投資情報「経済データおたくの世迷言」

経済・市場動向や要人の運勢など、投資に影響を与えそうな情報を九星気学、そして独断と偏見で読み解きます。

景気点検:薄れる円安の輸出押し上げ効果

2017年06月09日 | 市場

同じ為替水準でも黒字幅は以前の半分程度に

数日前の経済紙に、円相場と輸出との相関が薄まっているという記事がありました。メーカーの海外生産が大きく増えたために、円安の輸出押し上げ効果は限られるとのこと。この記事では、第一生命経済研究所が作成した円安と輸出の関係を示す弾性値が掲載されていたのですが、私のように頭のめぐりが悪い人間にとっては「弾性値」と言われてもピンときません。

しかしながら、非常に興味深い問題なので、実際の輸出と為替のグラフを作成してみました。為替と貿易収支の関係(C1参照、動きが分かりやすいように6カ月移動平均をとっています)を見ると、為替が円安に振れると、それに遅れて黒字が拡大する、あるいは円高に振れると、遅れて黒字が減少、もしくは赤字が拡大という関係が(破線部分)見られます。尚、2009年の収支が赤字に転じたのは、2008年9月に起こったリーマンショックの影響です。


これを見ると、為替変動が貿易収支に対して影響を持つ―ということは確かのようです。そして、円安の黒字押し上げ効果についても、最近はリーマンショック前に比べて、弱まっているのが観察できます。

このグラフによると、リーマンショック前の2007年後半の為替は110円台後半の円安になっていました。それからやや遅れて、2008年に入って収支も9000億―1兆円程度に拡大しました。

その後、リーマンショックの影響もあり、大幅な円高が続きますが、2015-16年頃になると再び110円台後半の円安になってきます。ただ、それに続く貿易黒字をみると、5000億円にも届いていません。同じ110円台後半の為替水準でも、収支押し上げ効果をみると、リーマンショック以前に比べると最近は確かに大きく低下しています。

次に為替と輸出額の推移を示したのがC2ですが、リーマンショックの影響が2009年に非常に大きくでていますが、1)為替の動向からラグをもって輸出額が変化する、2)最近の円安の輸出押し上げ効果は、リーマンショック以前に比べると小さくなっている―という点でC1と共通しています。

自動車の海外生産、30年で20倍に

このように円安の輸出押し上げ効果は、以前に比べて減衰していますが、その要因として挙げられるのがメーカーの海外生産拡大です。2016年度に日本の全輸出の24%を占めた輸送用機械のうち、主力の自動車の海外生産をみてみると、1985年の85万台から、2015年には1800万台へと、20倍以上に拡大しています。一方、自動車輸出は、1985年は670万台でしたが、以後減少基調となり2015年には450万台程度となっています(C3参照)。


こうしてみると、円安の輸出押し上げ効果は弱まっていることが分かります。しかし、それも悪いことばかりではありません。円高による輸出押し下げ効果も弱まっている可能性がありますし、輸出企業の株価への為替の影響も小さくなっている可能性もあります。この点も、いずれ検証してみたいと思います。

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