夕焼け金魚 

不思議な話
小説もどきや日々の出来事
ネタ控えです

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

バー ?エル

2017-06-30 | 創作
梅雨に入ったと言われていますが蒸し暑い日々が続いています。
あまり飲みには行かないのですが、不動産屋のおばさん達に誘われるとなかなか断るのは難しいです。
ていのよいスポンサーだという事は分かっていますが、断る勇気も無いのです。
好かれなくとも嫌われないのが会社勤めの鉄則ですから。
何はともあれ乾杯して、食べ飲み放題でおばさん達はいつもの憂さを晴らすことになります。
「金魚さん、まだ行っているのですか」と聞かれて「どこへですか」と聞き返すと「ヅカですよ、タカラヅカ」と言うのです。
どこから聞き込んでいるのでしょうか、金魚がタカラヅカに通っているなんて誰にも秘密なんですけど。
「今、大劇場は花組公演でしょ、また行ってきたのでしょう」と言われてしまいました。
「まあ、それは」
「明日海リオさん、綺麗でしょう」と言われて「ええ、凄く綺麗でした。ただ、ストリーが詰め込み過ぎのような気がして」と言ってしまいました。
「やっぱり行ったのでしょう」と言われてしまいました。
「いやぁ、花組は一番勢いがありますね、明日海さんも本当に綺麗です」と言って皆さんに笑われてしまいました。
そしてなんだかんだとタカラヅカの話題で盛り上がってから「これだけ聞いてあげたのですから、今日は金魚さんの奢りでいいでしょう」と言われてしまいました。
私よりみんなの方が詳しいし、みんなの方が好き勝手言いたい放題言って終わったのですけど、仕方ありません。
みんなと別れても、少し時間が会ったのでもう少し飲んでから帰ることにしました。
裏通りの狭い路地裏にある怪しげなバーを、少し見て歩いたのです。
このあたりに飲みに来ていた頃は随分昔ですから、もう知らない名前ばかりになっていました。
その中で「バー ?エル」と言う名前を見つけたのです。
これはなんと読むのでしょうか ?
バークエッスチョン エルトでも読むのでしょうか?
カランコロンと間の抜けたカウベルを鳴らして、入ってみました。
この路地の店は、所謂ぼったくりのような店は入居しないように大家さん達が気をつけてますから、まず大丈夫です。
カウンターだけの10人ほどの小さなお店。
店の名前が分からないので、聞いてみたのです。
「え、見たとおりなのですけど」と言われましたが分かりません。
「エルって、ママさんが大きいって意味ですか」
「そうじゃなくて、実は最初のクエスチョンは日本語で言うと、疑問形の”か”という意味なの」
「かえるってパーに帰ると言う意味ですか、それともいい加減家に帰るろと言う意味なのかな」
「意味はその二つなのですけど」と言って「じゃ、貴方にだけ特技見せてあげますね」と言われました。
特技つてどんなのかなと思って見ていたら、ママさん後ろを向くと「一番上のタンブラー取りますね」というのです。
棚の一番上はママさんより2メートルは上にありますから、梯子か踏み台が無いとまずとれない高さなのです。
どうしてとるのかなと思って見ていたら、ママさんの口からシューと舌が伸びると器用にタンブラーに巻き付いて手元に待ってきたのです。
「えっそれって」となんと言って良いか言葉を失っていたら、私の方に振り向いて目を大きく瞬きしたのです。
まぶたが降りて次に大きく開かれると、目玉がポコという感じで飛び出てきたのです。
ええ、外国製のスポーツカーでヘッドライトが飛び出てくるタイプの、フロッグタイプと呼ばれるライトアップなのです。
「見たとおりでしょう」と言われて私の前にオンザロックを出す手に透明な水かきが付いていました。
「ママさんは」と言って後の言葉に詰まっていると、ママさんの口が耳まで広がっていたのです。
ビックリしてママさんを見つめている私にママさんが「ゲロ」と鳴いたような気がしました。
ジャンル:
その他
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 変わったアルバイト | トップ | 金魚の虎退治 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

創作」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。