手のひらの中の１０円玉

月末発行する請求書のチェックをしながら

ふと時計に目をやると休憩の時間になっていた。


作業場に居る時はスタッフ達と休憩するのだが、

事務所に居る時は基本１人で休憩している。


ふぅ～、

それにしても寒い日が続くな～


やはり寒い日は暖かい飲物が欲しくなるもの。

事務所にはウォーターサーバーが設置してあるので、

インスタントコーヒーでも良いのだが、

社内に設置している自販機でブラックコーヒーを買うことにした。



財布の中の小銭を確認してみると、

１円玉と５円玉が少しあるくらいでコーヒーは買えない。


お札は１万円のみときたもんだ。


『ムム、タイミングが悪いな・・・』


仕方ないので会社のレジから拝借することに。


レジスターを空けて小銭を取り出そうとすると、

１０円玉が満タンになっていた。


溢れそうなくらいだったので１０円玉を握りしめて自販機へ・・・



手の中に１２枚の１０円玉。

手のひらをパッと開いてみる。

またギュッと握りしめてみる。


なんか久しぶりの感覚だった。


まだ財布すら持ってなかった小学校低学年のころ、

近所の駄菓子屋に１０円玉を握りしめて行ってたっけな。


ふ菓子を買って１０円払う。

ガムや飴も買ってクジも引く。


当然、手の中の１０円玉は１枚ずつ減っていく。


『あといくら残ってるっけな～』


パッと手のひらを開いてみる。

またギュッと握りしめる。


考えながら１枚ずつ大事に使う。


電子マネーも便利だが、

こういう経験は必要なのではないかな。



そんな事を思いながらいつもより、

ゆっくり、ゆっくりと自販機に１０円玉を投入し、

お気に入りの缶コーヒーを買ったのだ。