この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

当たり前のことが当たり前でないと気づかせてくれる映画『ルーム ROOM』。

2016-04-10 22:14:48 | 新作映画
 レニー・アブラハムソン監督、ブリー・ラーソン主演、『ルーム ROOM』、4/10、TOHOシネマズ天神にて鑑賞。2016年9本目。


 怒涛の映画月間の2本目、本年度アカデミー賞主演女優賞受賞、『ルーム ROOM』を観てきました。
 埼玉県の朝霞市で起こった少女誘拐事件の影響で公開延期、というようなことにならなくてよかったです。
 もちろん現実に起こった事件、事故に配慮して、映画の公開が延期されることが非だと言っているわけではないですよ。公開が延期されて当然という場合もあると思います。
 ただ本作の場合、単に監禁事件を題材にした映画というわけではなく、被害者が監禁から解放された後のことの方が主題であるように思えるので、朝霞市の誘拐事件で少女が救出された後に公開されたことに意義があると思うのです。

 物語の前半は誘拐され、あまつさえ誘拐犯の子を孕み、出産した女性ジョイとその子供であるジャックが、どのように監禁部屋から脱出するのかが描かれます。
 ショッキングな設定ではあるし、観ていてハラハラするのだけれど、サスペンス映画としては、まぁ、普通の出来と言ってよいと思います。
 主題となるのはその後、ですよね。
 7年間の監禁生活という人として最も尊厳が奪われた日々を過ごしてきたジョイと、外の世界の「本物」を何知らず過ごしてきたジャックが、如何にして当たり前の親子になっていくかを描いていて、いろいろと考えさせられました。
 当たり前に過ごせるということがどれほど素晴らしいことなのか、そのことに気づかされます。
 誘拐犯の手から逃れ、ジャックが初めて目にした、天窓越しでない、本物の空の美しさといったら!(いや、それはどこででも見るような空なのだけれど)
 子どもが初めて海を見たときの感動に似ているのかもしれません。
 そんな昔のことは覚えていないけど。笑。

 一つ不満なこと、というか、納得行かないことがあるとすれば、アカデミー賞ではジョイを演じたブリー・ラーソンが主演女優賞を受賞しましたが、本作の主人公はどちらかというと彼女ではなく、息子のジャックの方ですよね?
 ジャックを演じたジェイコブ・トレンブリーが主演男優賞を取るべきだったのでは?と思います。
 まぁそうなると『レヴェナント:蘇りし者』で主演男優賞を受賞したレオナルド・ディカプリオが拗ねてもう二度と映画に出ない!とか言い出しそうですけどね。笑。


 お気に入り度★★★★、お薦め度★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)。
コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 奈津美ちゃんがやってきた。 | トップ | やっぱり受け入れ難かった映... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
気分が悪くなりました (たかこ)
2018-12-09 01:32:30
おっしゃるとおり、子役はかわいかったけど、母親役の人の演技は、普通でしたよね。
窓もないせまい監禁部屋で、お風呂に入ったりもしてたので、湿度がすごそうで、カビとか臭いとか、虫とかも発生してるだろうな…とかが気になって、もし自分がこんな目にあったら…と想像しながら見てしまうと、どんどん気分が悪くなりました。息子が死んだと見せかけて、カーペットにくるんで脱出させたシーンとか、いいシーンもありましたが、監禁部屋のジメジメ感の方が印象に残ってしまい、感動にはたどりつけなかったので 星2つです。
返信する
女性ならではの視点ですね。 (せぷ)
2018-12-10 21:55:09
自分が監禁されたら、というのは女性ならではの視点ですね。
男性だとそういう視点では見ない、、、自分だけかな。笑。
そういう視点で見ていたら気分も悪くなりますよね。

ちなみに自分はホラー映画を見ても気分が悪くなることはないですが、映画館の甘ったるいポップコーンの匂いを嗅いでいると段々気分が悪くなってきます。
そういうのってやっぱり自分だけですかね?笑。
返信する
同感です (たかこ)
2018-12-10 23:38:38
キャラメルポップコーンは臭すぎます(笑)
返信する
キャラメルポップコーン。 (せぷ)
2018-12-13 23:07:27
キャラメルポップコーン自体は嫌いじゃないのですが、あの匂いは本当に気分が悪くなりますよね。
換気の問題なのかなぁ。
返信する

コメントを投稿

新作映画」カテゴリの最新記事