投資情報「経済データおたくの世迷言」

経済・市場動向や要人の運勢など、投資に影響を与えそうな情報を九星気学、そして独断と偏見で読み解きます。

労働需給加熱、次の段階で現れる地獄とは

2017年04月21日 | 経済


日産の初代シーマ、バブル期を象徴

四半世紀ぶりの人不足に


足元の景気の回復が52カ月と、既に戦後3番目の長さになっているとの報道がありました。当然、労働力への需要も高まっています。2月の有効求人倍率は1.43と、1991年7月の1.44以来の高水準。2月の失業率も2.8%と、1994年以来の低水準になっている事実を見れば「アベノミクス」が景気回復に失敗した―とは言いにくいでしょう。2012年12月から始まった今回の景気回復についても「アベノミクス景気」との名称が一部では用いられているようです。

労働力需要の改善を作り出した景気回復、このまま続けば、1960年代の「いざなぎ景気」を超えて、戦後2番目の長期になる可能性があります。しかし私は、それを素直に喜ぶ気にはなれません。なぜなのか? 私自身がバブル期に実際に経験した、労働需給加熱がもたらす地獄を思い出さずにはおれないからです。

若い人が責任ある仕事を任された時代

1980年代後半―90年代前半のいわゆるバブル期。当時、私は就業員25人程度の外資系の経済金融調査会社で東京支店長をしていました。

よく「1980年代は若い人が大きな仕事を任された、やりがいのある時代」だったと言われますが、確かにその通りです。私も小さいながらも、30歳前後で外資系企業の東京支店長になりましたし、金融機関に行けば20歳台で何億円もの資産を動かす人が多くいました。また30歳台前半で年収1000万円を超える人が不動産会社・証券会社の若手社員にごろごろいたのです。

当時の私は支店長として採用も担当していました。バブル時代ということもあり、業績は順調に伸びていましたが、採用には苦労しました。これは今も多くの企業が直面している苦労、特に中小企業ではその傾向は一段と強いことでしょう。


携帯電話もまだ大きかった

今後、中小企業経営者にとっての地獄が―

「人が採用できないー」こういう苦労は、景気拡大が緩んで来れば、自ずと解消されてきます。しかし、もし景気拡大がさらに継続した場合には、仕事が増えても、それに見合う人材が確保できなくなる可能性が出てきます。ただ、これはまだ最悪の段階ではありません。バブル崩壊以後は見えてこなかった、もう一つ先の段階があるのです。特に中小企業経営者にとっては、次の段階は「地獄」となる可能性があります。

その段階とは「今、働いている従業員が辞めていく」という局面です。バブル崩壊以後の四半世紀の間、見られなかった局面です。職に就いていない人を取り合うという段階から、既に職に就いている人を奪い合う、引き抜きあう段階に入ってくるということです。

私が当時、一番苦労したのはこの点です。人の引き抜きあいになれば、給与面・待遇面で大企業には勝てません。こちらも既存社員の給与を引き上げるなどして対抗しましたが、所詮は勝負になりません。日本人従業員の何人かは黙々と同業の大企業に移っていきましたし、外国人従業員は「A社から年収xx万円で誘われている」ということを交渉材料にして、給与の引き上げを要求してきました。

好景気で仕事は増えているのですが、従業員は減り、操業に支障をきたす恐れも現実のものになってきました。経験者の採用がほぼ不可能になり、採用できるのは未経験の新人ばかりになってきました。未経験者を採れば、その後の社員教育の負担も重くのしかかってきます。

さらに困ったことは、社内で手塩にかけて教育して「一人前」にした社員ですら、他社からより良い条件を提示されると、簡単に辞めて行ってしまうことです。私も引き留めに必死でしたが、大企業のより良い待遇に抗することはできませんでした。しまいには「同業の大企業・優良企業に社員を送り込むために、社員を育成する」ことが本業であるかのような状況になってしまいました。

当時、私もまだ若く経験不足でしたので「次は誰が辞めるのか?」と疑心暗鬼になり、私と社員、また社員相互にも亀裂が生じ、仕事の効率も低下してきました。元々は社員全体が「家族」のような会社だったのですが、その和気あいあいとした雰囲気は消え失せました。こうした強いストレス・労働負荷から、ついに1カ月ほど入院するという事態に追い込まれてしまいました。1989年12月のことです。

バブル時代以後、あまりに長くデフレ時代、人余り時代が続きましたから、人不足がもたらす地獄は、今の現役世代には想像もできないことかもしれません。しかし実際にあったことです。現在も社員の過労死の問題が取りざたされていますが、さらに人不足が過熱して人材の奪いあいになれば、中小企業経営者の過労死が問題になってくるかもしれません。それともバブル期とは異なり、ITを中心とした設備投資が経営者を救うのでしょうか。労働市場の次の段階は経営者にとって地獄なのか否か、静観したいと思います。

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