投資情報「経済データおたくの世迷言」

経済・市場動向や要人の運勢など、投資に影響を与えそうな情報を九星気学、そして独断と偏見で読み解きます。

*株バブル再来の可能性

2016年12月20日 | 市場

「30年経てば、人は忘れる」

―先日、株式市場に詳しいジャーナリストと話す機会がありました。印象的だったのは、株式市場参加者の間で「バブルが再来する」との見方が出始めているという話です。株バブルと言えば、1989年末に日経平均で38900円を付けた後に急反落、日銀による強力な金融緩和も空しく、そのピーク及ばない状況が27年も続いています(図1)。1990年以後、あまりに株価の下落ペースが速かったこともあり、損失を抱える個人投資家が続出。「株はもうこりごり、個人は株に手を出すべきでない」との教訓が染みついてしまった感があります。

―しかし、ある市場参加者は「30年経てば人は忘れる―」と言ったというのです。そう言えば今年は、後にバブルの遠因になった日銀の強力な金融緩和開始(1986年)から30年にあたります。1985年秋のプラザ合意後の急速な円高に対応するため、日銀は当時の政策金利だった公定歩合を下げ続け、公定歩合は1987年には2.5%と当時の史上最低水準を付けました。確かに30年前の出来事は遠い昔の歴史になってしまいましたね。

田中角栄氏、忘れられた負の側面

―人はかつての教訓を意外なほど早く忘れてしまう--という言葉は、妙に説得力がありました。例えば、田中角栄元総理への世間の評価をみてもそう感じます。巷に溢れている角栄本の多くは、彼の傑出したリーダーシップ、行動力、先見の明を礼賛するものが大半です。しかし50歳以上の人には、こういう評価に違和感を持つ人が多いのではないでしょうか。おそらく、角栄氏に対して「困った人」という評価が大半かと思います。

―角栄氏は総理を辞して、ロッキード事件で糾弾された後も、自民党内で最大派閥を維持(確かに凄いリーダーシップです!)、「闇将軍」として時の政権を背後からコントロールしてきました。大平内閣、鈴木内閣、中曽根内閣はそろって「直角内閣」「仰角内閣」などと揶揄されたものです。

―勿論、角栄氏の負の側面を知る50歳以上の人々の見方が正しくて、今の角栄礼賛は間違っている--とは言えません。人物の評価は、歴史の中で自ずと定まってくるものだと思うからです。ただ、角栄氏をかつて激しく批判した人々の声が、今ほとんど聞かれないのはどうしたことでしょうか。死んだ人を鞭打ってはいけない--という日本人独特の情でしょうか。それとも、やはり人は昔のことを簡単に忘れてしまうのでしょうか。そういえば、角栄氏が脳梗塞に倒れ、実質的に政界退場を余儀なくされてからも30年程になります。

資金が株式市場へ向かう誘因

―「株は危ない、株はこりごり」というかつての教訓が年月とともに薄れているとすれば、株式市場へ資金をシフトする行動は合理的に思えます。今は、預金をしてもほとんど金利が付きません。定期預金でも0.1%以下でしょう。一方、株式の利回りは、最近の株価上昇でやや低下したものの、預金よりもずっと高水準です。これは中小銘柄に限った話ではなく、キャノン、あおぞら銀行など大企業でも4%台(12月19日時点)のものが散見されます。100万円を運用した場合、預金では年1000円以下しか増えませんが、株でうまく運用すれば4万円(価格変動のリスクはありますが)と、大きな差がつきます。

企業の経営体質の変化もそうした傾向に拍車を掛けています。実質的に日本の株式市場を支配する欧米投資家(図3)の意向を強く反映するようになり、従業員よりも株主を、より大事にする姿勢に転換しつつあります。政府の強い要請にも関わらず、賃金は上がらない一方で、企業は自社株買いを増やし、配当利回りを引き上げて、株主により報いようとしているように見えます。この傾向が続けば、株などの資金運用で資産形成を指向する人が今後増えてきそうです。


―世代交代もその傾向を後押ししそうです。今50歳の社会人でも、バブルピークの1989年あたりでは23歳くらいの新入社員です。バブルの危険性を肌身をもって感じた人は少ないでしょう。とすれば、今後はより若い世代を中心に、高い利回りを目指してに株式投資を増やすという傾向が強まっても不思議ではありません。

バブル形成には個人マインドが大きく影響

―経済のファンダメンタルズを見れば、1980年代後半と違って、バブル再来の兆候はあまり見られません。例えばマネーサプライにしても当時は前年比プラス12%くらいありましたが、今は2-3%台にとどまっています。

―しかし、バブル形成には、時として経済のファンダメンタルズよりも、人々のマインドが強い影響力を持つことがあります。その好例が2015年にみられた中国の株バブルです。6月12日配信の「株バブル崩壊1年(中国)」でも触れましたが、経済成長率が目に見えて減速しているときに、株価が上昇するのは異常(だからバブル!)でした(図2)。


―プロの投資家は、株価の底値(リーマンショック直後とか)で買うのが普通です。しかし個人投資家は、時として不合理ともとれる判断をします。株価が底値にあるときよりも、株価がかなり戻してきた時に、買いに入るという傾向が、日本、中国を問わず個人投資家に見られます。特に個人投資家が全体の8割を占める中国では、その傾向が強いようです。上海総合指数は2015年6月12日に5166を付けた後、暴落したのは記憶に新しいところです。

―80年代バブルの傷がようやく癒え、その痛みを人々が忘れる時、世代交代が進み、高い利回りを求めるという合理的判断が一般化した時、資金が株式市場に大きく流入する可能性は否定できません。ところで私も、89年に初めて株式に投資しましたが、失敗しました。その時の顛末はまた別の機会に。

本日もお付き合い、有難うございます。

ジャンル:
経済
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