ブログ 「ごまめの歯軋り」

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和田純夫著 「プリンピキアを読むーニュートンはいかにして万有引力を証明したか」(講談社ブルーバックス2009年)

2016年10月20日 | 書評
近代科学の出発点となった運動の法則や万有引力を確立したニュートンの金字塔  第15回

3-1)  第Ⅰ編

セクション9  「軌道自体が回転する運動」

惑星の運動は楕円軌道を描くのであるが、よく観察すると楕円の伸びている方向(長軸)が、軌道の焦点にある太陽を軸にして少しづつ回転していることが分かった。惑星は太陽から力(距離の逆二乗則、あるいは距離に比例する力)を受ける以外にも他の惑星からも影響を受けるからである。通常軌道は一周するごとに変わるのである。見方によっては近似的に一定の軌道が一周ごとに少しづつ回転するということもできる。このような軌道を回転軌道と呼び、軌道が動かないとする場合を固定軌道と呼ぶ。この回転軌道と力の働き方をこの9章で論じる。

命題43:「向心力による軌道の回転」
 ある向心力によって、ある固定された軌道(固定軌道)上での物体の運動が行われているとする。この軌道を物体の角速度と比例させて向心力の中心のまわりに回転させる。この回転軌道上の物体の運動は、別の向心力によって実現される。ただし物体は各時間で、固定軌道上の位置に対応する、回転軌道上の位置を動くものとする。
(固定軌道上のV点の回転角速度δ、固定軌道上のP点の回転角速度θとすると、δはθに等しい。すると固定軌道面を回転させる軌道の面積速度一定則はひとしい。すなわち固定軌道面を回転させる力についても面積速度一定の法則が成り立つような別の力が覇Tらいている)
命題44:「軌道を回転させる向心力の表現」
 固定軌道上の運動を実現させる向心力と、回転軌道上の運動を実現させる向心力の差は、力の中心からの距離の三乗に反比例する。
(最も難解な命題です。引力(回転ー固定)を求めることですが、ニュートンの空前絶後の幾何的考察力によって、煙に巻かれたような証明が与えられます。途中は図形上のことで省略するが、固定軌道の引力=1/CK^2 回転軌道での引力=1/CK^2+1/CK^3 よって引力(回転ー固定)=1/CK^3)
命題44系1: 回転軌道におけるpでの力と、固定軌道におけるPでの力の差は、同じ物体がKCを半径として円運動をする力の(α^2-1)倍である。ただしα=∠VCp/∠VCP(固定軌道上の移動角度/面の回転角度は命題43よりPの位置に関係しない定数)
命題44系2: 「逆三乗速の回転の速さとの関係」 円近い軌道の場合、固定軌道を実現する力が距離A(円の半径)の二乗に反比例するとき、回転軌道を実現する力は 1/A^2+R(α^2-1)/A^3に比例する。
(命題44によって力は二乗に反比例する項と三乗に反比例する項の和である。それと例題44系1から導かれる)
命題44例題2: 「一般の冪乗則の力を受けた回転運動」 力がA^n-3に比例しているとき、円に極めて近い軌道における長軸の動きを求めよ。物体の軌道は円に近い楕円軌道が少しづつ回転する回転軌道であるとして、その長軸の回転速度を求める問題である。
(A^n-3=A^n/A3という力を変形し、α=G/Fから回転速度が決定される。α^2=1/nより長軸の回転速度は2π(1/√n-1)となる。2πは固定軌道で物体が1周した時の回転で、回転軌道ジュの物体は2πα=2π/√nだけ回転するからである。n=4ならば長軸の回転は-πとなり、固定軌道で一周した時回転軌道では中心の周りを半周しかしていない。すなわちA^n-3=A距離に比例した力を意味する。n=1ならA^n-3=A^-2で距離の二乗に反比例するので楕円運動となる)
命題45系1:「軌道の回転速度と力の法則」
 向心力が力の中心からの距離のなんらかのべきに比例する場合、そのべきは長軸の運動から見出すことができる。
(α=物体の回転角/長軸の回転角=(360+x)/360 固定軌道ではxだけ余計に動く必要がある。 力の形をA^(n-3)とした場合、α^2=1/nであるのでn=(360/360+x)^2 これを付きの運動に当てはめるとx=3度よりn=0.9835 力は距離の2.0165乗に反比例する。別の力が加わったと考えるべきである)
命題45例題3:「力の一般形式の場合」 力が(A^m+cA^n)/A^3に比例しているとき、軌道は半径Rの円に近い楕円だとすると、軌道の回転速度を求めるパラメータαは α^2=(1+c)/(m+nc)で与えられる。ここで円の半径Rは1とする単位を使う。
(例題2と同様に、A=R+x とおく。xは小さい値で冪展開は一次の項のみを取ると、上式が得られる。ニュートンは月のケースを取り上げ、月に働く力をm=1,n=4とすると、1/A^2+cA ここでc=-1/357.45とすれば、1回転で1.5度長軸が前に進む。この力は地球の引力と太陽の重力効果の和だが、後の命題66系7で再度取り上げる)

(つづく)
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