夕焼け金魚 

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AIロボペット

2017-07-12 | 創作
「単身入居者のご婦人が、なぜか落ち込んでいるのです。金魚さん、なんとかなりませんか」と言われてしまいました。
「落ち込んでいるご婦人を慰めろって、私の仕事ではないでしょう」というと「単身のご婦人のところに行けるチャンスですよ、私が行きたいくらい」と不動産屋は言いますけど、落ち込んでいるご婦人を慰めるって難しいですよ。
原因とか、ご婦人の趣味とか分からないとどうしようもないです。
行く前にご婦人の近所のお友達という方に会ってきました。
原因はペットの死亡のようです。
どこからか拾ってきた子犬を自分の子供のように可愛がっていたのに、ある日、買い物に出かけているうちに家で老衰で亡くなったというのです。
もう歳で弱っていたことは知っていたが、まさかなくなるとは思ってなかったので、ショックを受けたようです。
それで落ち込んでいるのだそうです。
「他の子犬を飼ってみたらと言ったら、マサト君はマサトだけですと言うのですよ。マサト君というのは犬の名前ですよ」と近所のおばさんに聞いてきました。
ご婦人ひとりのところですから、事前に連絡してお伺いすることにしました。
お部屋の点検という名目で、お伺いしました。
「ペットを亡くされたそうなのですね」と言うと「マサオはペットじゃありません、息子です」と仰られてしまいました。
「すみません、そこで今日は玩具なのですけど、こんなのお持ちしたのです」犬のぬいぐるみをお見せしたのです。
「玩具なんて」と馬鹿にした目で見られてしまいました。
「最近の玩具は凄いんですよ、AIロボペットと言いまして動くんですよ」と言ってぬいぐるみを彼女の手に渡したのです。
AIロボペットが動いて、彼女の顔を舐めるような仕草をしたのです。
「凄いわ、このぬいぐるみ、マサオと同じように顔舐めるのね」と言ってくれるのです。
彼女が「おいで」というと、顔を少し傾げてワンと言ってからついてくるところもそっくりだそうです。
「良かった、少し調査して仕草をマネするようにAIに教え込んだのです」
「凄いわ、それにしても本当にマサオ君と一緒な仕草するのね」と少し喜んでいただきました。
「でも所詮、AIで機械仕掛けな物で2ヵ月もすると動かなくなりますから、そこまでしか動きませんから」
「はい、2ヶ月のあいだに気持ちの整理をして、お別れするようにします」と涙ぐまれました。
死に際に何もしてあげられなかったという思いが、彼女を落ち込ませていた原因だったのです。
暫くして、彼女は今まで通り元気になりました。
良いですね、そんなAIロポペット、私も欲しいと言われても試作品中で二つは無いのですというか、そんなのあるわけ無いでしょう。
様子を見に近所に行ったときに、亡くなったマサオ君の霊を見つけたのです。
動物も心残りがあると霊となって残るもののようです。
おまじないをして縫いぐるみの中に、マサオ君の霊をしまったのです。
それで縫いぐるみがマサオ君と同じ仕草ができたのです。
縫いぐるみで動きもぎこちないのですが、そこがロボットらしいのです。
ご婦人が元気になられて良かったです。
ただ困ったことが、AIロボペットのマサオ君がなかなかあの世に行かないのです。
もう半年経っているのですけど、まだご婦人の側で元気に動いているのです。
別に誰にも迷惑をかけているわけではないので、マサオ君があの世に行く気になるまで、放っておこうと思っています。
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