通って流れるのだ。灌漑のまことに素敵なシステムはいつでも機能している。
 囲い塀の近く、不治患者用に散歩道を備えた庭から遠く離れた隅に、西の別棟が建っている。監獄のための別棟が付置されている。この別棟には凶暴な精神病者や自殺のおそれがあり絶えず監視を必要とする人たちが隔離されている。
 1階には8つの独房がある。長さ3メートル、幅2メートル29、高さ2メートル40-一人あたり16,48立方メートルになる。それぞれ窓が一つずつ設置されており、1つの仕切土で2つの小部屋に分けられている。
 2階には、7つの独房があるが、少し広い。長さ3メートル20、幅2メートル40、高さ2メートル56。-19,66立方メートル。

 南側に向いた長い部屋が一つ。それはこのセクションの精神病者のための食堂と暖房室に充てられている。その隣り合わせのもう1つの暖房室は、天井が低く、狭く、舗装された地面がつねに大小便で覆われている。大小便を垂れ流す(訳注:痴呆の)不治患者たちはこの悪臭を放つ小部屋で暮らしている、彼らの共同寝室の素晴らしく素敵なさまとは調和がいささかもとれていない。

 下の写真は後年老人用施設に供されたが、オリジナル期には軍隊用監獄として使用された。併せて、不治の精神病者にも供された。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。