経済データおたくの世迷言 by Research76 ーグラフでみるアジア・日本経済

経済動向・データを独断と偏見で読み解きます。
統計やイベント発表に合わせて不定期に書いていくつもり。

*経済の常識を疑う:経常収支と為替動向

2016-10-13 22:41:45 | 為替

〇経常収支が為替に先行するとは必ずしも言えない
〇最近が為替が経常収支に先行?



経常収支が将来の為替相場を決める?

今回は7月16日配信の「通説、専門家の見方を疑う」の続編です。経済の常識を疑ってみます。

―やや旧聞になりますが、先月27日に出た「17年円安説」の記事が気になっていました(上参照)。内容をかいつまんで言えば「足元の円高は来年前半には円安に転じる」という予想なのですが「今後、原油高が予想されるが、それが経常収支黒字の縮小につながり、それがラグをもって円安につながる」というのです。

―もっともらしい説明です。経済の常識と言ってよい見方だと思います。私自身だけでなく、多くのエコノミストも異論ないものと思います。

―デフレ克服、景気再浮揚を目論む日本経済にとって、キーとなるのは為替相場だと常々考えていますので、為替の今後については大いに関心があります。それが経常収支で簡単に予想できるとなれば嬉しい話です。データおたくの私としては、実際に検証してみたくなってきました。

―そこで、経常収支と為替の月々の動向を過去15年にわたりグラフ化してみました(図1)。ここでは、見やすいように3カ月移動平均を用いました。新聞記事の説明だと、経常収支の動きが後の為替動向を決める―経常収支が為替に先行する、ということです。


最近は為替が経常収支に先行?

―しかし実際にグラフをみてみると新聞の説明とは全く逆に「為替が後の経常収支を決める―為替が経常収支に先行する」というように私には見えます。

―経常収支と為替の山と谷を比較してみましょう。2007年をみると、4月に経常収支が2.6兆円(3カ月移動平均ベース)と山を付けた後、為替が同年7月に1ドル=121.66円(同)と山をつけています。これは新聞記事の説明通りの動きです。

ところが最近になると様相が変わってきます。2011-12年を見ると、2011年10月に為替が76.86円とボトムを付けた後に、14年1月に経常収支が8193億円の赤字となり、ボトムを付けています。ここでは、為替が経常収支に先行しているように見えます。

2015年についても、為替が8月に123.39円とピークを付けた後、16年4月に経常収支がピーク(2.4兆円の黒字)を付けています。ここでも、為替が経常収支に先行しています。

―「経常収支が為替に先行する」という傾向がはっきり見えれば、為替予想も楽になると思ったのですが、残念ながらそう甘くはないようです。そういえば新聞記事でも珍しく「鬼も笑えぬ?」という見出しがついていました。「ひとつの説だから、あまり真面目に考えるなよ」―という意味だったのでしょうか。

 本日もお付き合い、有難うございます。

 

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