ガタゴトぷすぷす~外道教育学研究日誌

川口幸宏の鶴猫荘日記第2版改題

誤訳は恐ろしい、歴史を狂わせる

2017年11月02日 | 研究余話
 セガンの<l'on ait faites dans ces derniers temps, comme aussi elle est écrite dès la première page du premier livre, du livre par excellence;>という記述をどのように理解するか。松矢訳書は premier livreを「人類最初の書物」と訳義をあてた。清水寛論文は忠実にそれをトレースし、それは「聖書」だとした。
 しかし、それではまったく意味が通じない。premierはどちらかというと上位にあることを意味する「第一」であるので、「最上の」という意味を添えるべきだろう。つまり、原文のどこにも書いていない「人類」をわざわざ挿入する必要もなく、「最上の本」しかも追記があるlivre par excellenceで、「最上」をセガンは形容している、livre par excellenceと。「代表的な本」という意味になる。
 近年刊行された最上の、代表的な書物、ということが原義だと理解できる。
 さらに訳書はcomme aussi elle est écrite dès la première pageを「最初のページに書かれているのと同じ」としているが、これも誤訳だと判断する「第1ページから」が直訳になる。
 こう原文を理解すると、セガンがサン・シモン教徒して学び始めた(オランド・ロドリグからレクチャーを受けた)サン・シモン著『新キリスト教』を指していると理解して間違いないだろう。セガンのレッシングに関する内容評価がセガン自身の理論評価にどのように関係しているかについては、別に検証しなければならない課題となる。

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